「もっと、もっと」ではなく「ちょうどよさ」の時代へ
「僕は『エレガンス』という言葉を "人に迷惑がかからない範囲の『ちょうどよさ』"と解釈している」。
この定義を聞いたとき、これまでエルメスに感じてきた心地よさの一端が理解できたような気がした。エルメスのアイテムは、主張しすぎることなく持ち主に寄り添う。声高にブランドを叫ぶことなく、モノの上質さによって見る側の心を爽やかにさせる。
中原淳一は、装いの意味は他人への配慮が大前提だと言った。
「身だしなみの本当の意味は、自分の醜い所を補って、自分の姿がいつも他の人々に快く感じ