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非デザイナーの疑問|なぜ「余白」は”白”なのか
いつものように、内側靭帯を痛めて45度にも曲がらない膝を酷使して、街中をフラフラしていた。
「酷使」と書いたが、ちかごろ思うのは、ひどくつかわれた時だけでなく、ひどくつかわれなかった場合も酷使だということ。
10年ぶりにサッカーをしてみて分かった。ひどくつかわれなかった靭帯は、もはや劣化したゴムのように脆い。なんでも適度につかっておくのが、いい。たぶん、maybe、perhaps。
冒頭2行を書き、早くも話が逸れた。ロベルト・カルロスのフリーキックほどに逸れて戻ってくれば気持ちいい。
解説者が「ロケットかミサイルのようだ」と表現するほど威力あるボールがゴールの外側に飛んだかと思った瞬間、ゴールネットに突き刺さる。
そんなことがあるのか......。そう思いたいのは、分かる。それくらい、明後日の方向に飛んでいるのだけど、事実あるのだ。だって悪魔の左足だもの。
*
ぼくは、キョロキョロと周りを見渡しながら自転車に乗ったり歩いたりする癖がある。特になにかを見ようとしているわけではない。ただ、今日は、白いものがやたらと目についた。
ガードレールや書籍の表紙、看板の文字、電気スタンド、ボールペン、Apple Pencil、エアコン、扇風機、雲、葉書、レシート、壁紙、ビニール袋......数え上げればキリがない。
そのあと、「白」といっても実際には全部が全部おなじ色ではないよな、などと連想ゲームのように広がった言葉が、ぼんやりと頭に浮かんだ。次第に、「余白」はなんで白なんだ? という疑問が浮かんだのだ。
というわけで、まずは定義を調べてみた。
文字が記してなく白く残っている部分
と書いてある。
例文には、「ー(余白)に書込みをする」とある。別に、「ー(余白)に書込みをするな!」とかでもいいのにね。あるいは、「ー(余白)に書込まざること山の如し」とかさ。ねぇ.......。どう思う?
文字が記してなく白く残っている部分
そもそも文字が書いてあることが前提で余りの部分を指すのか。ということは、出版関連の用語だったのかな。とすれば、紙は白であるべきなのか。よく意味がわからないし、これ以上そこを深掘りするつもりもないしふかわりょうでもない。
「余白は白」字面の通りに定義したのか。
それとも、予黒(よこく)にしたら予告という単語を想像する人がいたり、余赤(よせき)にしたら漢字の読めない人が寄席を想像するからなのか。
これは余談だ。なにも余ってないし余らせてもいないけど、余談だ。ちなみに習字は四段だし、焼き鳥は塩だ。
まとめると、「白以外の余白だって、あるじゃないか。」ただそう言いたいだけだし、言えばいいし、もう言った。
白以外の余白だって、あるじゃないか。
— 龍我(Ryoga) (@ryoga001_) June 18, 2022
一羽のカモメが、雲ひとつない澄み渡る空に飛んでいたら、余白は空そのものだ。その色は、決して白ではない。夕刻の地平線に一艘のヨットが浮かんでいたら、余白は橙や赤紫、濃紺が入り混じったグラデーションの空の色だろう。
ほらほら、余白は別に白じゃなくてもいいんだ。そう結論づけた矢先、目の前に並んだ本から、いくつか白い本を、ランダムに取り出した。
田中泰延 著 「読みたいことを、書けばいい。」
幡野広志 著 「なんで僕に聞くんだろう。」
加藤昌治 著 「考具」
半藤一利 著 「戦争というもの」
「余白」流行しているのか?
白ばかり。たまたまか。玉々か。キンタマか。
で、なんの話だっけ?
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