家子リョウジ

制御エンジニアのおじさんリョウジです。 某私立大学院を卒業してからかれこれ16年弱、自…

家子リョウジ

制御エンジニアのおじさんリョウジです。 某私立大学院を卒業してからかれこれ16年弱、自動車制御設計を生業にしています。 若い世代に古き良き制御工学の勘所、自動車制御の基本を紹介したいと思います

最近の記事

  • 固定された記事

はじめに

みなさんところで先輩に質問するのイヤじゃね? 初めまして私は家子リョウジと申します。 某私立大学の大学院を卒業してから某企業で16年弱制御エンジニアをしています。 学生時代は研究者を目指していましたが教授と相談の上向いていないと判断し、一般企業に就職した次第です。 勉強嫌いの私が制御工学という学問に出会い、自分で何かを創造するという行為にハマってしまい研究室に寝泊まりして勉強して、プログラムして、論文を書いていたのはとてもいい思い出です。 しかし就職し社会の中にいると

    • PID制御の作法 実践編 Part2

      前回は実践編第1回目として車の速度制御のチューニングとシミュレーションを紹介しました。 今回は3次系になってしまう、位置制御を題材にシミュレーションをしてみたいと思います。 運動方程式はいつもどおり $${ma=F}$$ 力Fは比例・微分先行型PID制御を適用します。 $${F=-K_px+K_i\int(x_t-x)-K_d\dot{x}}$$ 目標位置から実際の車の位置までの伝達関数は以下のようになります。 $${\frac{x}{x_t}=\frac{\frac

      • PID制御の作法 実践編 Part1

        Part3、Part4では車の速度や位置を制御するためのチューニング手法を紹介してきました。 今回は実践編ということで、実際にチューニング方法が狙いどおりの性能を発揮するかを見ていきましょう。 実践編第1回目は車の速度制御です。 運動方程式は$${ma=F}$$となりますので 加速度$${a}$$は $${a=\frac{F}{m}}$$ 加速度を積分することで車の速度$${v}$$が算出できます。 車にかける力を比例先行型PI制御で決定することにします。 $${F=

        • PID制御の作法 Part4

          前回はPID制御のパラメータチューニングの方法を紹介しました。 今回は発展系として、3次になってしまうシステム制御の場合のチューニング手法を紹介します。 過去の回で紹介した車をある位置に制御することを考えます。 この場合、目標位置から実際の車の位置の伝達関数は以下のようになります。 $${ \frac{x}{x_t}=\frac{K_i}{mx^3+K_ds^2+K_ps+K_i}=\frac{\frac{K_i}{m}}{s^3+\frac{K_d}{m}s^2+\fr

        • 固定された記事

          【与太話①】Switchのプロコン改造してみた

          息子がイベントで頑張ってたのでプロコンをプレゼントしてみました。 どうせなら変わったやつがいいということで外側だけ改造。 eXtreamRateというとこで販売しているキットを購入。 中身はどうせ外装変えるし中古のプロコンを購入。 マリオ仕様のプロコンが完成。 喜んで貰いましたが、息子の友達も欲しいと言い出し、依頼がきましたので先日2個目を製作しました。 やり方などはYouTubeなどで配信されているので簡単にできます。 お子さんへのちょっとしたプレゼントにいかが

          【与太話①】Switchのプロコン改造してみた

          PID制御の作法 Part3

          前の3回で伝達関数について紹介してしまい、PID制御について間が空いてしまいました。 またPIDについてです。今回はチューニング方法についてです。 PID制御のゲインチューニングは試行錯誤的に行うというふうに教科書や先生からは聞いたことがあると思います。 しかし、伝達関数の基本形を使うと周波数から適切なゲインチューニングが可能です。 Part2で考えた車の速度制御について考えてみましょう。 $${\frac{v}{v_t}=\frac{K_i}{(m+K_d)s^2

          PID制御の作法 Part3

          伝達関数の発展形

          前回は1次系、2次系の伝達関数について解説しました。 ちょっと考えてみると2次系までしか教科書には書いてないですが、3次系ってないのでしょうか? 現実には3次系になってしまうシステムがあります。 車を目標の位置に制御する問題があるとします。 制御入力は比例・微分先行型PID制御とします。 $${ma=-K_px+K_i\int(x_t-x)-K_d\dot{x}}$$ 目標位置から実際の位置までの伝達関数は $${\frac{x}{x_t}=\frac{K_i}{

          伝達関数の発展形

          伝達関数の真実

          前回は伝達関数の基本形を紹介しました。 1次系・2次系が基本の形ですが、それぞれあるパラメータは一体なにをいみしているのか?教科書には載っていますがいまいち意味がわからない。 つながりがない用に感じていました。 今回は、1次系、2次系の持っているパラメータが意味することを紹介したいと思います。 まず1次系についてです。 $${\frac{u}{y}=\frac{1}{1+sT}}$$ 教科書には$${T}$$は時定数と呼ばれると書いてあると思います。 時定数は一定値落ち着

          伝達関数の真実

          伝達関数の形

          前回は伝達関数からPID制御の特徴を考えてみました。 ところで伝達関数ってなんでしょうか? 私は小学校のころ剣道をやっていましたが昇給試験には形という試験があります。戦いではなく基本の動きをできるかどうかを審査されます。 空手では戦って勝ち負けを決める格闘技の競技と、形の美しさを競う競技の2つあったりします。 伝達関数とはある入力を入れると出力がどうなるかをわかりやすく?表現したものになります。現在ではMatlab/Simulinkなどで伝達関数を設定するとシミュレーショ

          伝達関数の形

          PID制御の作法 part2

          前回はPID制御の種類を紹介しました。 今回はPID制御の特徴や選び方を伝達関数から見てみたいと思います。 例として車の速度を自由に制御することを考えます。 運動方程式はニュートン先生のあれになります。 $${ma=F}$$ 車の質量を$${m}$$、力$${F}$$にPID制御を適用し、センサから車両速度$${v}$$[m/s]を計測できるとします。目標車速を$${v_t}$$とすると運動方程式は以下のようになります。 $${ma=K_p(v_t-v)+K_i\int{

          PID制御の作法 part2

          PID制御の作法 part1

          制御工学においてまず基本は何かと聞かれたとき PID制御と答える人が多いと思います。 いわゆる古典制御と呼ばれるものであり 現在も、食品、化学、製造プラント・自動車・電車などに幅広く使われている制御方式であり、未だに色褪せません。 PID制御といっても、何個か種類があり今回は3種類のPID制御方式を紹介しようと思います。 1.PID制御 制御工学を学んでいるとまず教えられるのがPID制御です。 $${u=K_p(x_t-x)+K_i\int(x_t-x)+K_d(\dot{

          PID制御の作法 part1