見出し画像

ハーフサイズカメラ






「ハーフサイズカメラ」という種類のカメラがある。通常のカメラは135フィルムを1コマ36×24mmで撮るが、これはその半分の約18×24mmで撮るので撮影可能枚数が倍になる。主に1960年代に流行した。

「ハーフサイズで撮影したポジは宝石箱のようだ」と言った人がいる。まさにその通りだと思う。カラーリバーサルで撮影したポジをライトボックスに乗せてルーペで覗くと、撮影時の光がそのままそこで呼吸しているように感じる。ハーフ判だとスリーブ全体を見たときに宝探しのようになるのだ。

上に載せた3枚(計6枚)の写真は、隣り合わせのコマを2枚ずつ複写したものである。スキャナーでスキャンするよりも、デジタルカメラで複写した方が光の奥行きが出る。ような気がする。

信じてもらえないかもしれないが、これらは意図して撮影したものではなく偶然隣り合わせになったものだ。いずれも歩き慣れた道で何も考えずに撮った。それぞれなんらかのシークエンスになっていて面白い。


しばらく前からずっと思っていて、いつか書こう書こうとしつつ忘れていたことがある。思い出したので一気に書いて投稿する。


最近のカメラ好きの間では「ハーフサイズカメラ」を「ハーフカメラ」と呼んでいるようだが、どうにも違和感がある。会話や文章の流れで、カメラの話だと分かっているという前提で略すなら「ハーフサイズ」もしくは「ハーフ判」だろう。

1960年代の終わりから10年ほど。実家のカメラはリコーオートハーフSだけだった。その頃は当然そんな呼び方はなかった。それ以降の1990年代前半には中古カメラブームがあったが、書籍やカメラ店や仲間内でも聞いたことがない。

ネット時代になっても、しばらくはなかったのではないか。私が気になり出したのもこの5年、いや3年くらいだと思う。フィルムが高くなってきて、逆にフィルムカメラを新鮮に感じる若者が増えてきてからだ。

今やSNSなどでは「ハーフカメラ」の方が主流になっていて、徐々に中古カメラ店のサイトでも使い出してきている。誰か問題提起していないか検索したが皆無だった。みんな寛容なのね。

もちろん若者たちを責めるつもりはない。最近始めた人がネットを調べて「そういうカメラなんだ」と知れば、その言い方が広まってしまうのはしょうがない。

言葉が時代とともに変化するのは分かる。「食べれる」などの「ら」抜き言葉は私も使ってしまう。しかしあくまでも話し言葉限定だ。

物の名称はそれとは違う。ここが最も言いたいことなのだが、現在すでに作られていない昔の物の名称は、当時の正しい呼び方で呼ぶべきだと個人的には強く思う。

とにかく「ハーフカメラ」という呼び名は気持ちが悪い。私などはそれを聞くと、カメラやレンズを真っ二つに切ったカットモデルを思い浮かべてしまう。ハーフサイズのカメラは「ハーフサイズカメラ」だ!

と言いつつ私もSNSにハーフ判の写真を投稿したことを思い出し、さかのぼって見てみると、「ハーフサイズカメラ」と「ハーフカメラ」の両方のハッシュタグを付けていた!記憶をたどると「ハーフカメラ」のタグのほうが圧倒的多数だったからそうしたのだった。なんてこったい。

いま改めて検索するとInstagramのタグは「ハーフサイズカメラ」が1.7万件なのに対して「ハーフカメラ」は何と10倍の18万件。あーあ。ちなみにこのnoteでは前者が約101件に対して後者は約229件だ。Wikipediaでは「ハーフカメラともいう」と付記されているな。

こうして言葉は崩れていく。繰り返すが当時を知らない人たちを非難しているわけではない。多くの人に読んでほしいので、ここにも「ハーフカメラ」のキーワードを入れておく。気に触った方がいたら申し訳ないが「面倒くさいジジイが何か言ってる」とスルーしてもらいたい。


電子書籍

「カメラと写真」


Instagram

@ryoichi_asahi02

https://www.instagram.com/ryoichi_asahi02/?hl=ja

@ryoichi_asahi
(現在、私がログイン制限中のためコメントにお返事が出来ません)

https://www.instagram.com/ryoichi_asahi/?hl=ja


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?