『空の青さを知る人よ』

10月11日金曜日、雨

予告編を見たのはいつだったか。見た瞬間、「これはいかんやつだ」、と直感した。そしてその公開日の今日、その直感が正しかったことが確かめられた。さすが僕。僕のツボをつく表現を嗅ぎ分ける嗅覚が尋常じゃない。

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昨晩、予約入れようか迷ってやめて。でも朝になって再び予約状況を確認。空きがあるのを見たら決心かたまり、用事を済ませてから出社しますと連絡を入れて座席を確保。公開日の初回上映で楽しんできた。

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なんといっても最初に来るのは「絵柄」。エンドロールをみていたらキャラクターデザインが田中将賀あはあ。『君の名は。』だし『天気の子』じゃあないか。
お姉さん「あかね」のあのふわっとした雰囲気とメガネ、もうなんとも言いようがないほど直撃だし、妹「あおい」のぶっきらぼうな雰囲気と太い眉毛。どうやったらこんな鷲掴みデザインができてくるんだ……。

ストーリーはとにかく抑制をきかせて、抑えて抑えて抑えて抑えて抑えて〜、からの、予告編にあったあの空を駆けるシーン。
そこまでずっと地味に地に足のついた演出をしてきたので、え〜!? そこでいきなりファンタジーに振り切っちゃうの?! すっげえすっげえすげえ! と、カタルシスがとんでもなかった。(でも考えてみれば「しんの」の存在でのっけからずっとファンタジーをやってたんだよね)

あか姉の涙、あおの「こんなこと言いたかったんじゃない」とか、しんのの「こんな風になりたいとおもわせるオレでいてくれ」とか。
失恋の疾走とか……

もう全部泣ける。ぜんぶ大好き。

──そのシナリオは、と、エンドロール見てたら「岡田麿里」。ほほう、『荒ぶる季節の乙女どもよ』原作者じゃあないか。エンドロールといえばプロデュースに川村元気ってあって、あー……ってなった(これまた「君の名は。」じゃないか)。

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「しんの」のポジティブさ、すごく素敵だった。
年をとった「しんのすけ」と「あかね」のゆっくりめの交流、すてきだった。(ちょっとピュアすぎるけどな!)

「あおい」は、あかねを自由にしたいと独白していたけれど一方で攻略ノートを見てはじめて姉が自分にかけてきた愛情を知ったりもする。負担をかけている、自分が重荷だ。その感覚はとてもよくわかる。
発想が「自分」起点──なんだよね。いまだに僕はそれに囚われてしまっている。

人を好きになって、好きだからこそその人のために。

ううーん……なんだかうまく言えないんだけれど、自分本位でない、相手の幸せを願って相手が喜んでくれることをこそ望んで、(たとえ自分が報われなくとも)それが喜びになる──そういうのって、無私であることって、できるようになるものかな?

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本編に入る前の予告編で気になったのは『アナと雪の女王2』と『僕のヒーローアカデミア』。

アナと雪の女王も大好きで映画館で2〜3回見たしサントラもDVDも購入した。あれは、エルサへの感情移入が半端なかった。誰も入れてはならない、知られてはならない、あるべきようにいい子でいなさい。自分の異能で妹を傷つけ、隠せと言われ、自ら受け入れることができないでいる。失敗できないという綱渡り。暴走。一人になってしまったという自棄と自己憐憫と開放感……。

違った形だとはおもうけれど、僕も僕を認められないでいるところがある。ずっと抑圧しているから、あの生真面目さと危うさがひしひしと迫ってきたんだろうなあとおもっている。

ヒーローアカデミアは、きっと原作読んだら、そしてどれでも映画を見たら、めちゃくちゃハマるんだろうなあ……と感じている。それほど優れているわけじゃないけれど、追い込まれても逃げずに歯を食いしばって頑張る系の表現にみえるんです。そういうの、大好きなんです。

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