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大変な課題にどんな環境で向き合うか。

こんにちは。
青山にてフリーランス美容師をやっております加藤亮平と申します。

腕を組む男性

僕はフリーランスという働き方を選んで7年目になります。

もちろん最初は雇用サロンでアシスタント時代を経験し、よくも悪くも6年という歳月をそのアシスタント期間に費やしてきました。


これは本当に「よくも悪くも」で、そんなに長く下積み期間が必要なのかと言われれば早いに越したことはないという人もいるかもしれません。

しっかりとした基礎や経験を積むためにはある程度の歳月は必要だいう意見もあるかと思います。

正直な話、実際にその6年間を経験した自分としてもどちらが正解だったかなんて未だわかりません。

強いていうなら今こうしてなんとかやれているので僕個人としては結果オーライだったのではないかと思います。
(ちなみに刈り上げの試験に合格するまでに1年かかったのはここだけの秘密です)


とはいえ一歩引いて周りのフリーランス美容師さんを見てみると、何か一つに特化し発信し、共感して支持してくださるお客様を見つけることで技術者としてやれてる美容師さんがたくさんいます。

当時の自分を照らし合わせると凄いなぁと思ったり羨ましくも思ったり。


僕が過ごした6年というのは美容スキルと接客スキルを習得するための時間としてのその多くのウエイトを占めていました。

当然その括りとしてはお客様の要望に応え満足していただくというのが大きいですが、今を生きるフリーランサーとして思うのはそのスキルだけを追求するだけだと今を含め今後これからはなかなかサバイブしづらくなっていくのではと感じています。

「美容と接客のスキルは当然必要だけれどそれだけで大丈夫なのか?」
おそらく僕だけじゃなくこう感じている人はたくさんいると思います。

情報の収集と個人の発信、ニーズの共感と最適な提案。

お客様とどういう関係性でいられるのかということを考えた時に、長期的な考えと戦略が必要になってきているなと感じています。

今回は僕自身が感じている、「フリーランスって要は結構大変じゃない」ってお話です。


⬛️僕が掲げているもの

僕はフリーランスという働き方を選んだ時に掲げたものがあります。

それは「一人一人のお客様と出来るだけ長くお付き合いをさせていただく」ということ。

この中には個人対個人としてより長く、より濃くお付き合いくださいをさせていただくというニュアンスを含んでいます。

もちろんそれを叶えるためにはフリーランスにならないといけないかと言いうと、勿論そんなことはありません。

人によって最適な環境というものがあると思っていて、自分にとってのベストな場所、他者との関係性があるはずなんです。

たまたま僕にとって最適な環境というのが「フリーランス」という働き方であっただけ。

よく、「自分らしい働き方」とか「新しい働き方」なんて言われたりしますが僕にとっては自分目線が半分で、対お客様に対してフリーランスというのは長期的に考えた上での最適解でした。


この「一人一人のお客様と長くお付き合いをさせていただく」というのを目指すためにはどうしたらいいのかと考えた時、お客様の要望に応え、しっかりとしたスキルを提供するということしか思いつけませんでした。

いやはや当然のことかもしれません。

なんせ6年間も技術と接客スキルを積み上げてきたので、取り急ぎの答えとしてこの二つしか出てこなかったのがしょうがないような気がします。


とはいえこれは当たり前といえば当たり前のこと。

これだけではお客様と一対一で信頼関係を構築し、維持していくためには少し足りないのかなと思うのが正直なところ。

長くお付き合いをするというところでいうと、技術はもちろん、それに加えて必要なものがフワッとした想いだけではダメだということを感じるようになりました。


⬛️個人と向き合うための顧客生涯価値

お客様と長くお付き合いをしていく上で、もっと定量的に数値化するためにはいろんな角度からアプローチしていく必要があると思っています。

例えば顧客生涯価値と言われるものもその中の指標の一つ。

LTV(Lifetime Value)なんて言われたりしますが、簡単に言うとお客様から生涯にわたって得られる利益のことで、1回の取引で得られる利益だけではなく、2回目以降の取引で得られる利益も含めて考えます。


このLTVというのは言葉こそなかなか馴染みがないものの、美容師であればサロンワークの中で無意識に意識しているものだと思っています。

  • 新規のお客様に次回も来ていただくためにはどうしたらいいか?

  • 2回目のお客様に3回目来ていただくために何を提案するべきか?

  • 継続して以降通っていただくために自分にどんな価値を感じていただくか?

