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島田正樹さんインタビュー vol.4

さいたま市の島田さんへのインタビュー。
いよいよ第4回、最終回となりました。

この回では、
人を育てることとか、
公務員に求められていること。
そのあたりをうかがいました。

島田さんらしい、
深いお話が聞けましたよ。


第1回は→こちら
第2回は→こちら
第3回は→こちら


vol.4 職場、そして公務員について


<仕事仲間、チームについて>


齋藤
それでは最後に、
仕事仲間とか、チームのこと、
公務員について。
このあたりとうかがいたいと思います。

島田
はい。

齋藤
今の職場って、
何人ぐらいなんですか?

島田
課としては10人ですね。
2つの係があって、
うちの係は、
係長、私(主査)、
あと2人若手がいます。

齋藤
働く仲間とか、
チームのことについて、
島田さんの関心があるところって
どんなところですか?

島田
そうですね。
チームをチームとしてどう育てるか。
あと若者が良き行政マンとして、
どんなふうに成長するか。
そのあたりに関心があって、
大事にしていますね。

齋藤
さっきのまちづくりでも出てきたけれど、
「成長」って言葉は、
島田さんの価値観の
根っこのほうにありそうですね。

島田
そうかもしれないですね。
チームの2人の後輩と、
1 on 1 で話す機会を持ったりして。

今何に困っているかとか、
どこを伸ばしたいかとか、
そのあたりを聞くようにしています。

本人が気にしているところを
意識して接したりとか。

齋藤
本人が気にしているってところが
ポイントですね。

島田
うん。
こっちから押し付けてもね、
なかなか成長には
つながらないですから。

齋藤
さっき、
「チームを育てる」って
言っていたけれど、
それってどうやってするんですか?

島田
市役所の仕事の中で、
マネジメントって、
あんまりちゃんと
学ぶことがないと感じているんだけど。

でも、
チームがうまく回らないのは
なんとなく嫌というか。

このチームも
もうちょっと良くなるかもって気づくと
何か試したくなる。

齋藤
チームをよくしたいんだ。

島田
うん、いい感じにしたい(笑)。

齋藤
いい感じ(笑)。

島田
最初にいた環境局時代の
いいイメージが残っているのかな。

そこにいるメンバーが、
それぞれあきらめていないというか。

齋藤
あきらめたくない。

島田
そう、あきらめたくない雰囲気。

たとえていうと、
高校の文化祭の準備で、
もう明日が当日だっていうときに
これやべぇぞ、ちょっと頑張ろうぜって
なっている感じ。

ある程度プレッシャーを
感じているんだけど、
もうちょっとみんなが
ストレッチしないとってなっていて。

それをみんなが感じていて、
それで、誰もあきらめてない。
なんとかしてやろうって
士気が上がっている感じ。

あれ? なんか、
うまくたとえられてないかも(笑)

齋藤
熱量があって、
ちょっと挑戦があって、
それをみんながあきらめてない。

島田
そうなんです。
一人ひとり個性はちがうから、
全員をおんなじ色に
染めろっていうわけではないんだけど、

齋藤
でも手を抜いて欲しくはないんだ。

島田
そう。
「やろうぜ」ってなってほしい。

齋藤
そっか。
あらためて、
島田さんの考える
いいチームとは?

島田
業務時間中は
仕事に没頭しているけれど、

そこに一人ひとりの
心理的な安全性は
保たれているチーム。

お互いにフォローしあえているとか、
仲間を置いていくことがないとか。

スペックが
高ければいいということではなくて、
それぞれが熱心さを持っているチーム。

ブラック企業みたいに
なりたいわけではないんですよ。

楽しさとか信頼感とかがある中で、
できればメンバー全員に
何かしらのチャレンジがある。

そういった「状態」というのかな。
そんな状態が
保たれているチームがいいですね。

No.4外でビール

大宮駅東口での路外空間の有効活用の社会実験
おおみやストリートテラス2019


<公務員について>

齋藤
公務員、
頑張る人多いですよね。

島田
多いですね。

齋藤
なんでこんなに
頑張るのだろう?

