村山亮

アルバイトをしながら小説を書き続けています。あるいは小説を書き続けながらアルバイトをし…

村山亮

アルバイトをしながら小説を書き続けています。あるいは小説を書き続けながらアルバイトをしています。どっちなんだろう…? いずれにせよ頑張ります。皆さんも頑張ってくださいね。何を、かは分かりませんが、とにかく…。 ブログ(https://beginnerslife.com

マガジン

  • 蛇人間、生まれる【長編小説】

    蛇人間が見た、流動的な世界のあらまし。長編小説。

最近の記事

浅川地下壕に行って来ました

皆様は東京都八王子市南西部に位置する「浅川地下壕」なるものを知っているだろうか? 僕は知らなかった。つい一週間前までは。 浅川地下壕というのは太平洋戦争末期(1944~45年)に、陸軍東部軍の指揮の下、佐藤工業・大倉土木によって掘られていた、総延長約10kmにも及ぶ坑道群のことである。もともとは陸軍の倉庫として使う予定だったものだが、1944年11月から始まった米軍の空襲から逃れるために、中島飛行機という会社が疎開工場として使うようになった。「中島飛行機」というのは当時の日

    • 引っ越しました

       さて、お彼岸も過ぎて三月も末になり、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 僕はこのように生きています。あれ?……と周囲を見回すけれど、たぶん生きているのだと思う。ここは夢の世界じゃないよな。きっと……。  それはいいとして、まあ懲りもせずまた引っ越しました。以前住んでいた(つい10ヶ月ほど前のことなのですが)東京の外れです。いやいや。こんなことになるとは……。  でもとにかく来てしまったのだから仕方がありません。先の一週間はとにかく眠くて仕方がなかった。引っ越し前後からあま

      • 2024年、2月

        寒くなったりあったかくなったり、すごく変な天気が続いている二月だけれど、皆さんはいかがお過ごしでしょうか? 仙台では昨日雪が降って、今日は自転車で移動するのが大変でした。転びそうになりながらなんとか歩道を漕いで・・・危うくバイトに遅れかけたけど、なんとか間に合いました。ふう・・・。 実は1月7日に実家まで自転車に乗って帰って、そして同じ日に自転車で帰ってくるという荒技を成し遂げたおかげで(往復150kmほど。ママチャリを漕ぎ続けました。ああ疲れた)、左膝を痛めてしまいまして

        • 片側坊主

          片側坊主:おおっ! これは! 片方だけの手袋。しめしめ。これはお宝だぞ。見たところ子供のもののようだ。(チラチラと左右を見る)。大丈夫、大丈夫。誰も見ってませんっと。(拾い上げて麻の袋に入れる) 片側刑事:お前! 坊主ともあろうものがこんなことしやがって! 和尚さんに言いつけてやるぞ! 片側坊主:そんな! それだけはご勘弁を! 和尚さんは最近人生にフラストレーションを溜めていて、酒を飲んでは僕を菜箸で突くんです。痛い、やめてったら和尚さん! と僕は何度も叫びます。でもその

        浅川地下壕に行って来ました

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        • 蛇人間、生まれる【長編小説】
          10本

        記事

          仙台から栗原の実家まで(夜中)に走って帰る【69.48km】

          僕は生まれてから24歳まで宮城県民だった。その後7年間の東京生活を経て、去年(2023年)の5月に、また仙台に戻ってきたわけだ。生まれたとき両親は仙台市泉区に住んでいて、僕が3歳の頃に宮城県の外れにある栗原郡一迫町の父の実家に戻った。そこは現在合併をして、栗原市となっている。宮城県北部、岩手県との県境に位置している。だから仙台からは結構距離がある。かつては高速バスか、車に乗って行き来していた。高速に乗って一時間ちょいの距離である。はい。 実は2023年5月に帰ってきてから一

          仙台から栗原の実家まで(夜中)に走って帰る【69.48km】

          ルーティーンについて

           日曜日の午前中を有効に活用しようと思って、通例その時間帯に行っていた11.5kmのランニングを、土曜の夜に行った。実は朝にも4.5km走っているから、合わせて16km走ったことになる。もちろんお昼から夕方にかけてはアルバイトに行く。生活のために。  長く続けてきたルーティーンを変えると、ちょっと新鮮な気分になる。いつもは午前中の太陽の下で見ている川沿いの道が、夜の道に変わる。遠くのマンションが、気象塔が、ホテルが・・・輝いている。風が冷たい(そのせいでお腹を壊してしまった

          ルーティーンについて

          お彼岸2023

           お彼岸を過ぎて、ようやく秋の風が吹いてきました。ご無沙汰しておりました。皆様はお元気でしょうか?  いやあ今年の夏は暑かったですね。そしていつ終わるのかもよく分からなかった。いろんな事情があって(というか主に経済的な事情なのですが)、ほとんどエアコンを使わないで暮らしていたので、あの蒸し暑さは身に堪えました。どこにも逃げ場がないというような感じでしたね。  それでもようやく涼しくなってくれて、近くの田んぼでは稲刈りも始まりました。東京にいるときにはこの匂いを嗅ぐことはで

          お彼岸2023

          風の休憩所

           一羽の鳥が、風の休憩所と呼ばれる場所で、くつろいでいました。  風の休憩所とは、風たちがたくさん集まる場所でして、そこでは一切風が吹いていませんでした。  そこには気持ちの良い雲が浮かんでいて、鳥は、その上に寝転んで、ゆったり、時を過ごしていたのです。  鳥は初めてここにやって来たのですが、あまりにも気持ちが良いので、これから何度もやって来たいな、とぼんやり考えていました。  そのとき、西の方からやって来た風が言いました。「いやはや、この間のあれは大変だったね」と。