上記で挙げたのは一回で失客しないということが大前提です。

特に僕らフリーランスという特性上、単価アップをして瞬間的な利益を上げたとしても、もしそれがお客様の求めるものではなかったら意味がありません。

逆に長期的な目線で考えるとむしろマイナスで、ネガティブなアプローチは顧客生涯価値を下げるだけだと思っています。

新規でいらしたお客様の場合、僕らが注力すべきはいきなり押し売りにならないということ。

⬛️お客様が求めるもの

例えばお客様に技術を提供するときのことを考えてみたいと思うのですが、美容院に来店されるお客様のニーズは大きく二通りあると思っています。

希望のスタイルを持っている場合

以前に比べお客様は多くの美容師さんが作るヘアスタイルをSNSを通して日常的に見て比較することができるようになりました。

それによってこんな髪型にしたいとか、こんな髪色にしたいとか「自分のなりたい」と照らし合わせてイメージした上で来店されるお客様が増えたように思います。

そういったお客様は目指すべきスタイル(=答え)がはっきりとしているため、美容師はいかにその希望に対して応えることができるか、そのスキルが今まで以上に必要になってきているのは事実です。

つまり、正解を知っているお客様の目をごまかすことができなくなっていているということです。


・悩みを解決するための方法が知りたい場合

美容院に来店されるお客様の中には髪型含め様々な悩みを抱えている方がいらっしゃいます。

くせ毛や直毛、髪が細い太い、毛量が多い少ない、ボリュームやハリコシ、絶壁やハチはりなどなど。

目指す髪型があるというよりは今の悩みやコンプレックスを解消できる髪型を探しているというお客様です。

この場合必要なのは悩みを解決できる技術や知識を持っていることと、自分の引き出しの中からそれを組み合えあせて提案できるかどうかです。

この人にはこれが似合う、普段のお手入れやライフルタイルを考えて色んな角度からその人にあった最適な答えを提案できる力が必要になってきます。


⬛️イメージすべき長期的な戦略と考え

長く通っていただくということはフェーズによってお客様自身の要望や悩みも変化していくということです。

一つ目のパターンの場合、お客様が求めるスタイルはきっとその時その時によって変わりますし、二つ目のパターンにおいても年齢に応じて悩みは変化してきます。

長期的に考えるのであればこの二つをクリアすることができれば大丈夫なのではとも思いますが、フリーランスの場合〇〇特化という概念がそのハードルを少し上げているようにも思います。

そもそもこの生涯顧客価値を構成する要素には以下の6つがあります。

・平均顧客単価
・収益率
・購買頻度
・継続期間
・新規顧客獲得コスト
・既存顧客維持コスト

結局のところ長くお客様とお付き合いをさせてただく、つまり顧客生涯価値を高めるためには〇〇特化のフリーランスの場合特に多角的な部分からアプローチが必要になります。

もうなんかこの6つを見ただけで考えることいっぱいじゃんと思ってしまいます。


基本的に僕たちはマンツーマンであるということもあり、長く美容師をやっていくには対応できる顧客数は確実に減っていきます。
そうなると顧客数ではなく一人当たりの単価が重要になってきます。

とはいえ身勝手な値上げや押し売りは個人として価値を持たないし、収益率を考えた場合も自分の時間にいくらの価値をつける、つまり時間単価をいくらに接待するかで変動してきます。

これがよく言われている顧客単価<時間単価です。


また、お客様に定期的に来店していただくための次回予約やメニュー提案であったり、必要に応じて来店のリマインドを促せるような関係性の構築も必要になってきます。
(とはいえこれには時間が必要で直ぐ作れるものではないと思っています)

長く通っていただくためにはその人にその時にあったアプローチを考えることも重要です。


フリーランスとして避けては通れない集客においても、新規のお客様を獲得するために何を使って誰に向けて、そしてどうやって発信していくのか。

そこに費やす自分のリソースはどのくらい確保し、目標達成のための定性的な課題はなんなのかを定期的に確認し修正することもサロンワークの傍やっていかなければなりません。

既存のお客様に対しては継続して通っていただくための安定した技術と接客の提供はしつつも、飽きられないように価値を感じていただける方法は何なのかを追求し続ける必要があります。


⬛️そうは言っても結局

最初の方でも書きましたが、よくよく考えると僕ら美容師というのは無意識のうちに意識的にこの作業を脳内で必要タスクとして潜在的に理解し、それをサロンワークに落とし込んでいるんですよね。

フリーランスであってもそうでなくても。

なので今更ではありますが「要は結構大変じゃない?」と思われる部分も全ての美容師さんはそれぞれの環境で日々こなしていると思っています。

あとはこのタスクをどこでこなしていくか。

つまりお客様との関係性を長く続けていくためにはどんな場所を選ぶか。


それが僕にとってはフリーランスという環境だったよ、ていう話でした。

日々こんなことを無意識のうちにこなしている美容師という仕事をサバイブしていくのは大変ではありますが、環境によってはその価値を大きく変えることができると思っています。

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