美少女ゲームのシナリオライターになりたい人よ、これをやれば一発で上手くなるぞ!【ツイート深掘り】
昨日のツイートが伸びたので、
もうちょい詳しくまとめちゃおう!
方法、実践、結論。
という流れで深掘りしていきます。
ちょっと実践部分が長くなるので注意。
美少女ゲームの、
シナリオライターになりたい人必見!
な記事です。
《基礎を網羅する勉強のやり方》
ツイートでは文字数があれなので、
かなり簡素に書きましたが……
もう少しだけ詳細に手順をまとめてみます。
やるべき項目は以下の4つ。
①5〜10KBのサンプルシナリオを書く
②全ての演出指定を記述する
③全ての台詞に演技指定を記述する
④2〜3の各指定を14字以内にまとめる
それぞれをもう少し詳しく書くと……
①5〜10KBのサンプルシナリオを書く
物語については、自分の書きたいものでOK。
2〜3をやるとかなり重労働になるので、
5KBでの挑戦がオススメ!
②全ての演出指定を記述する
背景、立ち絵、表情、エフェクトなど、
ゲーム画面上で起きる演出を全て指定する。
立ち絵の動きや、画面全体をアップにしたり、
レターボックス(上下の黒帯)など。
出来る出来ないは考えず、思いつくだけ書こう!
③全ての台詞に演技指定を記述する
各台詞を、どんな風に演技してほしいのか。
それを言語化して記述する。
実際の仕事ではビシッと決めたい所だけ、
演技の指定を入れるんだけど……
これを全部の台詞にやってみよう!
④2〜3の各指定を14字以内にまとめる
最初はこれが一番難しいかも。
2〜3で書いた指定を、
それぞれ14字に収まるように修正しよう。
シナリオに直接関係ないとも思えるが、
実はこの練習における最重要ポイントである。
手順としてはこんな感じかな。
じゃあここからは実際に、
私が10クリック分だけ実践してみます。
《実際にやってみせ!》
まずは手順①!
普通にシナリオを書いてみます。
物語の流れはそうだな、
「放課後、一緒に帰ろうと誘われる」でいいか。
10クリック分をちょろっと執筆してみると……
■実演①:サンプルシナリオ執筆
[01]
放課後、教室がざわめきを取り戻した頃。
弛緩した空気に流されるように、
どこかへ寄って帰ろうかなと考えていると——
[02]
【??(桜)】
「——ひーくん! 遊びに行こっ」
[03]
元気すぎる幼馴染にポンと背中を叩かれ、
いつものように振り返る。
[04]
【日向(主人公)】
「別にいいけど……桜は今日、部活ないのか?」
[05]
【桜】
「顧問の先生がねー?
彼女とデートするから休みになった!」
[06]
【日向】
「それでいいのか教師」
[07]
まあ大会を目指すような部活じゃないから、
それくらい緩い方がいいのかね。
[08]
【日向】
「それで遊びに行くって……
何するんだ? カラオケとか?」
[09]
【桜】
「先生を尾行しよう!
どんな彼女さんか見てみたいっ」
[10]
【日向】
「やめてあげて」
とりあえずこんなシナリオにしよう。
これで400文字くらいかな?
■実演②:演出指定入れ
さあ、ここからは手順②!
演出指定を思いつく限り入れていく。
(太文字の部分です)
//背景:教室(昼)、ややアップ
//SE:放課後の会話をする教室のざわめき(終了まで)
放課後、教室がざわめきを取り戻した頃。
弛緩した空気に流されるように、
どこかへ寄って帰ろうかなと考えていると——
//演出:画面全体を揺らす
//SE:ドンっと背中を叩かれる
【??(桜)】
「——ひーくん! 遊びに行こっ」
元気すぎる幼馴染に勢いよく背中を叩かれ、
いつものように振り返った。
//背景:アップを通常に戻し
//SE:放課後の会話をする教室のざわめき(終了)
//立ち絵表示:桜・笑顔(制服)
【日向(主人公)】
「別にいいけど……桜は今日、部活ないのか?」
//立ち絵:ぴょんと飛び跳ねるような動き
//表情:桜・><のような顔
【桜】
「顧問の先生がねー?
彼女とデートするから休みになった!」
【日向】
「それでいいのか教師」
//表情:桜・微笑み
まあ大会を目指すような部活じゃないから、
それくらい緩い方がいいのかね。
//表情:桜・きょとん
【日向】
「それで遊びに行くって……
何するんだ? カラオケとか?」
//立ち絵消去:桜・下にスライドしながら
//背景:ややアップ、ぼかし
//立ち絵表示:桜・下からスライドしながら、大きく顔をアップ
//表情:桜・><
//エフェクト:集中線
【桜】
「先生を尾行しよう!
