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アンドロイドは電気羊の夢をみるかな

 スマホが壊れた。一切の操作ができない。それが昨日のことで、夜はうるさくしゃべるでかいリスが夢に出て来た。「しゃべる」とは動物が鳴くことを擬人化するのではなくて、本当に日本語を使いこなすのである。いわく「食べ物がなくておなかが空いている」。まあ大体の動物がそれしか言ってないものだと思う。「大好き」「遊ぼう」の二語が発信の大半を占める犬が特別なだけである。ありがとう犬。夢のリスはハンドボール並にでかい。おそらくタイワンリスで、何でもかわいいと言うお子さまが「リスかわいい」と知能低めに言う時、脳裏に浮かぶイメージから都合よく除外されている種だと言える。多くの人はリスを思い浮かべる際、それを横からのシルエットで、かつ「毛皮にシマがあるタイプ」を考えているはずだ。そう、リスは地味で魅力を語る上では尻尾くらいしかポイントがないのだ(耳のフサ毛は誰をも夢中にさせるが一部のクラスにしか装備されないオプションだ)。むしろ本体と言ってよいその尻尾にしても、逃げ回る時にバランスをとる利便と、敵に対してブン回す目的で発達しているに過ぎない(天敵と対峙し尾を上段に構えたリスはさながら武士のようでありカッコいい)。ルームメイトとしてもふさわしくない。手乗りなんて嘘さ。カゴを開けたが最後、奴らは垂直な壁も走り逃げ回る。何でもかわいいと言うガキの典型だった私は言うに漏れずリスとも親友になれると考えて親にねだったから知っている。繰り返すがリスは逃げる。逃げるために壁も縦横に走り回る。自由になった途端まっすぐこちらに飛び込んで来る犬とはちがうのだ。ありがとう犬。キミ動物としておかしいよ。でもこれはリスの話である。いやスマホの話である。

 面倒くせえなあと思いながら家にリンゴあったからやるかと考えていた。目が覚めて気づいた。リスはスマホだったんである。スマホがリスだったのだ。大丈夫かこの文章。私にとってのスマホは私にとってのリスだった。私のスマホに対する愛着はほぼないに等しい。それについて考える時、私が思うのは面倒加減であって「かわいい」ではない。ハトコの夫にスマホ壊れちゃったと伝えたら即時「6年前でしたよね替えたの」と返って来て死ぬほど驚いた。なんでそんな本人も覚えていないことを覚えているの。なんで君ら夫婦はそうなの。ありがたすぎるよ。その通りだよ。出先で壊れてよく知らない鹿島をリスみたいに走り回ってチェリオ鹿島に飛び込んだんだよ。駐車場めっちゃ混んでたのしか記憶にねえわ。あ、ワイモバだと特定されるな。チェリオ鹿島いいっすよ。亀じるしあるし。吉原殿中を五家宝と同列に語る奴は許せないね。吉原殿中はオブラートに包んであるんだよ言葉通りに/物理的に。オブラートに包むべき事柄は世に死ぬほどあるが(私も使ってます)、吉原殿中がオブラートに包むのは不都合ではなくやさしさである。ああ携帯ショップめんどくせえ。テレパシーでいいんだよ。人間どもが俺のテレパシー受信できねえからスマホなんか必要になるんだよ。なんで最後に嘘ぶっこんだの。携帯ショップに行くのが嫌だからだよ。逃げ回りたい。リンゴ食うかとりあえず。

 

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