見出し画像

家康を松潤が演じるそうですが、北条家臣たちの粗忽さを嘆いた教訓の逸話から想像を膨らますとやっぱり狸おやじかも

こんにちは、両兵衛です。

そういえば、2023年の大河ドラマは「どうする家康」というタイトルで徳川家康が主人公となるという話を以前聞いたことを思い出しました。

ドラマなどの家康は、どうしてもずる賢い狸おやじとして描かれがちなので、嵐の松潤が演じることでイメージが変わるかもしれないですね。私も同じ三河人として楽しみにしています。

ただ家康の逸話というと、どうしても家臣たちに教訓を語るという印象があります。説教臭いというと失礼にあたるかもしれません。まあ、幕府を開いて東照大権現として祀られていますから、家康がこう言ったという逸話は、特に江戸時代の人たちにはありがたがられて作られたものも多いのかなと想像します。

で、今回はそんな家康の逸話を取り上げてみます。

家康が浜松城にいた頃のこと。

九年母(くねんぼ)という香りの高い、当時珍しかった蜜柑の一種が京から送られてきた。

そこで家康は、姻戚関係のあった小田原の北条家に百個ばかりをおすそ分けとして送った。

ところが、これを受け取った北条家の家臣たちは領内に橙(だいだい)の産地を持っていたため、九年母をよく吟味もせず橙と決めつけて言った。

「なんじゃ、珍しくもない。これは橙ではないか。浜松ではこんなものが珍しいのか」

そして、大きな長びつに橙を一杯詰めて、家康を嘲笑するつもりで返礼にと浜松まで運ばせた。

これを見た家康は、嘆息し家臣たちに言った。

「ああ、北条家も長くないな。主人の過ちを、その家臣がよく補うてこそ、一国の安泰が保たれよう。主人はともあれ、家臣どもまでが、このように粗忽であってはならぬ。肝に銘じておくように」

家康が見抜いたように小田原の北条家は、それから数年後に滅亡した。

たしかにみんなで調子に乗って悪乗りしているようなときは、歯止めをかけるられる人がいない。もっと言うと反論を許さないような空気になることはあるのかなと思います。

家康が、家臣たちに主君の過ちを指摘できるくらい軽率に判断せずものごとをよく吟味するようにという教訓のために話したというのはわかるのですが、ちょっと違うことが思い浮かびました。

この話、家康がまるで北条家の家臣たちのやりとりを見てきたかのようです。でも、本当は北条の家臣たちは、家康が珍しい九年母を送ってくれるなんて、なんとありがたいと思っていたかもしれない。

北条家の領内には橙の産地があるから、たくさんの橙を家康にお礼として送ろう。ということで送られた橙だったかもしれないという可能性もあったんじゃなかろうかと考えました。

そうすると、家康こそ軽率な判断というか思い込みをしているのではと考えたところで、いや家康にとっては本当はどういう経緯で送られてきた橙かというのは実はどちらでもよかったのかもしれない。

なぜなら家臣たちへの教訓として話したいネタなのだからと考えると、やっぱり狸おやじかもと全然松潤じゃない家康像ができあがりそうです。

この記事が参加している募集

#note感想文

10,650件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?