そう。僕はまだ、こどもだ

6月27日木曜日、小雨

米資本企業に勤めている元同僚と飲むから来ない? 誘ってもらえたのでホイホイでかける。(同じフロアで……どころか、同じチームで働いている同僚も同席するとわかっていたのだけれど僕が席を立ったときには彼の姿はなく。少なくとも良くは思われていないなあ……と再度苦い思いを噛みしめる)

元同僚は、最後に会ったのがいつだったか──5年前? 10年前? 前回にはかなり肉付きがよくなったなあ! という印象だったけれど、今日は一緒に仕事をしていた頃と同じような(顔つきも。なんだ、東洋人は年をとらないってのか?!)感じだった。変わらないねえと伝えたところ、そんなことはない、ずいぶんと太っていると返された。(まあ僕だって腹肉が乗るものな……そんなものかもしれない)

64コアのCPUを乗っけたマシンで開発をしているとか、オープンソース系の担当をしているからローカルにチェックアウトしないとできないんだとか、そんな話を聞く。
同席していた元同僚の大先輩が、それだけあったら探索が捗るなあとおっしゃっていた。そういえば25×25の盤面サイズの数独は、テンプレートマッチングを使ってもついぞ解けなかったなあ、とちょっと苦い記憶が蘇った。僕の興味分野での全数探索は、もちろんCPUパワーが必要ということもあるだろうけれど、それよりはいかに効率的に枝かりをするかにかかっているはずで……。

* * *

同じ席で、(やはり元同僚の)饒舌なエンジニアを社内ディレクトリーで検索したら(退職ではなく)RIPになっていた、と聞いた。
また羊を食べに行こうと約束していて、だから春になって2回ほどツイッターで声をかけた。(それ以外に繋がりがなかったから、だ)
だけれど返信がなかった。それは、そういうことだったのか。

腑に落ちるということもあり、でも、もっと話をしたかった。

大学生の頃の指導教官、僕の実の兄、そして彼。だいたい、この年の頃に、ふといなくなるんだな。

* * *

元同僚の尊敬する大先輩に「無責任に言うけれどさあ、池邉さんは外に出た方がいいよ」と言われる。

そうかもしれない。そうでないかもしれない。

ただ最近、僕は、あまり……。 自己評価が低くて(それは逆にプライドが高いってことだよ)、人に何かを求めて断られたら潰れそうだし(それはまだ「こども」だってことだよ)……

僕はいま、あまり自分がなにをしたいのか、わかっていない。自分のしたいことがあるなら、それをすればいいし、それに近い仕事ができるところを探す、なんて選択肢もあるだろう。
けれど無いんだよな、そもそもの自分のしたいことが。
それにいまさら、人のやりたいこと、それを十全に伝えることのできない他人の望みを叶えるために、うまく伝わらなかったことの苛立ちをぶつけられながら動く──なんてことを一からやり直す気分に、なれない。

* * *

『硝子の魔術師』、昨日の時点では「どうなんだろうなあ…… これはちょっとなあ……」だったんだけれど、後半、向こう見ずな展開以降はものの見事に引き込まれページを繰る手が止まらなくなった。

最後、このページ数でどうやって畳むんだよ?! とおもっていたら、ちゃんと畳まったよ。豪腕。

著者によるあとがき解説にもあったけれど、タイトルの意味から予測した展開が、そうだっただけに裏切られ、へええ! となった。
しかし、しかし、しかし、だ。それをひっくり返したら、ちょっと魔術の重さが、ねえ?

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