見出し画像

スポーツ中継のさらなる可能性

昨夜はWOWOWが放送するラグビー欧州6カ国対抗戦シックス・ネーションズのスコットランド対フランスの一戦に関わる機会をいただきました。業務はゲスト解説の元スコットランド代表キャプテンのグレイグ・レイドロー選手のウィスパリング通訳というものでした。

さて、ウィスパリング通訳とは一体何をするのか?

まずスタジオはこのような様子でゲスト解説のお二人、真壁伸弥さんと大西将太朗さん、さらには赤平大さんが実況席に入っていました。オンラインで参加したレイドロー選手にスタジオから話が振られるタイミングを伝える役目が私の仕事でした。そして彼の話す言葉を同時通訳する担当者ももう1名入っていました。

まずは回線チェックからリハーサル、そして本番に入っていくわけですがここでのコミュニケーションを通訳。ディレクターさんの番組作りの意向をまずは理解してもらい、どんなトピックで話題を振る可能性があるかを伝えます。

いざ本番の試合になると、その場面や展開によっていつ話が振られるか分からない状態をウィスパリング通訳はスタンバイしながら予測して所々スタジオで話されている内容を伝えていきます。

実況や解説の方が何を聞きたいかを知るのは実質視聴者の皆さんと変わらないタイミングになります。それでも画面の向こうに時間差がないように一刻も早くレイドロー選手に伝えるのが求められます。最初はこちらも構えてしまっていましたが、途中からは来るっ!と思うタイミングを事前に予測して、こんな話で会話が進んでいます、もうすぐ振られますというのを伝えていきます。一度レイドロー選手が話し始めてしまうと止めるわけにもいかないので、スタジオとの辻褄が合うように質問を正確に伝えるのが重要なため、質問を最後まで聞いてからお伝えするとどうしても数秒の時間差は生まれてきてしまいます。

様々な生放送番組でのゲストのオンライン出演が主流となったこの時代、スポーツ中継も世界中どこにいる方にでもゲスト出演いただけることとなりました。極端なことを言えば、日本のプロリーグを海外から一流の選手に解説していただくことも可能なのです。

バスケのように展開の速いスポーツには向いていないかもしれませんが、ラグビーや野球、アメフトのような”間”がある競技では可能性があるかと思います。日本の視聴者からすると、いちいち通訳が入り、数秒でも沈黙になってしまう瞬間があるなら日本人が良いという意見もあると思います。それでも世界から一流の現役選手や元選手に日本のリーグを見てもらえたり、世界トップの大会を解説してもらえる魅力もあると思います。

WOWOWを例に出させていただくと、放送するラ・リーガに往年の名選手に解説してもらう。そんな機会があれば視聴者としては一度聞いてみたいと思うかもしれません。そして日本のプロ野球を現役メジャーリーガーが解説する、Jリーグを世界トップの選手が解説する。そんな世界感があっても面白いのかもしれません。

レイドロー選手は現在シャイニングアークス東京ベイ浦安でプレーしていますが、それでも解説者として加わってくれることで視聴者にはこんなプレゼント企画まで提供されていました。こう言った嬉しい企画があるのもゲストとして参加してもらうからではです。

もちろん時間差の課題、中継に関わる通訳が複数必要になってしまう可能性などもありますがスポーツ中継の新たなる可能性としては今後こういった新たな角度からのチャレンジも増えていくと多様性が生まれて面白いですね。

グレイグ・レイドロー選手は画面上からも人柄の良さが伝わり、これからも日本での活躍を応援していきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?