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あいうえおもいで 【え】

【え】 絵

思いのたけは、描いて(書いて)ぶつけていた。

3歳か4歳の頃に描いた絵が、今も写真で残っている。
建築関係の仕事をしていた父が時々、私が遊ぶのに良かろうと大型の照明器具や資材なんかが入っていた段ボール箱を職場からもらってきてくれていた。それを開いて、自分の体よりも大きな段ボールに寝転がってよく絵を描いた。(今になって思えば、新築で購入したマンションの壁や床に、子どもの無邪気さと無自覚な残酷さによる落書きは阻止したいという両親の思惑もあったかもしれない)

女の子の絵や、ドラえもんらしき絵、おうちの絵、なんだかよくわからない形や線。
写真をよく見ると段ボールキャンバスの隅になかなかの大きさで「ままばか」と書いてある。文字通り「ママのばか」という意味だ。
何をやらかしたのか、母に叱られて自分の気持ちの扱いを持て余して書き殴ったのだろう。叱られることをした自分が悪いのだが、でも悲しいのと、拗ねた気持ちと。

ままばか。
しかも2箇所。

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まっすぐ書けていないところがまだ幼いとも取れるが、それと同時に曲がった文字の感じがどうしようもなくいじけた気持ちを含んでいるようにも見えないこともない。

苦笑いしつつ、当時の自分を「どんまい」となだめてやりたい。


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