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"D2C"の認識に対する違和感

初めまして、高級無地Tシャツarkhē(アルケー)の代表をしてます、山野と申します。

昨今、D2Cについてまとめてた書籍が出てきているように、"D2C"そのものがトレンド化してます。
アルケーは2018年に立ち上げたD2Cのブランドで、私自身「D2Cとは何ぞや」と日々考えることが多いんですが、一般的なD2Cに対する理解に違和感を覚えることが増えてきたので、自身の考えを整理するために本noteを書くことにしました。


違和感を覚えたキッカケ

『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』の以下比較がキッカケでした。

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(画像はAmazonから引用)

いわく、D2Cはデジタルネイティブ、直接販売、安価、提供価値はライフタイル(世界観)である、と。
一方、伝統的なブランドはメーカーとして誕生し、間接販売の値が張り、提供価値はプロダクト(機能)である、と。

"伝統的なブランド"が具体的に何を指すのかは置いておいて、歴史あるメーカーが世界観を持ってモノ作りに励んでいることは疑いの余地がありません。ターゲットがX世代以上である、というのも違うでしょう。

会話の延長線上で、「オートクチュールはそもそもD2Cやんけ」という話が出ました。まさにその通りだと思います。

「D2Cとは新しい概念だから、既存の何かと比べたほうが理解が進むよね」と解釈してるのですが、いちD2C事業者として、誤った理解が広まるのは嫌だなぁ、という思いがあります。


2014年に初めてD2Cに出会った

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私の愛車のCanyon(キャニオン)

Canyonはドイツのロードバイクメーカーですが、日本に販売店がありません。公式サイトで購入してドイツから配送してもらう必要があります。

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canyon.com から引用

Canyonではダイレクトリングモデルと言っていて、通常20〜30万円のスペックのロードバイクを、中間コストを省くことで15〜6万円で提供しています。

Canyonに出会ったとき、「これはすごく良い仕組みだ」と思いました。一般論として、良いものが(市場における一般的な提供価値と比較して)安く手に入るほうが良いからです。


いわゆる直販と呼ばれる販売の仕組みですが、CanyonはD2Cを自称していません。以下のように世界観を強く打ち出しているのに、です。

バイクは単なる移動手段ではありません。フィーリングであり生き方なのです。バイクは私たちの情熱そのものです。都会の喧噪を後にして、最も厳しい上りをこなし、友人と競い合い、時間と戦い、新しい道や峠を発見するのです。その自由な感覚、爽快感、スピード、苦痛、寒さ、汗が、アマチュアのエンスージアストから世界チャンピオンまで、私たち全員を結びつけるのです。私たちがロードサイクリングを愛する理由はそこにあります。


違和感の本質

私が昨今のD2Cの取り扱われ方に違和感を覚えるのは、「D2C的なブランドにも、伝統的なブランドにも、さして違いはないだろう」と強く思うからです。
D2Cも伝統的なブランドも考え続ける必要がある事は消費者が良いと思えるか、の1点だけです。D2Cはイケてて、伝統的なブランドは古臭い(世界観がない)、という比較は絶対に違うんです。


D2Cの特徴を改めて挙げてみます。

・直接販売によって間接コストを省いたコストメリット
・企業のSNSやメディアの活用
・世界観を提供しているかどうか
・顧客データの取り扱いに長けている

これって、D2Cであろうが、伝統的なブランドであろうが、現代の企業であれば全員が目指すべき方向性ですよね。

インターネットが発達して、消費者と直接接点を持てるのだから、直接販売で手頃に提供したら良い訳で、
消費者はSNSやメディアに長く頻繁に滞在しているのだから、企業はそれを上手く使えばいい、
世界観なんて言わずもがな、ブランドであれば、提供したい価値があるはずです。


そうした大きな時代の流れに伴う幾つもの変化の重なりが、"D2C"として像を結んでいるのだと思います。


だから、D2Cだからイケてる、世界観があるからD2Cなんだ、なんて言わずに、メーカーはすべからく、時流に乗って価値提供しましょうよ、という話です。
数多く存在する伝統的なメーカーは直販で安価に商品を提供するよう変化していくだろうし、D2Cとして生まれるブランドは今後更に増えていくでしょう。

その先には、ただただ消費者が欲しいと思えるブランドの選択肢が広がる、豊かでシンプルな未来があるんだと思います。


D2Cのトレンドが一段落して、あれもこれもD2Cになっていて、"D2C"という言葉が無くなっている。そんな時代が早く訪れることを願います。


共感してくれた方はアルケーの世界観も見ていってくださいね。

https://arkhe.tokyo/about/

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