島田
そうですね。

公務員になる人って、
社会的に満たされない部分とか、
負の部分を
どうにかしようって思える人が
多い気がしますね。

根っからの悪人という人は
いなくって。

根源的には、
誰かに感謝されることとか
満たされていない人のケアをすることが
嫌いじゃない人が
集まってきている。

だから、
必要とされたり、
この仕事やんなきゃねって状況になると
みんなそれを苦に思わずやる。
「そうは言ってもやんなきゃね」って
なるような気がしています。

それを前提に
仕事を考えちゃうことが
いいのかどうかっていうのは
あるけれど、
根っこは頑張り屋さん気質、
社会貢献意欲の強い人が
多い気がしますね。

齋藤
あぁ。
そうかもしれないなぁ。
いい人が多い!

島田
うん、多い!(笑)

齋藤
そんな、
いい人の多い公務員なんだけど(笑)、
そんな公務員が
今の時代に求められていることとか、
これから求められてくることって、
どんなことだと思いますか?

島田さん個人のことでもいいけれど。

島田
結構「解像度」って
大事だと思っていて。

齋藤
解像度?

島田
そう、解像度。

たとえば、
昔は男女っていう性別だけ
考えていたのが、
今はLGBTがあるよね、とか、

福祉も、保護を受ける人と
受けない人だけじゃない、
障害者と高齢者だけじゃない、とか。

そんな単純な分けでは
済まなくなってきた。
   
ピース2つで絵が
完成していたものが、
60ピース必要になったぞ、みたいな。
社会の解像度が
上がってきていますよね。

もっというと、
課題とか問題とか、
解決しなきゃいけない対象の
多様性が広がっているので、
それに対処するこっち側も、
モノを見る目の解像度を
上げていかないといけない。

昔は2パターンを
対象として考えれば
全体の96%を
カバーできていたけど、

今は上位2パターンだと
72%しかカバーできませんよとか。

以前みたいに
96%カバーしようと思ったら、
もっと場合分けを
増やさないと
足りなくなっている。

福祉も経済もまちづくりも
社会を捉える解像度を
上げていかないと、
救えない人が
増えてきちゃう。

解決できない課題が
増えてきちゃうよねって、
すごく感じていますね。

齋藤
なるほど、
だから解像度。

島田
もう一つあって。
正解探しをちょっとやめてみたほうが
いいような気がしています。

齋藤
正解探し…。

島田
これは以前読んだ本の
受け売りですけど、
昔は、
たとえば白黒テレビがカラーになれば、とか
ブラウン管テレビが液晶テレビになれば、
みんなが喜んだじゃないですか。

たしかにそういう時代って
あったと思うんです。
だけれども、今の時代って、
もう、
5センチのテレビが
3センチになっても
あんまり喜ぶ人が
いなくなっている。

こうすれば価値が上がって、
全員が喜ぶぞって、
そういったものが
なくなってきている。

まちづくりも同じで、
まちがこうなればいい、って、
全体合意が取れないですよね。

これが正解だから
これを目指そうって、
そういうことが
難しくなっちゃっている。

総合計画とか
KPI管理とかも
そうかもしれないけれど
ここがゴールだから
ここを目指そうっていうのが、
正解たりえなかったり、

決めたときは
正解だったかもしれないけれど、
2年でそれが
変わっちゃったりするかもしれない。

正解を見つけて、
それをゴールに設定しようってことに
縛られると
うまくいかないことが
増えてきている気がしています。

齋藤
なるほど。
行政の仕事の進め方に
変化が求められているところかも
しれないですね。

行政って
チェックされる仕事じゃないですか。

行政はどこに正解を求めるのかって
問われることも多いですね。

そこで絞りすぎない、
変化することを許容するっていう
スタンス。

それって、
行政側からも
発信を工夫していかないと
いけないかもしれないですね。

島田
説明責任にすごく囚われてしまっている面も
あるかもしれないですね。

説明は必要だし、
理解をしてもらうことは
必要なんだけど、
正解はこれですっていうのではなくて。

ある意味「問い」を
投げかけるような伝え方とか、
こちらから伝えることばかりを
大切にするのではなくて、
双方向でのコミュニケーションを
ベースとした
やりとりが工夫されても
いいのかもしれないですよね。

