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【読書】世界の終わりとハードボイルドワンダーランドの読み方【村上春樹】

村上春樹 長編小説


あらすじ
高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。

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新潮文庫の村上春樹長編小説では一番最初のもの(たぶん)
従来の村上作品の中では露骨な性描写がないので僕のお気に入り作品の一つである。

上巻はカフカほどではないが(海辺のカフカじゃないよ)理不尽が一つのテーマであって、結局それはいつものごとく解決も何も特にしないので、村上作品はこうなんだと割り切ること。

下巻では二つの世界の仕組みが重厚に説明ジジイによって明かされる。
サイエンスティックな面もあるのでSF好きはより楽しめる。

「世界の終わり」編では平和なはずだけど無機質で、感じる「違和感」がちょっと怖い。
「ハードボイルドワンダーランド」との繋がりが少しずつ暴かれることで、「僕」が選んだ結末が「あっちの世界の僕」にどのような影響があったのか気になる。
当然それが明かされることはない。

世界設定がしっかりしているのでファンタジー調で読める物語。
ピンクの娘がやたら身体の関係を示唆してくるが、キッパリと(?)絶った主人公は偉い。

歴史や社会的メッセージが入ることもなく、すんなりと世界に入り込むことができる。



100円でいい事があります(僕に)