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相談するって難しい

福祉サービスは、サービス等利用計画書等(以下、計画書)に基づいてサービスを提供します。仕事がら、私のところにはいろいろな事業所から計画書がまわってきます。また、その計画書を読んでいると頻繁に気になる一文を目にします。それは、次のような一文です。

「困ったことがあったら支援者(職員)に相談しましょう」

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。主たる業務は理事長業務です。また、相談業務を中心に利用者支援にも携わります。その関係で法人内外の事業所の計画書を目にします。

アピールを見逃さない

対象となる利用者の多くは、その人なりの方法で困っていることをアピールをしています。ただし「私は、今、困っています」と、言葉にはしません。そのアピールを見逃さないようにするのが支援者の仕事です。

面談では、支援者が「何か困ったことがあったらいつでも言ってくださいね」と利用者にやさしく語りかけます。その場面を見るたび「言われる前に気が付け」と突っ込みを入れたくなります。しかし、利用者の前なので突っ込みを入れることができず、じっと耐えています。

困りごとより理想を聞こう

また、不安なことをいつも言ってくる利用者の計画書にも同じような一文が書いてあります。「これ以上、相談してどうするんだ」と思います。しかし、それも口にできず、じっと耐えています。

支援者の役割は、困ったことを聞くより、利用者自身がどうなりたいか、そのイメージを一緒に探すことではないか思います。利用者の中には、十分に情報を得ることができなかったり、経験不足により選択の幅が狭い人がいます。そのためどうしていいかわからず不安になっています。支援者は、困りごとを聞くだけでなく、どうしたら今より幸せになられるか、そのイメージを共有していくことが必要だと思います。

支援者は困りごとがはっきりすると安心できる

支援者は、利用者が何に困っているかはっきりしている方が安心します。また、それがわかると支援者の役割がはっきりします。しかし、日常的な困りごとは不明確なことがたくさんあります。何に困っているのか自覚できる困りごとは、解決の糸口が見つかります。困りごとを具体的に自覚できないから困っています。困りごとを口にするというのは高度なことです。

また、支援者は、利用者が困りながら行動するとハプニングにつながる恐れがあると思っています。それを防止するため、あらかじめ相談して欲しいと願います。困りごとを言って欲しいというのは、利用者本人のためよりも、支援者のためなのかもしれません

相談されるためには…

利用者も相談したいときは相談します。ただし、相談をしてもらうためには、支援者の日ごろのふるまいがだいじです。日ごろから、指示的な態度の支援者には相談することをためらいます。

相談するというのは、勇気がいることです。私たちは支援者は、勇気を使ってもらうために指示的ではなく支持的な姿勢でいないといけません。

支援者は、相談していただけると「よし、がんばろう」、そんな気持ちになります。相談していただけるような支援者でいたいと思います。


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