どんな彼女さんか見てみたいっ」
//エフェクト:画面全体を揺らす、フォント大
【日向】
「やめてあげて!?」
こんな感じになっていく訳だ。
「こんな動きあったらいいな」と思いつけば、
全部記入していこう。
ただ、
実際の仕事でここまで書くことはほぼない。
ディレクターが指定することもあるし、
スクリプターが指定なしで組むこともある。
だけどスクリプターの技術レベルによっては、
シナリオライターが入れ置いた方がいい時もある。
臨機応変に対応するが吉だね。
今自分がやってる外注案件なんかは、
これくらい指定を入れてるかな。
■実演③:演技指定入れ
さて、次は手順③!
台詞への演技指定を入れていこう。
今回は練習なので、主人公の台詞にも入れてみる。
//背景:教室(昼)、ややアップ
//SE:放課後の会話をする教室のざわめき(終了まで)
放課後、教室がざわめきを取り戻した頃。
弛緩した空気に流されるように、
どこかへ寄って帰ろうかなと考えていると——
//演出:画面全体を揺らす
//SE:ドンっと背中を叩かれる
@CV:元気よく、嬉しそうな感じでお願いします
【??(桜)】
「——ひーくん! 遊びに行こっ」
元気すぎる幼馴染に勢いよく背中を叩かれ、
いつものように振り返った。
//背景:アップを通常に戻し
//SE:放課後の会話をする教室のざわめき(終了)
//立ち絵表示:桜・笑顔(制服)
@CV:最初はややイラっとして、その後は普通の演技をお願いします
【日向(主人公)】
「別にいいけど……桜は今日、部活ないのか?」
//立ち絵:ぴょんと飛び跳ねるような動き
//表情:桜・><のような顔
@CV:無邪気な感じを出してください
【桜】
「顧問の先生がねー?
彼女とデートするから休みになった!」
@CV:呆れた、感情の乗っていないツッコミをお願いします
【日向】
「それでいいのか教師」
//表情:桜・微笑み
まあ大会を目指すような部活じゃないから、
それくらい緩い方がいいのかね。
//表情:桜・きょとん
@CV:やや乗り気だけど、そこまで前面に出さない感じでお願いします
【日向】
「それで遊びに行くって……
何するんだ? カラオケとか?」
//立ち絵消去:桜・下にスライドしながら
//背景:ややアップ、ぼかし
//立ち絵表示:桜・下からスライドしながら、大きく顔をアップ
//表情:桜・><
//エフェクト:集中線
@CV:無邪気な感じで、後半はニヤニヤと悪巧み感を出してください
【桜】
「先生を尾行しよう!
どんな彼女さんか見てみたいっ」
//エフェクト:画面全体を揺らす、フォント大
@CV:先生への悲壮感を入れつつ、大きな声でお願いします
【日向】
「やめてあげて!?」
実際の仕事ではこんなに書き入れない。
ここまでやったら声優さんの味が出ないし……
でも練習としては一度やってみてほしいな。
既にツッコミどころが見えている人もいるだろう。
じゃあ次項でそこを修正してみよう。
■実演④:14字以内にまとめよう
最後に、指定を全て14字以内にまとめる。
できれば10字以内がいいレベルだ。
前項のテキストに目を通すと、
短くまとめられる箇所がいくつか見える。
まだ分からなくとも、
この練習を2〜3回やれば身に付くぞ!
じゃあ修正を入れてみると……
//背景:教室(昼)、ややアップ
//SE:教室のざわめき(継続)
(旧:放課後の会話をする教室のざわめき(終了まで)
放課後、教室がざわめきを取り戻した頃。
弛緩した空気に流されるように、
どこかへ寄って帰ろうかなと考えていると——
//演出:全体揺らし
(旧:画面全体を揺らす
//SE:ドンっと背中を叩かれる
@CV:元気よく、嬉しそうに
(旧:元気よく、嬉しそうな感じでお願いします
【??(桜)】
「——ひーくん! 遊びに行こっ」
元気すぎる幼馴染に勢いよく背中を叩かれ、
いつものように振り返った。
//背景:アップから戻し
(旧:アップを通常に戻し
//SE:教室のざわめき(終了)
//立ち絵表示:桜・笑顔(制服)
@CV:最初はややイラっと、後は普通
(旧:最初はややイラっとして、その後は普通の演技をお願いします
【日向(主人公)】
「別にいいけど……桜は今日、部活ないのか?」
//立ち絵:ぴょんと飛び跳ねる動き
(旧:ぴょんと飛び跳ねるような動き
//表情:桜・><のような顔
@CV:無邪気さを前面に
(旧:無邪気な感じを出してください
【桜】
「顧問の先生がねー?
