映画タクシードライバーと小島秀夫監督に元気付けられた話
イントロ
今回はタクシードライバーという映画を見ました。
この映画は小島監督が著書「創作する遺伝子」の中で紹介していて、気になり視聴しました。
この映画、1976年の映画で古くて、展開も遅く退屈な上に2時間もある映画なんですが異様に評価が高いんですよね。自分はこの理由としてどの時代においても常に存在する人々の悩み「孤独」が描かれていることが挙げられると考えています。
孤独を感じている人に響く映画だと思いました。
まずは簡単なあらすじから行きます。
簡単なあらすじ
主人公のトラビスはベトナム戦争の帰還兵でニューヨークで夜勤タクシードライバーとして働いています。彼はいつも孤独を感じ生活に物足りなさを感じています。ポルノ映画を見たり、日記を書いたり、職場の同僚とだべったりするくらいしかやることもありません。
そんな彼も大統領候補のもとで働くべツィという女性に惚れますがデート中にポルノ映画に連れて行き、当然振られます。彼の心はさらに進み彼女に振り向いてもらおうと大統領候補の暗殺を目論み銃を購入し体を鍛え上げます。
とまぁここまでにします
きになる方は映画を見ましょう!!
以降はネタバレあります。
感想、考察
①何もない男の孤独を表現し切っている
トラビスのセリフでこういうものがあります。
毎日が過ぎていくが終わりはない。俺の人生に必要なのはきっかけだ。自分の殻に閉じこもって一生をすごすのは馬鹿げている。人並みに生きるべきだ。
良い理解者や恋人もいない生活はさぞ寂しいでしょう。(映画内では)タクシードライバーという刺激のない職がそうしていることもあるでしょう。
ニューヨークという大都会での孤独は余計に淋しさを強めます。
ベトナム戦争はアメリカにとって都合の悪い出来事で帰還兵もあまり尊敬されないという時代背景もあるのでしょう。
ある日トラビスはベテランタクシードライバーに相談します。
ここから抜け出して何かしたい・・・でも何がしたいのかわからない・・・
曖昧な悩みを持つトラビスに対してベテランは「なるようにしかならない、とにかく女を抱け」と答えます。ベテランは自分の人生をこんなものだと決め、そこに居座り続けるのです。
まあこれには
「孤独や物足りなさなど気にせず今を生きろ」という意味が込められていると私は考えていますが。
こう言う悩みは悩むほど大きくなっていくものです。
この悩み、とても共感できます。なぜか満たされない。言葉にはし難いこの悩みを映画で描き切っていることに感動しました。
大統領候補暗殺が失敗し標的を失ったトラビスはサイコパスとなり理由もなく娼婦の雇い主を皆殺しにします。淋しさ、不安をかき消したかったのでしょう。
彼にとってこの時点で相手などどうでもよく、不満をはらしたかったのです。
しかし結末として、娼婦の身を解放したとしてメディアにヒーロー扱いされます。
ここまでしてもトラビスは理解者を得られなかったんですね。どこまでも孤独に描かれていますね。
最後には振られた女性ベツィにもう一度振り向いてもらえますがアプローチはしません。
自分の心まで失ってしまったようです。
写真サイコパスですよねぇ笑
主人公の心情に背景描写、全てが「孤独」につながる演出でした。
私はトラビスが孤独の正体を知ればこのような結末にはならなかったと思います。
孤独は生物学的に見ると群れ行動を促す一種の本能です。
孤独は誰しもが持ち合わせていてトラビスだけのものではありません。
孤独は気の持ちようでなくなります。
そんなことを思いました。
②memeという概念からみた孤独と映画タクシードライバー
「meme」 これは小島監督が著書で紹介していた言葉です。進化人類学者リチャードドーキンスが提唱した概念で生物学的遺伝子geneと異なり文化や習慣、価値観を次世代に継承していく情報のことです。
映画にもこの概念が適用されされているのだと思います。
つまり同じ映画を通して世代を超えて各々の人々が作品に共感し心を豊かにしているということです。
この映画が長く視聴され続けるのは「孤独」を感じ トラビスに共感する人が多いからなのだと思います。
「孤独はあなただけが感じているのではない」というmemeがこの映画な訳です。
孤独はどんな世代のどんな人にも共通の悩みなのです。
私自身大学から地元を離れ一人暮らしを始めましたが、昔からの理解者がいないことから孤独を感じることもありましたが
この映画をみて孤独はそこまで苦しいものではないことに気づきました。
最後に小島監督が著書で書かれていた言葉を紹介して終えようと思います。
皆が孤独であるとわかった時、人は孤独でなくなる。
以上ここまで読んでいただきありがとうございました。
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