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盛岡市 vs 福島市

本州で一番大きい岩手県(15,275平方㎞)の県庁所在地、盛岡市。
本州で二番目に大きい福島県(13,783平方㎞)の県庁所在地、福島市。
どちらも内陸の元城下町。
どちらも人口は30万弱(28万@盛岡、27万@福島)かつ順調に減少中。
どちらも市街地からシンボル山を望む(岩手山@盛岡、吾妻山@福島)
どちらも市街地を大きな川が流れる(北上川@盛岡、阿武隈川@福島)。
ちなみに、東北新幹線は福島駅で山形新幹線と分かれ、盛岡駅では秋田新幹線と分かれる。どちらも切り離しが見られるというのでマニアには人気。

というわけで、私の住む福島市といろいろ属性の似てる盛岡市に観光に行ってきた。そして、どうしてもいろいろ比べてしまった。

岩手山

①盛岡市の観光コンテンツとして、宮沢賢治と石川啄木という二大有名人の存在は大きい(正確には賢治は花巻出身だけど盛岡にも所縁がある)。福島市が誇る音楽家・古関裕而氏とは、全国的知名度の点においては残念ながらレベチと言わざるを得ない。もしかして今の若者は賢治も啄木も知らないのかもしれないが、古関裕而はもっと知らないだろう(私も福島市に来るまで知らなかった)。一定以上の年代ならば熱烈な賢治ファン・啄木ファンがいるはずだ。私は別にファンというほどよく知っているわけではないが、彼らの世界観にはなんとはなしに惹かれるものがある。今回初めて行った「もりおか啄木・賢治青春館」や光源社はたいへん興味深く見学した。

②盛岡三大麺なるご当地グルメの存在も大きい。盛岡冷麺、盛岡じゃじゃ麺、わんこそば。どれもそれ一品で立派な食事になるところが、我が福島市の推し「円盤餃子」や「いかにんじん」とは決定的に異なる。今回私は、冷麺とじゃじゃ麺を両方食べたかったためにわざわざ1泊したのだ。〈注を追記:福島市に来て喜多方ラーメンが食べたいという人がたまにいるが、あれは喜多方の食べ物である。〉

盛岡冷麺は、どこの韓国料理屋でも置いてある「韓国冷麺」とは麺が違うという。まもなく還暦で噛む力も弱まってきたらしい私には少々コシが強すぎるような気もしたが、食べ応えは十分。そして冷麺スープはもともと私の大好物。久しぶりに堪能した。家でも楽しみたい人はお土産に冷麺セットを大量に買っていくであろう。

一方の盛岡じゃじゃ麺は今回まったくのお初。食堂で周りを見るとジモティたちが普段から食しているデイリーメニューのようであった。こちらの麺はモチモチと柔らかい。さすが、北国は小麦文化だ。麺バリエーションすごい。中盛りを頼んで多すぎたかと一瞬後悔するも、難なく完食。最後に器にスープと溶き卵を入れる「ちーたんたん」で締めるのがツウらしいが、初心者はいちおう遠慮しておいた。次回は別の店でトライしたい。

③市街を流れる北上川沿いがいい感じに整備されていた。そりゃ、パリのセーヌ川や京都の鴨川と比べてはいけない。でも川べりを歩く遊歩道は気持ちよかったし、駅近の川べり緑地にあるコンテナハウスみたいなカフェの屋外テーブルでお茶できたのもよかった。人は水辺の景色に惹かれるものだから、観光資源としてうまく使えるといいのだろうね。福島市内の川べりももう少しコジャレてくれないかなー。

このカフェの隣には居酒屋もあった

このほか、福島城址と違って盛岡城址には立派な石垣が残っているのもお城好きにはうれしいだろう。市内の主だった見どころはだいたい徒歩圏内なのもありがたい。有名な建物「岩手銀行の赤レンガ館」も駅から徒歩30分。歩きたくない人は循環バス「でんでんむし」が20分間隔で走っている。このへんも盛岡市がニューヨーク・タイムズ紙「2023年に行くべき52カ所」に選ばれた理由のひとつなんだろう。ただ、そのわりに市内の観光客は少ない印象。もっと外国人が来ているのかと思ったら丸一日歩いて1〜2組しか見かけなかった。

赤レンガ館。2012年まで現役の銀行支店として使われていたと知ってびっくり。

ちなみに、盛岡市の郊外にはこれまた全国区で有名な小岩井農場がある。こちらは今シーズンオフなので駅からの直通バスは運行しておらず、1時間半に1本あるかないかのローカル線に乗り、小岩井駅からタクシーを呼んで片道2000円とのこと。せっかく来たからとちょっと悩んだけど遠慮しといた。盛岡手づくり村というのも若干興味があったが、これもバスの便が悪すぎてパス。郊外の観光スポットへの二次交通は福島市に限らずやっぱりどこも課題なのかもしれない。

ということで、同じような二市を客観的に比べてみると、観光地としての全体満足度はやっぱり盛岡に軍配が上がるように思った。いまだ街中にデパートもアーケード街も残ってるし(福島のデパートは4年前からついにゼロ)。夏のお祭りだって盛岡さんさ踊りの方が有名だし華やかだし(福島わらじ祭りは……地味)。有名な工芸品、南部鉄器があるし(お土産としては重量もお値段もそれなりだけど)。〈注を追記: 福島市に来て赤べこが買いたいという人がたまにいるが、あれは会津地方の郷土玩具である。〉もちろんローカル線で1時間の距離に世界遺産「平泉」があるのも強い。

ちなみに、テーマとは直接関係ないけど、この記事を書くにあたって「盛岡市 人口」「福島市 人口」で検索してすぐ出てきたページの違いがこちら。

こんなところにも、外部者に対する自治体の姿勢が垣間見えるような気はいたします。<注を追記:後日福島市のページを見たところ少し改善されているような>

あ、でも温泉だけは…… 盛岡市内は「つなぎ温泉」ほぼ一択のところ、福島市には3つ(飯坂、土湯、高湯)もあるから福島の勝ち!(笑)あと、個人的には岩手山より吾妻山の姿の方が好みかな。

以上、現場からのレポートでした。


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