Ryo

昭和50年代生まれ。 グラフィックデザインの仕事をしつつ、最近は縁あって「自分を棚卸し…

Ryo

昭和50年代生まれ。 グラフィックデザインの仕事をしつつ、最近は縁あって「自分を棚卸しするワークショップ」に関わっています。人だけでなく、モノや組織がいまの姿に至った歴史や背景が興味深いこの頃。

マガジン

  • あいうえおもいで

    何がきっかけだったか。 ある日の夕食後、夫と「あいうえお順に単語を挙げて、それにまつわる思い出を語ってみる」という話になった。 思わぬ単語が、思わぬ記憶を呼び起こす。 同じ単語でも語る人によって思い出は当然それぞれ違う。 なにも映画や小説の中の話のような特別なエピソードである必要はない。 というか、期待するほどそんなものはないことがほとんどで。 50音の思い出、お題で1文字ずつやってみることにした。 あいうえおから思い出す、自分にとって何か初動の気持ちや行動があったことのメモとして面白がってみたい。

最近の記事

あいうえおもいで 【く】

【く】or【ぐ】グリーティングカード 喜んでくれて、また出来を褒められるのが嬉しくて、子どもの頃によくグリーティングカードを手作りしては祖父母に送っていた。 綺麗な包装紙や色紙を切り貼りして絵にしたカード、フェルトを切り貼りしたカード、拾ってきた綺麗な落ち葉を貼り付けたカード、季節のイラストを描いたカード、祖母が好きだという緑色の絵の具を使って模様を描いたカード...。 直径2ミリほどのビーズを、ピンセットとボンドで台紙に隙間なくびっしり並べて、ドット絵のようにしてケーキ

    • あいうえおもいで 【き】

      【き】着せ替え(きせかえ) 幼稚園〜小学校1、2年の頃の紙の遊びといえば、お絵かき以外では折り紙、ぬり絵、着せ替え、写し絵などが主で、その中でも特に着せ替えが大好きだった。 お姫さまやバレリーナなど、当時の少女漫画タッチで描かれたかわいい女の子の人形と、たくさんの綺麗な服や小物。 アニメのキャラクターの着せ替えもあった。テレビ用と玩具用では制作する会社も違ったのだろう。子どもの目から見ても、どうにもキャラクターの作画がやや雑で、好きなアニメのはずなのにほんの少し残念な気持

      • あいうえおもいで 【か】

        【か】階段(かいだん) 階段から派手に落ちたことがある。 3歳の頃だったか。 マンション共用部の階段を踏み外して7〜8段の高さから転げ落ち、フェンスの土台のコンクリートの角に額を打ちつけた。 さすがにその瞬間のことは記憶にないが、かなり出血したらしい。 母に急いで近くのクリニックへ連れて行かれ、結局3針縫ってもらった。 だいぶ後になってから母から聞いた話では、 ・出血した私を抱き上げて、母のブラウスが赤く染まった。 ・騒ぎを聞きつけた近所の人が慌ててタオルを用意して、

        • あいうえおもいで 【お】

          【お】おばけ 母方の祖父が亡くなって、最初の夏。 私は小学6年生で、お盆の時期に合わせて両親とともに母の田舎に来ていた。母や叔母、祖母と一緒に居間に精霊棚を設置し、提灯や御膳、先祖の位牌、そして新盆を迎える祖父の遺影を飾った。 ひと通りの作業を終えてから、たいして広くはないその居間でぼんやりとテレビ(たぶん高校野球)を見ていた時。 私を呼ぶ祖父の声が聞こえた。すぐそこからはっきりと。 驚いて祖父の遺影を振り返った。 その間せいぜい1、2秒。 でもその一瞬の間でいくつ

        あいうえおもいで 【く】

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        • あいうえおもいで
          8本

        記事

          あいうえおもいで 【え】

          【え】 絵 思いのたけは、描いて(書いて)ぶつけていた。 3歳か4歳の頃に描いた絵が、今も写真で残っている。 建築関係の仕事をしていた父が時々、私が遊ぶのに良かろうと大型の照明器具や資材なんかが入っていた段ボール箱を職場からもらってきてくれていた。それを開いて、自分の体よりも大きな段ボールに寝転がってよく絵を描いた。(今になって思えば、新築で購入したマンションの壁や床に、子どもの無邪気さと無自覚な残酷さによる落書きは阻止したいという両親の思惑もあったかもしれない) 女の

          あいうえおもいで 【え】

          あいうえおもいで 【う】

          【う】うさぎ うさぎのことを思うと、いつも罪悪感に駆られる。 子どもの頃住んでいたマンションの隣の家には、同じ小学校に通う3歳年上のお姉さんがいた。彼女は小学校の飼育委員で、ある日怪我をしたうさぎを連れて帰ってきた。そのうさぎは同じ飼育小屋のうさぎ同士のケンカで激しく耳を齧られてしまったのだという。確かに片耳が大きくえぐれた痛々しい姿だった。治療と同時に他のうさぎたちとは物理的に離す必要があるということで、しばらく彼女の家で世話をすることになったのだそうだ。 うさぎは瞬

          あいうえおもいで 【う】

          あいうえおもいで 【い】

          【い】石(いし) 祖父は、祖父だけの目を持っている。 小学3年生の頃だったか、夏休みに祖父母のいる田舎に遊びに行った時のこと。 両親と祖父母、そして叔父一家のみんなで近くの川原へバーベキューをしに出かけた。 火起こしや食材の用意をする父たちをよそに、祖父(上はランニング、下はステテコという典型的な昭和の夏のおじいちゃんスタイル)はふらりとその場を離れるとしばらくひとりで川原を歩き回り、綺麗な石をいくつか拾って戻ってきた。 少し紫がかった色の石、白い縞模様が入った石、表

          あいうえおもいで 【い】

          あいうえおもいで 【あ】

          【あ】アイスクリーム(あいすくりーむ) 小学校3〜4年の頃、お菓子づくりにハマった時期があった。 子ども向けの料理本を母が買ってくれて、それを見ながら作るのが楽しかった。シンプルなバタークッキー、サクサクのスコーン、カラフルな色のゼリー…。 夏休みに入る前のある放課後、友達も呼んで家でアイスクリーム作りに挑戦した。基本のバニラアイス。 アイスクリーマーなんてものは無かったから、冷凍庫で冷やし固めながら時々取り出してはスプーンでかき混ぜる必要のあるレシピだ。 当時憧れだった

          あいうえおもいで 【あ】