正解が見つけられないと
事業決定できないっていう
考え方から離れて
コミュニケーションをとりながら
事業を進めて行くっていうことが
できるようになっていくと
いいって思います。

齋藤
解像度を上げる、
そして、
コミュニケーションを取りながら
決めていく。

うん、聞いていて
納得感がありました。

島田
それはよかった。

齋藤
ここまでいろんな話を
していただきました。
貴重な時間を
ありがとうございました。

島田
こちらこそ、
ありがとうございました。

齋藤
考えていること、
取り組んでいること、
望んでいること。

いろいろお話しいただいて、
参考になるところが
たくさんありました。

島田
読んでくれた
公務員の人たちにも
何か伝わるものが
あったら嬉しいですね。

齋藤
うん。きっと大丈夫です。
ありがとうございました。

No.4集合写真

さいたま新都心で人と人のつながりを創る
つきのとかげプロジェクト



島田さんへの
インタビューはこれで終了です。

全国にいる自治体職員が、
それぞれに想いを抱き、
行政という仕事に取り組んでいます。

そこには有名とか無名とか関係なくて、
一人ひとりにストーリーがあります。

これからもいろんな職員に出会って、
その魅力を伝えていきたいと思っています。



<SF読み込み>

最後に、
私はストレングスファインダーという、
人の強み(才能)を見つけて活かすツールを
活用した人材育成をしているのですが、
今回、島田さんの“強みの読み込み”を
しましたので、それを掲載しておきます。

島田さんらしい仕事の進め方。

インタビューの中でも随所にその価値観が
現れていたように思いますが、
みなさんはどう感じられたでしょうか。


島田正樹さん
ストレングスファインダー上位=1最上志向 2収集心 3適応性 4成長促進 5戦略性

島田さんは、把握し見通す力(最上志向×収集心×戦略性)と、臨機応変な対応(適応性×戦略性)に強みを持っている方ですね。

その場で自分に期待される役割を把握して、自分が持っているリソースの中からベストな選択肢をさっと選び提供していくことができる方です(適応性×収集心×戦略性×最上志向)。
“島田さんが関わることで想定以上の成果が生まれた”という実績は多くあるのではないでしょうか。
ここは島田さん自身も誇りに感じているところかもしれませんね。(一方でご自身を追い込む要因になっているかもしれません。)

また、“もうちょっと頑張れば、あなたにはそれをクリアできる力がある”と、相手が内面に秘めている力を引き出すことができるのも、島田さんの強みです(最上志向×成長促進)。
相手の力量を見ながら、日常業務の中にハードルを仕掛け、それを超えさせていく。そうやって、日々他人の能力開発をしている島田さんの姿が目に浮かびます(最上志向×成長促進×戦略性)。

島田さんと異なる強み、たとえば一度決めた目標や計画を貫き通すことに快適さを感じる人たちに対して、「もうちょっと柔軟に変化を受け入れてくれればもっと良くなるのにな」と思うことがあるかもしれませんね。

そんな相手さえも味方につけてしまう戦略を練りつつ、これからもより良いまちづくりを進めていってほしいと思います。


お読みいただき、ありがとうございました。




こちらの投稿は、主に自治体職員向けにその成長を支援する内容となっており、
継続して読むことで、思考力、判断力、実行力の向上に役立ちます。

1ヶ月で関心のアンテナが立つようになり、
3ヶ月で思考の解像度が上がる。
6ヶ月で視野の深さと広さのレベルが上がり、
1年で判断力、実行力に格段の違いが出るようになる。
まちづくりを担う力をつけていきましょう。

こちらのマガジンにまとまっています。
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