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支援場面における「交友」

約35年前、私が社会福祉の専門学校に通っていたころのことです。とある老舗の障害児施設で宿泊実習をさせていただきました。

そのとき、オリエンテーションで施設の理事長さんがこう言いました。

「この園では、子どもたちのお世話をする人はすべて先生と呼ばせています」

直接支援にあたる職員は普通に「先生」です。他にも「調理の先生」、「事務の先生」、「お掃除の先生」などがいました。実習生の私たちは「実習の先生」でした。さらに時期が12月だったこともあり、地域の中学校生が施設のクリスマス会に招かれ、歌を唄ってくれました。そのときの中学生は「ボランティアの先生」でした。

当時、福祉施設では支援者のことを「先生」と呼ぶのがあたりまえでした。そのときに思いました。どうして障がいのある人のまわりには「先生」しかいないんだろう。「友だち」はいないのかなぁ…。

その2ヶ月後、個人的にお付き合いがあった障がいのある方たちと一緒に
「Zoo」という遊び仲間の会を作りました。ただ、遊びに行くだけの集まりでした。でもそれが私の原点です。

時代は変わりました。一般就労されている方は、会社での付き合いがあるので仲間同士で出かけることもあります。でも福祉事業所を使われている方の多くはヘルパーさんと出かけます。

やはり、「友だち」と呼び合う仲間は少ないようです。

アドラーは人とのかかわりを「仕事」「交友」「愛」の3つに分類し、それを「ライフタスク」としました。

私や他の支援者のことを事業所を使ってくださっている利用者さんたちはどんなふうに思っているのでしょうか。もともとは「交友」関係を作ろうと始めたこの活動も気がつくと「仕事」ばかりになっています。そんな気がしてなりません。

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