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日本のタクシー/ライドシェアについて過去の当事者の視点で考察してみた (Part 1)

どうもライオです。

最近また、転職しようかな〜と考えるタイミングがあり、
とりあえず最近の求人内容などを見たりしてたのですが、そんな時にある会社の求人が目に入り、そこから色々と考えを巡らせたことについて、思考の整理のために書いてみたいと思います。

ちなみにタイトルに書いたとおり、僕は過去に少しばかりタクシー業界に関連した仕事をしていたことがあるので、業界構造などの知識が多少あったりします。
なので、当時得た知識なども踏まえていろいろ考察してみたいと思います。

気になった求人とは

求人内容や募集されているポジションについてはそんなに重要ではなく、実は気になったのはその求人を出している企業についてでした。

その会社をここではM社と呼びますが、東京都内をメインのサービス運営エリアとしていタクシーの配車アプリサービスを提供している会社でした。

知らない会社だったので調べてみたのですが、
実態は東京のある大手タクシー会社1社(N社)と、ある日本の大手ITメガベンチャー(D社)が元々運営していた別々のタクシーの配車アプリ事業を統合し、新たに設立した新会社でした。

メイン事業としては、主に既存のタクシー会社と連携し、スマホのアプリから自分の現在地近くの"タクシー"を配車するサービスです。
その配車には乗車料金とは別に迎車料金*が発生します。(*正確にはタクシー会社や地域によるみたいですが東京は全て発生するようです)

ちなみに"ライドシェア"ってどんなものか知ってますか?


ライドシェアのサービスで有名なものにUberがあります。

日本では"Uber eats"が人気になっているため、Uberといえばフードデリバリーのサービスという理解が一般的かもしれません。

ですが、海外ではUberといえばタクシーに代わり、個人が所有している一般の自家用車で一般の乗客をドライバーとして目的地まで送迎し、その乗車料金をもらうというサービスが一般的でり、自家用車でお金を稼ぎたい個人と、車で移動したい個人のマッチングサービスです。
(Uberはその乗車料金の25%の手数料をドライバーに課金します)

他にもLyftや、アジアではGrabを筆頭とするライドシェアサービスが有名だったりします。


そして、このUberって実際に本国アメリカでどれぐらいで乗れるかご存知ですか?日本のタクシーもUberもWEB上で簡単に乗車料金を見積もれるので調べてみました。

比較対象は、距離感がイメージしやすいように、
東京の山手線内のエリアと、ニューヨークのマンハッタンがほぼほぼ大きさが一緒ぐらいなので、これをサンプルにしてみます。

山手線の沿線(下図の青いライン)とマンハッタン島を重ねた地図画像がネットに落ちてたのでこちらを拝借させていただき、加工してみました。

東京は JR山手線 田端駅からスタートし、五反田駅をゴールにしてタクシーに乗った場合。

ニューヨークは地図上で重ねた時に、田端駅に近しい位置にある 137 Street-City College という地下鉄の駅をスタートし、 五反田駅に近しい位置にあるPier 35 というマンハッタン橋近くの波止場をゴールにしました。


結果は以下です。


東京(タクシー)

参考:https://japantaxi.jp/charge-search/

ニューヨーク(Uber)

参考:https://www.uber.com/global/ja/price-estimate/

まとめると、

東京 6,100円 (※アプリ経由の配車はプラス迎車料金)
ニューヨーク 36.12ドル ≒ 約4100円(※一般的なUberXの料金を参照)

なんと、2,000円も差がありますね。

これは地域やUber以外のライドシェアサービスによっても異なるとは思いますが、Uberの場合ではライドシェアサービスだとこんなにも料金に差が出てしまうのです。

そしてこの料金の観点において、
僕が強調しておきたいポイントは2点です。

① Uberは配車料金ナシ
Uberの見積もりページでは見積もり詳細の料金も見ることができます。

(最低料金の設定はありますが)なんと、配車手数料はかかりません!
なので純粋に先程の金額のみを支払うだけで済んでしまいます。

一方、東京のタクシー配車アプリはというと、
東京に関しては配車できる全てのタクシー会社にといて配車手数料(迎車料金と呼ばれています)が100円〜420円のレンジで別途発生するようです。

② 料金の安さと2国間の平均年収の差の矛盾

最近の様々な日本の経済に関するニュースなどで聞いたことがあるかたもいらっしゃると思いますが、
アメリカって日本よりも平均年収って高いのになんでニューヨークの方が安いの? って思いませんか??

実際にどれぐらい平均年収が違うのか、
まずは実際の引用元を信じてサクッとまとめてみます。

ニューヨーク 平均年収:6万9211ドル ≒ 約797万円
東京平均年収:約595万円
*2019年時点

https://www.businessinsider.jp/post-186335
https://news.yahoo.co.jp/articles/5df58b54b452dec124edd7a1d9525deaae0c299e?page=2

なんと、200万円もの差が出ています。
なのになぜ、先程の タクシー vs Uberの料金のように差がでているのでしょうか?

