Englister DAOでの経験と学び - 大企業サラリーマンが感じたDAO運営の難しさ
どうも、ライオです。
今や当たり前となったAIを活用したサービス。
そのジャンルに含めるとすると2022年からサービスを開始していた AIによる英語添削サービス「Englister」は時代の先を行っていたのではないでしょうか。。。
お知らせ と ふり返り
冒頭の導入から、残念なお知らせへつながってしまうのですが、、、
Englisterを運営するDAO「EnglisterDAO」が惜しまれつつ解散をする事が2023年4月1日にDiscord内で発表されました。
僕は実はEnglister DAOのメンバーとして度々活動しておりました。
過去の自身のEnglister DAOのDiscord内のメッセージを探すと、
僕は2022年7月16日にこのEnglisterDAOに参画してました。
おそらく殆どのDAOメンバーは創設者のちぇんさんのQiitaから入ってきているようだったので、エンジニアのバックグラウンドを持ってる方が多かったのではと感じました。
そんな中、僕はプロダクトマネージャーとして組織自体の運営ならびにプロダクト改善に多少ですが関わらせていただきました。
本業では事業計画の基礎部分や上流工程に関わる機会がほとんど無かったため、EnglisterDAOではその部分の担当を自ら買って出ました。
具体的に行ったことはプロダクトのVision/Missionの策定、KPIの定義、プロダクトロードマップの作成などです。規模は小さくとも実際に一般のユーザーさんに課金して利用してくれていたのでしっかりと売上も出ていたWebサービスに関わらせていただき、とても良い経験をさせていただきました。
EnglisterDAOの功績と解散理由について
こんな内容をつらつら書こうと思ったところで、創設者のちぇんさんが今回のことについてちょうど記事を書いてくれてましたので、そちらを読んでいただく方が正確かと思います!
会社と比較して感じたDAO運営の難しさ
前置きが長くなりましたが、ここから僕の視点でDAOを運営する上で感じたことをお話しします。
組織としての会社とDAOの違いについて肌で感じた経験を元に、現状のDAOが持つ課題や難しさについての内容になります。
ネットで調べれば会社とDAOの概念的な違いに関する情報はたくさん見つけられると思いますが、ここでは実際にDAO運営を経験したからこそ気づいた具体的なケースについて3点をまとめてみました。
(※あくまでも日本におけるDAOのケースになります。法整備が進んだ海外のDAOでは発生し得ない or 解決済みの課題の可能性もあります。予めご了承ください)
1. 興味を原動力とした活動をしないと長続きしない
会社員として働くと当たり前ですが会社への貢献の対価として毎月のお給料が支払われます。
EnglisterDAOでは、サービス自体が既に収益化されていたため、その収益をトークン化し、DAOへの貢献に対してメンバーにトークンを分配する方法を採用していました。
しかしそのトークンだけで儲けられるかというと(売上が上がれば可能性はもちろんあると思いますが)ひとつの副業として成立するぐらいの儲けになるかというと、そこまでには至りませんでした。
そうなるとDAO運営のモチベーションはお金を儲ける事以外のところから起こす必要があります。
おそらくDAOに定着していたメンバーの方々の大半は、
Web3やDAOに関心があったり、DAOとは何か、DAOで何が出来るのか、DAOはどうやって運営するのか、といった点についてとても強い興味があってEnglisterDAOに参画・継続的に活動されていたのではと思います。
僕の場合は少し特殊かもしれませんが、付与されるトークンやWeb3自体には実はそこまで興味は無く、自律的に動けば自分がやりたいことができる/経験できる"環境に対して価値を感じて活動していました。
いずれにしても、いわゆる「儲け」を目的にDAOを運営に継続的に関わるのはメンバーの定着という観点では現状は難しいと感じました。
2. 利害の一致を図ることが協力を促すカギとなる
会社員は、月々の給与と引き換えに雇用契約に基づく業務責任を果たすことが求められます。
職務を怠ると評価が下がり、給与減額などの影響を受けるため、会社員は自らの職務を遂行するよう努めます。
しかしDAOの場合、雇用主や管理者が存在しないため、メンバーの自律性が組織を支えます。どういうことかというと、ぶっちゃけ誰も業務責任を負っていないとも言えます。
そのため、誰かに何かのタスクをお願いする時にはどうやってお願いしたらタスクを実行してくれるのか、かなり慎重に考えました。無理なお願いをするとそれが原因でDAOを離れてしまうリスクになり得るからです。
会社であれば、明らかに相手の責任の範疇であるタスクの実行をお願いしたにも関わらず、それを拒否されたりしたらその人の管理者に対してクレームをするなどで一定の強制力が働きますが、DAOはそういうものがありません。
そのため考えたこととしては、タスクの遂行によって双方の利益が一致するようにすることに注力しました。
例えば、
・このタスクを実行すればDAOとしての売上に大きく貢献するかどうか
・このタスクを実行すれば相手が欲しい経験を得られるかどうか
・このタスクを実行すれば相手が興味・関心のある知識に触れられるかどうか
などです。
これらの要素を踏まえて、タスクに対する相手の実行意欲を事前に見極め、その上で依頼を行うことが望ましいです。
また、スケジュールや期限の設定も難しいと感じることがあります。
例えば、自分が月末までにタスクの完了を望んでも、相手にはそれまでに完了するメリットや縛りが存在しないことが多いためです。
このため、不本意ながらスケジュールには余裕を持たせたり、期限を設定しない場合がほとんどでした。
今後の解決策として、トークンを中心にある程度の強制力を働かせる仕組みを構築することが重要になると感じました。
3. 指示待ち人間ではDAOでは活動できない
会社では待っていれば上司やマネージャーからタスクが落ちてくるのでそれを捌くだけで、それ相応のお給料をもらえているかもしれません。
しかしDAOは文字通りフラットな組織であり、指示をしてくれる上司やマネージャーは存在しません。
そのため、自分自身でDAOに価値がある行動とは何かを見出し、自ら行動することがとてもとても大切になってきます。
逆に言えば、自ら何か価値がある行動を見つけ出せない人はおそらくDAOに対して価値を生み出せない、もといDAOでは活動が難しいのではないかと感じました。
価値ある行動が見つからない場合でも、自分がどのようなスキルや能力を持っており、DAOに貢献したい意思を他のメンバーに示すことが大切です。
そのようなアプローチを取れば、他のメンバーが必要なアクションや具体的なタスクを教えてくれる可能性が高まります。
さいごに
EnglisterDAOの経験を経て、DAOならびにコミュニティの力や面白さ、Discordの利便性、1→10フェーズと10→100フェーズでのやるべきことの違いなど様々なことを勉強させてもらいました!
これを今後は自分のキャリアや新たな活動にこの経験を活かせるようにしていこうと考えています。
Englister DAOの皆さん、
お疲れさまでした & 貴重な経験をいただきありがとうございました!!
またいつかどこかで ;)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?