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【佐用町】縮充のまちづくりの現在地

 今回は2023年4月から始まった佐用町で縮充のまちづくりについてご紹介。播磨町まちづくりアドバイザーをする傍ら、佐用町では縮充戦略アドバイザーという画数の多い役職を頂いています。2024年1月4日の仕事はじめは、佐用町役場の全職員に向けた講演からスタートしました。人生初の連休明けいきなり講演、かつ順番は町長→教育長→私という順で、結構緊張しながらお話しました。

縮充のまちづくりとは

 縮充のまちづくりは人口や地域のいろいろな団体や活動などが縮小してもなお、このまちで豊かに暮らしていく作法のことを言います。普段は作法という言い方はしないのですが、現時点でしっくり来ているのであえて作法としています。もともと縮充というのは、衣類関係の用語のようです。

縮充とは
【読み:しゅくじゅう】
毛織物などを、濡れた状態でもんでフェルト化させ、組織を密にするための加工のことです。毛織物を水で濡らして、たたいたりもんだりすると、毛が絡み合って織組織を被い、表面が均一化します。また、たて方向、よこ方向ともに縮み、厚みが増し、強度も増します。
出典:きもの用語辞典

 これをまちづくりの用語に用いられたのが山崎亮さんです。「縮充する日本 「参加」が創り出す人口減少社会の希望」として、出版されています。佐用町もご多分に漏れず、人口は右肩下がり、地元の企業数も右肩下がり。地域で話すと、人がいない、働く場所がない、こんなとこに来ても仕方ないといった声が聞こえてくる、よくある日本の地方のまちの一つです。

縮充のきっかけ

 佐用町では平成30年から「みんなの地域づくり協議会活力向上プロジェクト(通称:みん活)」として、地域運営組織である地域づくり協議会の見直しに取り組んできました。旧小学校区ごとに設置された13の地域協に5名程度のアドバイザーが手分けしてサポートに入り、組織や活動の見直しを進めました。おおよそ半年に1回程度、行政の事務局が声をかけて、アドバイザー全員を集めたアドバイザー会議を開催していました。2022年秋頃のアドバイザー合宿で「地域づくりの見直しは地域だけでなく、行政側の見直しも必要ではないか」という話題になり、その対話の中で「縮充」というキーワードが見つかっていきました。

アドバイザー会議での対話の記録

 その後、「とは言え、縮充ってどうやって検討していったらいいの?」というのが事務局の本音で、たまたま職員研修を担当していたことや、播磨町役場での実践を頼りに私が縮充戦略アドバイザーになることになりました。ちなみにみん活アドバイザーの中で最年少だったので、もはや自分でやるしか無いかと思ったのもあります笑
 そこから話は大変早く、幹部への調整、予算付け、議会報告などあっという間に進み、3月には全議員に向けての研修会を開催してもらいました。もちろん私だけでは全く不十分なので、これまで佐用町の協働のまちづくりを牽引されてきた島根大学の作野先生に講演いただき、私は少し話す程度でした。

はじまった縮充へのチャレンジ

 そんなこんなで2023年4月から週1ペースで佐用町に通っています。主にやっていることは、戦略づくり。一体どんなメンバーでどういう会議を積み上げていくか、どこに仕掛けていくか、どんな射程でこの取り組みを進めていくかなどを行政職員を中心に、時にはアドバイザー陣にも頼りながら半年に渡って作戦を練ってきました。ここからようやく種まきをしてみんなで育てていく段階に入ってきました。例えば、「さようミライカイギ」は町民の実行委員会形式で企画することとし、町内在住在勤、佐用町に興味のある50歳以下の方に手挙げで集まってもらい、どうすれば佐用の未来をみんなで考えられるかを検討しています。その前に、「自分たちが感じている佐用での充実した暮らし」って何か?なども実行委員で話し合っています。

さようミライカイギ実行委員会の様子

縮充のまちづくりのこれから

 2024年1月号の広報さようには、「縮充のまちづくりの現在地」として、約半年の取り組みや考え方をまとめて発信してもらいました。記事はこちらから。縮充のまちづくりは、まだ全国で取り組んでいる自治体も少なく、神戸新聞などでも何度か佐用のこの動きを取り扱ってもらっています。寄せられる感想には、「いまの社会にモヤモヤしていたけど、縮充という言葉を聞いてピンときた」などもあり、もしかすると地方のこれからの一つのオルタナティブを示せるかも?と思いながら取り組んでいます。今後もこのnoteで「縮充のまちづくり」について報告したいと思っています。

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