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蝉恋時雨

夢うつつ 現れるヒト
紐を解き 心を縛る

幾度 情事を重ねても
浴衣の裾
決して汚さぬ あのヒトの
甘い護衛


「愛して仕舞った」


冷えた西瓜
クウラアも
私の熱を下げてはくれぬ

火照りを鎮めて
炭酸の夜
一瞬で消えた
快楽のとき

なにゆえ 女に生まれたか
あのヒトに愛されぬのなら

短命の性(サガ)身を焦がし
ジリジリと啼く

蝉でよかった

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