彼女とデートするから休みになった!」
@CV:呆れた、感情のないツッコミ
(旧:呆れた、感情の乗っていないツッコミをお願いします
【日向】
「それでいいのか教師」
//表情:桜・微笑み
まあ大会を目指すような部活じゃないから、
それくらい緩い方がいいのかね。
//表情:桜・きょとん
@CV:やや乗り気なのが見え隠れする
(旧:やや乗り気だけど、そこまで前面に出さない感じでお願いします
【日向】
「それで遊びに行くって……
何するんだ? カラオケとか?」
//立ち絵消去:桜・下スライド
(旧:桜・下にスライドしながら
//背景:ややアップ、ぼかし
//立ち絵表示:桜・上スライド、顔を大アップ
(旧:桜・下からスライドしながら、大きく顔をアップ
//表情:桜・><
//エフェクト:集中線
@CV:無邪気に、後半は悪巧み感を
(旧:無邪気な感じで、後半はニヤニヤと悪巧み感を出してください
【桜】
「先生を尾行しよう!
どんな彼女さんか見てみたいっ」
//エフェクト:全体揺らし、フォント大
(旧:画面全体を揺らす、フォント大
@CV:先生への悲壮感を思い叫ぶ
(旧:先生への悲壮感を入れつつ、大きな声でお願いします
【日向】
「やめてあげて!?」
こんな風にまとめられるかな。
「(旧:」で書いてあるのが修正前の分。
修正した理由については……
・わざわざ言わなくてもいい部分を削除
・重要な部分以外は消す勢いで
・敬語などは必要なし
といった基準で修正しました。
指定には敬語や口語はいらないからね、
思い切って削除しよう。
《この練習の効果について》
さて、最後にこの練習の意味を書こう。
ここからが記事の本番だ!
まず手順①。
「5〜10KBのサンプルシナリオを書く」
ここは当たり前のことにも見えるが……
基本的な部分も大切だ。
5〜10KBという短さの中だからこそ、
実力がハッキリと見えてくる。
・しっかり内容をまとめられるか
・ヤマ(盛り上がり)とオチ(着地点)を作れるか
・状況とキャラの魅力を伝えられるか
・単純に楽しませられるか
こういった点が出来ているか、
それを意識して書いてみよう。
あ、まだシナリオに書くのを慣れてない人は、
どれか1つだけ意識するだけでよし!
ゆっくり意識を増やしていこう。
次に手順②。
「全ての演出指定を記述する」
演出指定を入れることは、
ゲーム画面の状態をイメージすることに繋がる。
美少女ゲームはあくまでも「ゲーム」だ。
小説でもアニメでも映画でもない。
その強みを理解し活かさないと、
他のジャンルに負け、ユーザーが離れていく。
あなた自身としても損失だし、
業界全体としても募り募れば大きな損失になる。
この手順を踏むことで、
「ゲームとして、どうユーザーを楽しませるのか」
という意識を持つことができる。
そして手順③。
「全ての台詞に演技指定を記述する」
これも本質としては前項と同じ。
台詞をただの文字ではなく、
キャラクターの声としてイメージする必要がある。
前後の文脈から、
キャラの心情を得られるなら問題はない。
でもゲームとして強みを活かすなら……
「文章にはないが、演技から心情が伝わる」
という仕掛けを、
シナリオライターは意図して作り上げるべきだ。
(と私は常々思っている)
この手順を通して、
「どこを演技で見せるか、文章で見せるか」
を判断する力が養われる。
最後に手順④。
「2〜3の各指定を14字以内にまとめる」
ライターにとっては当たり前の技術だけど、
意外と難しい部分でもある。
簡単に説明すると、
「人に考えを分かりやすく伝える」
という技術を持っているか確認できる。
これが最終項目の本質だ。
演出指定はスタッフに向けた指示。
だけど気を抜いてはいけない。
分かりにくい指示を出したら、
軍はどう動けばいいか分からない。
長ったらしい指示を出したら、
軍の末端まで正確な情報が届かない。
文字が多いと沢山情報が伝わるように思えるが……
実際問題、
情報が濁ってまともに伝わらないことの方が多い。
このまとめを行うことで、
「短い文章で分かりやすく情報を伝える」
という技術を得られる。
分業で作品を完成させるならこれは必須テクニック。
身に着けておいて損はないぞ!
そしてそれは勿論、シナリオにも応用できる。
業務上においても無駄のない努力だと断言しよう。
《今日のまとめ》
今日はTwitterの呟きを深掘りをしてみました。
その結果が5000文字オーバー……
短く分かりやすくとは一体。
まあ参考にできる所あったら、
じゃんじゃん盗んでってください。
こんな風に「創作に役立つ知識・技術」を、
下のマガジンでまとめてます。
興味がある方はそちらもどーぞ!
皆さんの創作に役立って、
「シナリオライターになりたい!」
という人がひとりでも増えたら嬉しいな。
皆で業界を盛り立てて、
美少女ゲーム衰退論をぶっ壊そう!
では、また次回お会いしましょう。
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