白い空間

ここには何もない。
ただただ白い空間。
そこに自分は放り投げられた。
周りを見回してみても何もない。
あるのは自分の影だけだ。
上を見上げてみる。
ーー白いーー影があるのだから光があるはずだ。
その光らしきものもない。
今向いている方角がわからない。
北か、南か、西か、東か。
在って無いような黒々とした影。
自分と同じ身長ほどの影。
手を挙げると影も手を挙げる。
お辞儀をすると腰から上が消える。
試しに歩いてみると、影も同じ方向に動く。
当たり前の光景だ。
”なんなんだ、この影は”
影の顔のあたり、ちょうど自分の口があるところ。
突如としてそこに何もないようにぽっかり空き、
ちょっと形を変えながら次第に閉じた。
”なんだこれ?”
また穴が開き、また形を変えながら閉じる。
ーー。

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