議員生活一年を終えて(一般質問編・下)

令和5年3月議会 〜移住に関する補助金〜

さて、議員生活一年のなかで直近の一般質問になります。
本来はこの議会において「学校づくり、避難所のあり方」についても聞いているのですが、再質問(壇上を降りた後の議席でのやりとり)は補助金についてのみでしたので、そちらについて書いていきます。

発端は2023年4月からの補助増額のニュース

移住支援金制度が2023年度から増額になると、年末にニュースが出ました。
移住支援の際に世帯、18歳未満の子どもがいる場合に最大130万円だった支援金の上限が、子ども加算が30万円から100万円に増え200万円になるというものです。
ニュースの一部では真鶴町も対象として名前が上がっていました。
そもそも真鶴町はあまり移住等に関する補助金には積極的ではないことは分かっていたのですが、調べてみると色々と驚くことがありました。

(2023年度になりましたので、既に金額は参考サイトでは増額となっています)

都会から地方への移住が対象

この支援制度を受けられる方は以下のような条件に当てはまる方です。

東京23区に在住または通勤する方が、東京圏外(※1)へ移住し、起業や就業等を行う方に、都道府県・市町村が共同で交付金 (※2)を支給する事業です。

東京圏とは「東京・千葉・埼玉・神奈川」を指しますが、その中の地域でも特定の「条件不利地域」があり、ここは移住先として認められています。
その条件不利地域は、神奈川県では「真鶴町、清川村、山北町」の三自治体のみです。

真鶴町が移住のゲームチェンジャーになる可能性がある

千葉県や埼玉県はこの事業を行なっている自治体もありますが、神奈川県ではまだ行われていません。
そしてもっとこの支援金の事例を調べていくと神奈川を通り越した静岡県が全国でナンバーワンの事例数を誇っていました。
ナンバーワンの自治体と対象の都心の間にある交通の便も優れた真鶴町がもしこの支援制度を開始できれば、
移住において大きな変革を起こすことが予想できました。
これは絶好の機会で、実際に増額となるタイミングで実施はできずとも、
「真鶴町はやる気だ」ということを示すことが全国に向けたPRになります。
そこで公開された一般質問という場で、その意思を確認することとしました。

町の方針に理解はできても納得はできない

ただ、町からの返答は理解はできても納得はできないものでした。
町としては補助金ありきではなく、どこの出身であっても広く受け入れる。
移住ではなく、移住者として入ってきた後、町民と合わせて必要な福祉などにお金を使いたい、というもので、
以前から行ってきた受け入れ重視の移住者支援に変更は考えていない、ということでした。
また、併せて今行っている施策において社会増に達したことや
飲食店やサテライトオフィスが増えたことを実績としてあげていました。

納得できなかった理由 〜地方自治体全体で考えるべき〜

この一般質問は議場外でも継続的にやりとりをさせていただきました。
その中で、一つショックだったのがこの話題を関係者と話しているときに「でも都会の一極集中の是正とか真鶴町には関係ないよね」と言われたことでした。

私は、今の移住政策ブームにおいて大きな間違いがあると思っています。
というのも、どこの自治体でも熱量の差はあれど移住政策を行なっている中で、その間での移住が活発になってしまったら結局でていく数も入っていく数もトントンになります。
本来であれば、自分の好きな地域に好きなときに住む、
流動的であってもいいと思うのです。
しかし、現状で町の暮らしを保ち続ける絶対数が足りていない。
足りないところ同士で相互の移動が発生しても意味がないです。

であれば、過密となっているところはどこか、都心部です。
もちろん、どこに住むかはそれぞれの自由です。
しかし、行政がもっともらしい理由をつけて介入するのであれば
本来の移住政策のあるべき姿は「地方自治体と都心部間」での競争です。
今、実態は「地方自治体同士」の競争で、さらに町の答弁についてもそれを肯定するような言い分でした。

納得できなかった理由 〜真鶴町での暮らしを維持できるか〜

真鶴町が好きで来てくれる方に手厚い支援を、というと平等で聞こえがいいように思います。
しかし、水道料金が料金が値上る、それは給水収益が減るから、
そして大元は給水人口が減っているからです。
人口減による皺寄せが今の真鶴の暮らしに直撃しています。

真鶴町は自主財源も乏しいです。
地域経済といってもその中を流れるお金や消費者の数が足りているとも思えません。

この補助金は国が1/2、県が1/4、町が1/4の負担割合です。
補助金を使って自主財源の直接的なアップに紐づくことはなかなか難易度が高いですが、この支援金制度ではそれが望めます。

一生やるべき、ではないのですがまずは他地域から経済活動でお金を引っ張ってきて、町の中で使う方達の数を増やすことが必要です。
この支援金制度は、まさにそんな人たちを対象にしたものです。
支援金を有効活用し、消費者を増やすことで
新しく商いを起こした方、今まで町で生業を持っていた方が
これからも続けていくことの一番の助力になると考えています。

とてもありがたかった方針の変更

一般質問の中では、結局のところ話が噛み合わず、町は移住についての
補助金というもの自体をあまり使いたくない、という意見で終始しました。
しかし、後々に方針を転換し、令和6年度からの開始を目指して準備を開始したと担当課から連絡をいただきました。

よく、方針をコロコロ変えることを「朝令暮改」などといったりします。
私はそこにちゃんとした考えがあるのなら大歓迎です。
どうやったって、行政は「今のまま」が一番楽なわけで、そこを改めるというのは労力がかかります。
何より、公開の場で示した方針を180度変えることは、
とても勇気がいることです。
本当に、担当課の方には感謝しています。

これからもたくさんの仕事が残っている

移住政策が上手くには、補助金を使う意向を示すだけではなく、
まだまだ一歩めを踏み出した段階にすぎません。
これから国や県との調整や、同じ条件不利地域との連携なども必要になってきます。

実際に、仕事を行うのは役場の職員の方です。
出来ることは手伝って、町がでっかい手柄をたてて、
町民の方に暮らしを良くするという形で還元できるよう、
言い出しっぺとして責任持って支え、手伝っていきます。

一般質問、一年を通して

この一年の一般質問を上中下に分けてお届けしました。
私自身、毎度毎度反省と後悔の連続ではありますが、
振り返ってみると大小様々ですが、一般質問を通して町は変わってくれることを、身をもって実感した一年でした。
ただ、切り口が曖昧であれば躱されてしまうものでもあります。
これからも変わらず全力で素直にぶつかっていきます。

また、多くの方が見てくれている場で行うことの意味とその力を
改めて思い知った一年でもあります。
ぜひ皆様、お時間が合えば私に限らず議員が行う一般質問を
中継なり、現地なりでご覧いただければ幸いです。
これがもっとより多くの方の目に触れ、そして話題にしていただければ、
議論は自ずと、より良いものになっていきます。

どうぞ、令和5年度もよろしくお願いいたします。

お読みいただきありがとうございました。

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