サービス・ドミナント・ロジックの概念にピアサポートを(無理やり)当てはめてみる試み~福祉サービスの受け手側が生み出す価値を考える~
価値共創の文脈でサービスドミナントロジックのことを昨日は書きましたが、もう少し深堀りしたいと思って。
サービスドミナントロジックでは、その考え方の中で用いられる概念として、オペランド資源とオペラント資源があるというのを知りました。
その概念から広がった思考を踏まえてもう少し、「福祉サービスの受け手側の存在が生み出す価値」みたいなものを言語化したいと思います。
(ただし、概念の整理としてはアリだったかもと思いますが、結論は散漫になってしまいましたね)
オペランド?オペラント??
オペランド資源とは、サービスドミナントロジックの考え方の中で用いられる概念で、「効果を生み出すには操作が施される必要がある資源のことで、有形で、静的で、そして、有限な資源である(例えば、グッズ、機械設備、原材料、貨幣なんかを指します)と定義されています。
一方、オペラント資源とは、同じくサービスドミナントロジックの中の概念として、「オペランド資源(やほかのオペラント資源)に操作を施す資源のことで、目に見えず触れることができず、動的で、そして、無限な資源である(たとえばナレッジ、スキル、技術)(Constantin and Lusch,1994)(Vargo and Lusch,2004)と定義されています。
文章としてとてもややこしいですが
オペランド(operand→非演算子、という意味らしい)
オペラント(operant→操作的な、という意味らしい)
は違うのです。
最初論文読んでた時、濁点に気づいてなくて少々混乱しました。
気づいてもしばらく混乱していましたけど。
特に非演算子ってなんやねん、的な気持ちになりましたが。
数式に入れる変数だそうで。
1+2という数式の1および2といった変数の部分を非演算子というらしい。
論文とか本とかをつまみ読みしている知識なので、まだまだとっ散らかっているのですが。
昨日書いていた、この概念におけるサービスについての考え方。
アメリカ人研究者のVargoさんとLuschさんにより
サービスとは「他者あるいは自身の便益のために、行為、プロセス、パフォーマンスを通じて、専門化されたコンピテンスを応用することである(2008)」
と定義づけられています。
この「専門化されたコンピテンス」という部分に、今回出てきているオペラント資源も含まれているということでした。
確認で、前回のおさらい的に書いておくと
(ここでのおさらいというのは、書いている僕自身の復習のためにというニュアンスが強いです)
サービスがグッズやサービシーズ(サービスの複数形でサービスドミナントロジックでは純粋に取引される無形のもの、たとえば飲食店の接客や家事代行といったサービスのことをサービシーズと複数形で表現しています)の上位概念であると論じられています。
ピアサポートの関係性を当てはめてみる試み
さて、上記の考え方に対して、ピアサポートを(やや無理やりに)当てはめて考えてみたいと思います。
相談支援専門員をしているピアサポーターAさんがいたとして
そのサポートを受ける当事者Bさんがいます。
この二人の関係性を表現すると。
ピアサポーターAさんが、当事者Bさんに提供する相談援助がサービスドミナントロジックでいう「サービシーズ」です。
無形であり、いちおう金銭などを介してやりとりされる財といえるでしょう。
次に当事者Bさんが、ここで得られ相談援助という内容は「オペランド資源」にあたると言えます。
その上で、そのオペランド資源にあわせて、ピアサポーターAさんが持つ過去の経験やリカバリーストーリーがオペラント資源であり、その二つを当事者Bさんが「応用」することによって、そのプロセス全体が「サービス」としてとらえられるようになるんじゃないかと考えました。
さて、あらためて、今回つらつら頭の中のごちゃごちゃを言葉にしてきていますが、サービスドミナントロジックにおいて、顧客は常に価値の共創者であると捉えられています。
そして、その共創される価値は売り手(この場合はピアスタッフA)のサービスを買い手(当事者B)が使用するプロセスにおいて顧客特有の文脈の中で顧客によって主観的に判断される、というのがVargoさんとLuschさんの論に当てはめてみた内容になります。
ピアサポートにより生み出される価値が非常に個人に類するものである点や、なかなか共通の評価指標で見にくいのは、こういう書き方で多少整理できるのかなと思いました。
ピアサポートには価値があって、それはピアサポーターの個別の経験があって成立するもですが、それは受け手側の当事者さんあどのようにそれを解釈し、受けたサービスと合わせて自分のものにしていくかによって、得られる成果は違ってくるのかしら、という話でした。
まあ、逆に混乱しただけかもしれませんが。。。
僕が知見を深め、研究のテーマとして具体的に考えていく材料を探すうえでは、重要な過程だったかなと思いました。
今日はこれくらいで、ありがとうございます。
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