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ちょっと、そこの……

このところ、夜(21時以降くらい)にわんわん(ボストンテリアのがっつさん&ぷっちさん)をお散歩に連れ出しているのですが……。(今日はぷっちさんだけ)

本日、乳母車を押す老婆に声をかけられたのです。

「ちょっと、そこの……。いぬ……」

わたしじゃなくて、わんわんの方に(……というか、聞き取れなかったのですが)。暗闇の中、声をかけられたので、若干、取り乱し気味のわたし。

「そこに、女の人がずっと立ってて、通れんじゃんね」

……というのです。わたしは、ランタンを持っているので、“そこ”を照らしたのですが、よく見えず……。ホラーか。

「このたまごをあげるから、一緒に来てもらえんかね。男の人と一緒なら安心だから。さっきから声をかけているんだけんど、誰も来てくれんだよ」

た、たまご……。きび団子的な……。なんだか、状況がつかめないし(微妙に話が怖いし)、そもそも何を言っているのかよくわからない。スルーしたい気持ちが溢れていたのですが、さすがに老婆を放置するわけにはいかず……。

たまごは丁重にお断りしつつ、お家も近所ということらしいので「じゃ、一緒に行きましょう」ということに。

「じゃ、たまごじゃなくて、ジュースをあげよう」

いや、そういう問題じゃないです。ジュースも丁重にお断りしまして、おばあさんの言う、“女の人がずっと立っている場所”へと向かいます。

「あなた、彼女でもいるのかい?」

……え、いきなりそんな話? ……と、もごもごしていると、

「まぁ、犬のほうが可愛いやね。いまの女の人は難しいよ」

……という感じで自己完結していく謎の会話。でも、どうやら、ご主人を亡くしておばあさん一人暮らしの様子。

「生きていくの、大変だよ」

重みのあるセリフに、粋な返しもできず、そして、どうしていま、わたしはこんなシチュエーションに巻き込まれているのか……と心の中で自分にツッコミを入れてみたり。

結局、実りのない謎の会話をしつつ、数十メートル(ほんとにわずか)進んだところで、

「あ、なんだ、石だった」

……ということで、落ち着きを取り戻した様子。

「もう大丈夫。家もすぐそこだから。また会いましょう」

……と、お別れしました。いったい、なんだったのか……。

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