          風の休憩所

          選挙 【短編小説】

           この間選挙があって、いささか変わった候補者を見た。  彼は腹の出ている55歳の男で、現在は無職だ、ということだった。市議会議員選挙に立候補したきっかけは・・・お金が欲しいから。とにかくお金が足りない、というのが彼の主張だった。だからまあ街頭演説にも一人で、しかもマイクも持たずに、やって来たのだと思う。彼は自転車で移動していた。ひどく錆びていて、ものすごくキーキーとうるさい自転車だった。ランニングシャツ一枚で、下はハーフパンツ(というかおそらくはパジャマ)、そしてビーチサン

          選挙 【短編小説】

          新しい生活

          と、いうことで新しい生活です。僕は今年で32歳になりますが——秋まで生きていたら、ということですが、もちろん——いまだにアルバイト生活を続けています。しかしまあ、今までとは場所が変わっている。生まれ故郷に近い、仙台に帰って来たのです。 自転車で帰ってきた件はまあそちらの記事でお読み頂くとして(『東京から仙台まで、ママチャリで帰る』)とりあえずそれ以降のことを語りたいと思います。個人的なものごと。 だからまあ、大して重要なことが書かれているわけでもないです。この記事は。一種

          新しい生活

          東京から仙台まで、ママチャリで帰る

          2023年5月20日、土曜日。僕は八王子の自宅マンションの駐輪場にいた。実のところこの日までに退去を済ませ、仙台の新しいマンションに移動する予定だったのだ。最初のうちは僕ももちろん車で移動するものと考えていた。というかまあそれが普通だろう。新幹線か車、あるいは高速バスとか・・・。 僕の場合両親が宮城県の実家から(仙台市ではないが)引っ越しの手伝いに来てくれていたので、当然そのままそのワゴン車に乗っていけば何の問題もないはずだったのだ。しかし自転車が残る。これが大きな懸案事項

          東京から仙台まで、ママチャリで帰る

          故郷への帰還、そして再出発(続き)

          故郷への帰還、そして再出発の続き 2023年1月23日、月曜日。午前中に前日までの気持ちを文章にして認め、お昼過ぎから走ることにする。昼食は食べていない。実家のある宮城県は東京よりだいぶ寒い。しかもこの冬一番の最強寒波が近付いているというではないか! ちょっとずつ降り始めた雪は――今年初めて見る雪だと思うのだけれど――うっすらと地面を覆っていった。僕はランニングウェアに着替え、持ってきたランシューを履いて(もうかなり底が擦り減っているのだけれど)、外に出る。寒い・・・けれど

          故郷への帰還、そして再出発(続き)

          故郷への帰還、そして再出発

          注:この記事は自分のブログで1月の末に書いたものである。僕は2016年の4月、24歳のときに(その年の10月に25になるのですが)、一応「小説家」を目指す、という名目で東京に出てきた。東京の西の外れである。大学を卒業後、自分がいったい何のために生きているのか分からない、という状態に陥り(実は今でもほとんど状況は一緒なのだが)、就職活動すらせずに、実家にいさせてもらって、図書館で本を読んだり、家事をしたり、ランニングをしたりして日々を(ダラダラと)過ごさせてもらっていた。しかし

          故郷への帰還、そして再出発

          あなたの靴のサイズは誰も知らない 【詩】

          あなたの靴のサイズは誰も知らない ただ一人、あなたを除いて あなたの服のサイズも誰も知らない ただ一人、あなたを除いて あなたの心の穴を、誰も見ていない ただ一つ、あなたの心を除いて 夢を見ているときにいる場所は いったいどこなんだろう? あなたには分かるだろうか? 空白とは何であるのか? あなたの食べ物の好み、誰も知らない ただ一人、あなたを除いて あなたの好きな人、誰も知らない ただ一人、あなたを除いて あなたの意識の穴を、誰も見ていない ただ一つ、あなたの

          あなたの靴のサイズは誰も知らない 【詩】

          ジーコ商会

          ジーコ商会:「ジーコ商会! ジーコ商会だよう! みんな大好きジーコ商会! ジーコ商会だよう!」 子供たち:「あ! ジーコ商会だ! 最近見なかったからブラジルに帰っちゃったのかと思っていたよ。ねえ! ジーコ商会さん! ジーコ商会さんったら!」 ジーコ商会:「やあ、子供たち。昼間っから何をしているんだい? この公園で。みんなで学校をサボって反乱軍でも組織するつもりなのかい?」 子供たち:「いやだなあジーコ商会さん。今日は祝日じゃないか? だから学校は休みなんだよ。はあ・・・

          ジーコ商会

          火星人

          火星人1:「しかし地球人はさ、あまりにも視野が狭過ぎないか? 本当に目に見えるものだけを見ているんだから」 火星人2:「まあ仕方ないさ。それがホモ・サピエンスだもの。昔からそんな風にできていたんだよ。嫌なら火星に帰ればいい」 火星人1:「でももう寒過ぎるしなあ。昔はそうでもなかったんだが」 火星人2:「そう。昔はね。でも今は違う」 火星人1:「あ、地球人がやって来た。すごく焦って、すごく急いでいるように見える。ねえ、どうしたんですか? あなた?」 地球人:「いやまあ