中島 亮二 | Ryoji Nakashima

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クローゼットとランドリー──グザヴィエ・ドラン「わたしはロランス」

ヒメシャラ映劇が主催する上映会で、グザヴィエ・ドラン「わたしはロランス」(2012)を高山陣屋前のゲストハウスにて観た。身体的性は男性、性自認と性的指向は女性のロランスを描く168分の長編映画。1979年からの20数年のカナダやフランスが舞台とされ、ジェンダーへの社会的な視線の変化も感じられる。 ロランスは「親の会」からの抗議を理由に教職を不当に解雇され、ストレートの女性である恋人フレッドとの恋も(そこに決意なんて何もいらないはずなのに)さまざまに求められ求めてしまうものの

    • 本堂はどこにある? ーホン・サンスとザハ・ハディドの空間

      ソウル在住の紀行作家チョン・ウンスクは「ホン・サンス映画の撮影地旅行にハズレなし」と前置きしたうえで、「14年の「自由が丘で」以降の作品は贅肉が削ぎ落とされているため、旅に駆り立てられる場面はそう多くない。」と言う。(a) たしかに「自由が丘で」(2014)の登場人物たちの生活する範囲は非常に限られており、舞台となった鍾路区(チョンノグ)に実在するカフェ「JIYUGAOKA 8丁目」やゲストハウス「ヒュアン」の周辺には、観光地や史跡が点在するにも関わらず、それらは劇中にはほと

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