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#コラム

「体得」は、非効率に見えることの積み重ね

何かができるようになる、それもきちんと「仕事」として評価される、一流のレベルに達するためには、効率化したい欲を一度捨てて、一見非効率に見える修行期間が必要なのではないか──。 社会人になって、自分が生み出す価値に値段がつけられるようになってから、私は常々「習得」「学習」のプロセスに興味関心を抱いてきました。 さらにこのnoteが多くの方に読んでもらえるようになり、「読まれやすいnoteを書くには」をテーマに話したり書いたりする機会が増えたことで、何かを身につけたり能力を伸

「noteって、どうやって運営していったらいいんでしょう?」 企業の担当者さんに相談されたとき私がいつも答えていること

長年noteを使い、noteのプロデューサーを務めていたこともあって、noteをはじめたい企業の担当者さんから相談を受けることが多々あります。企業側がやりたいこととnoteでできることをすり合わせた結果、「こんなにいろんな使い方ができるんですね」と驚かれることもしばしば。 特にフォロワーやスキを増やすためのノウハウではなく、これまでの公式の情報発信では拾いきれていなかった舞台裏を伝えファンとつながる場を作り上げるためのアイデアを話していると、担当の方自身の熱量が高まり「やら

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「もっと、もっと」ではなく「ちょうどよさ」の時代へ

「僕は『エレガンス』という言葉を "人に迷惑がかからない範囲の『ちょうどよさ』"と解釈している」。 この定義を聞いたとき、これまでエルメスに感じてきた心地よさの一端が理解できたような気がした。エルメスのアイテムは、主張しすぎることなく持ち主に寄り添う。声高にブランドを叫ぶことなく、モノの上質さによって見る側の心を爽やかにさせる。 中原淳一は、装いの意味は他人への配慮が大前提だと言った。 「身だしなみの本当の意味は、自分の醜い所を補って、自分の姿がいつも他の人々に快く感じ

美しく滅びゆく「私のすべて」

家の中を片付けていると、存在すらも忘れていた懐かしいものに出会うことがある。それまで記憶の片隅にもなかったはずなのに、たったひとつのモノがきっかけで当時の匂いや温度がそのまま蘇る。きっとモノは思い出を閉じ込めておくための外付けハードディスクで、私たちはモノを通じて自分の歩んできた道を記録しているのだろう。 普段の生活では特に役に立たないけれど、生きるために必要なもの。私が私であるために、必要なものたち。 日本では古来から、大切に慈しんで使うものには魂が宿るとされてきた。そ

大地震が起こる前に、これだけはしておけ!

1995年1月17日 5時46分。 阪神大震災の朝、震度7の真上にいて被災した人間として、ちょっとだけサジェスチョンしようと思います。 それは「大地震が起こる前に、どういう準備をしておけばいいのか」ということ。 経験者しか語れないことってあると思います。悔恨をこめてお伝えします。ボクが実際に体験した例からいくつかピックアップして「備え」について書いてみようと思います。 なお、東日本大震災(2011.3.11)は、地震被害も大きかったですが、基本的に「広域大水害」でした。

それでも、朝は来る

「なかったことにしないで」──。 ぼんやりと浮き上がる文字列を見た瞬間、これは私の言葉だと思った。 *** 映画「朝が来る」を見た。特別養子縁組や未成年の妊娠が題材になっているためこのテーマに関連した感想が多いが、私は「どうしようもない悲しみを、もう一度抱え込めるようになるまで」の話として鑑賞した。 なるべくなら、悲しいことや辛いことは避けて通りたい。ほとんどの人はそう考えているはずだ。だから自分だけでなく他人に対しても、なるべく悲しみを思い出させないように、「ふつう