これは僕の考えですが、それは東京のタクシー料金が逆にめちゃくちゃ高いからだと思っています。

日本のほとんどのタクシー(ドライバー)はタクシー会社に所属しており、タクシー営業によってお客さんからいただいた乗車料金の何割かをタクシー会社が徴収し、それ以外をドライバーの給与として払っている構図になっています。
つまり、ドライバーは会社員として働いているのです。

そのため、会社員として雇用するために必要な健康保険料や厚生年金保険料も負担しなければいけないのです。
また、営業のための車両の購入や整備/維持、またタクシー車内の機材、燃料費、またタクシー自体の事故に備えた保険料などその他いろいろな物のコストも発生します。
ドライバーを管理するための人のコストや車両を関するための営業所の場所代ももちろん発生しますね。

少し調べてみたところ、1日のタクシー営業による乗車運賃の約半分程度は会社の取り分になってしまうそうです。。。また、乗客が現金以外の例えばクレジットカードで支払った場合の手数料はドライバー負担になるタクシー会社もあるそうです(不思議な習慣ですね。。。)

このように、ドライバーにとってはなかなか厳しい条件です。

一方、Uberはどうでしょうか?

Uberの場合、ドライバーは個人事業主となります。そしてUberでの営業のために必要な車は自家用車で十分です。つまり既に車を所有していればそれで営業ができるわけですね。追加費用はかかりません。

では、Uberで営業するための特別な機械や端末は必要でしょうか?
いいえ、ドライバー向けのアプリが入ったスマホがあればそれだけで十分です。

ほかにかかるものといえば、ガソリン代ぐらいでしょうか?
あとはおそらく個人で入る保険料ぐらいですかね。
ですが、これは自分自身の移動のためにも使えるわけですし、全てがUberでの営業のためではないため、実質のコストがとても大きくなるとは考えにくいです。

そして(ライドシェアの説明時にも書きましたが)、
Uberドライバーは乗車運賃の25%が手数料としてUberに徴収されます。つまり75%はドライバーの利益になるのです。


このように、東京のタクシーでは、Uberに比べてコストが高いため、それ相応の値段にせざるを得ない現状があります。

かたや、Uberのドライバーは個人事業主であり、車は個人所有のもの、そして人を介さずにあらゆる処理を自動化することで低コストかつ効率的な配車のシステムを作ることでエンドユーザーが支払う料金を抑えることができているのです。

東京(または日本)のタクシーはUberに比べてコストもかかるし効率化されていないのです。

東京でもしライドシェアが始まったらいくらぐらいになるのか試算してみた


もし東京でUberのライドシェアサービスがあれば格安料金なので、ちょっとした移動でも徒歩や電車ではなくUberを使おうかなという気になります。

仮に東京でUberのライドシェアサービスであるUberXの営業が始まったらどれぐらいの料金になるのでしょうか。
先程のニューヨークのUberXを例をベースにざっくり計算してみました。

ニューヨークで、田端〜五反田間と同じ距離でUberXを利用した場合、ユーザーが払う料金4100円の75%、3075円ドライバーの利益になります

ここに、その都市の年収の差を加味します。

ニューヨーク 平均年収:6万9211ドル ≒ 約797万円
東京平均年収:約595万円

上記の年収の差として、割合を計算すると、
東京はニューヨークに対して、約-25%の年収差があります。
計算すると、3075円 ✕ -25% = 約2306円

UberXドライバーとして東京で田端〜五反田間で乗客を乗せた場合、2306円が東京でのドライバーの利益になると仮定します。

そうすると、UberXを乗客として利用するユーザーが払うのは、
逆に+25%のUberの手数料が加算された料金になるので、先程差し引いた-25%分の金額を戻すと、3075円が実際の乗客が支払う料金ということになりますね。(たまたま年収差率とUberの手数料率が同じでした)

つまり、東京でUberのライドシェアサービス UberXのサービスが始まり、田端から五反田まで移動した場合に現在のタクシーの6100円(アプリ配車の乗車料金+迎車料金)から、約半額の3075円になってしまうのです。。。

多少の差であれば、どちらかというと普段からタクシー営業に慣れているプロのドライバーを選ぶかもしれませんが、半額ほどの差が出てしまうとなると、たとえドライバーが個人の素人でも、車が自家用車であってもよいので、僕は断然Uberを使いたいです。経路知らなくてもGoogle Mapのナビがあればいいし、日本のタクシードライバーでさえ皆が道を知ってるかといえばそうではないのが現実です。

なぜ東京ではライドシェアサービスが始まらないのか

ここまで読んでいただいた皆さんであればこの疑問に行く着くのではないかと思います。

その理由も説明させていただこうかと思うのですが、
記事がめちゃくちゃ長くなりそうなので一旦それは次回にしたいと思います!(M社についても思うところがありそれも書きます)

読んでいただきありがとうございます!
次回の続編もお楽しみに。

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では!

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