「君はガンプラを作ることができるか」な件。
「ガンプラ」とは機動戦士ガンダムに代表される、アニメ「ガンダムシリーズ」に登場するモビルスーツなどのロボットプラモデルである。
ガンプラは今や日本のプラモデル市場の4割を占めている。他のアニメやゲームのロボットもあることを考えれば、市場の占有率は「めちゃくちゃ高い」と言えるだろう。私もたまにお手軽に作ることができる「HGシリーズ」を買ったりする。少し前までは「転売ヤー」のおかげで、新商品が発売されても全然店頭で見つけることができなかったのだが、最近はチラホラと見かけるようになった。きっと転売屋もそれほど利幅が取れないことに気が付いたのだろう。少しだけだが、ふらっと立ち寄った店頭でにガンプラが買えるようになった。いいことだ。
ガンプラには色々なシリーズがあり、お手頃に楽しめる「HG(ハイグレード)」やサイズは小さいが細かいところまで作りこまれている「RG(リアルグレード)」や、昔の100分の1サイズの「MG(マスターグレード)」などがある。その中でも定価が1万円を超えてくるような、昔でいう60分の1サイズである「PG(パーフェクトグレード)」はこの10年で3,3倍の売上となっている。
この「PG」は部品点数が1,000点以上あるものもあり、とても私のようなガンプラライトユーザーには手が出せない。しかしながらこのような高価格帯で作成にテクニックを必要とされる商品も人気であるということは、私のようなライトユーザーから、プラモガチ勢まで、幅広いファンがガンプラにはついている証拠だろう。
ただ、この10年くらいで上級者向け需要が拡大した理由は何なのだろうか?
それにはインターネットやSNSが影響いている。
複雑なモデルを作成する際に、自分ではやり方がわからないようなポイントを、今はYouTubeで見ることができる。昔は動画など無いので、タミヤやホビージャパンが販売しているような専門的な本を参考にするしかなかった。
塗装などの方法も同様である。筆塗りやエアブラシなどの方法を動画で直接確認でき、それほど経験がなくても「見よう見まね」でなんとか形にできるのは、非常に助かるポイントだ。
また、以前は一生懸命労力をかけて作成した大作も、家族や友人と言った、ある程度限られた人にしか見せることができなかった。家族がプラモデルに興味がなければ、いかなる大作も家庭内では「燃えないゴミ」でしかない。しかし、SNSがあれば不特定多数のモデラーに見てもらうことができる。そこには大勢のプラモデルを趣味としている人がいるのだから、苦労して作った大作を見てもらえ、評価をしてもらえる。自分の努力を認めてもらえて、賞賛をされるのだから、次の作品を作る意欲も湧いてくるだろう。
つまり、最初はライトなプラモユーザーだったとしても、より深いモデラーを目指しやすい環境が整っているということである。ハマった人は自分でやり方を学習し、学習の成果を周りに発表していくという楽しみ方ができるようになったのだ。
またこれは「趣味全般」に言えることだと思う。ガンプラに限らず、手芸やイラスト、音楽、はたまた盆栽などまで色々な趣味も同様だろう。個人が自分の楽しみたいことを自由に楽しめる環境になっている。
それは、「みんなと同じことをした方が安心」「変わった趣味や興味は肯定的に評価されにくい」といった昭和的な環境に比べると、本当にいい時代になったと思う。
「オタク」という表記は昭和も令和も同じではあるが、その社会的なとらえ方は全く違うといっていいだろう。「オタク」は社会的地位を確立している。一つのことに熱中している、特に詳しい知識があるといった意味合いが強く、そこに「オタク」を卑下する意味合いは以前に比べると少ない。
そう考えると、なるほど今は「個人主義」の時代だなぁ、と思う。個人の意見や主義主張が尊重され、やりたいことをやれる時代。いい時代だ。
「PG」の充実も「個人主義」が与えた果実なのだなあ・・・と的を得ているのか得ていないのかわからない考えでこの文章を書いてみた。
今日はここまで。
余談ではあるが、タイトルの「君はガンプラを作ることができるか」はファーストガンダムの次回予告で流れる「君は生き残ることができるか」をモジったものである。しかしながら今思うと、主に小学生が見ているようなロボットアニメで「君は生き残ることができるか」という問いかけは、今の時代だったら完全にアウトではないか?そう思うと昭和の堅苦しくないゆるさも、それはそれでよかったなあと思う。
さらに余談ではあるが1月26日から「ガンダムSEED」が劇場公開される。テレビ版のリメイクかなあと思ったらなんと完全新作である。
まだまだ「ガンダム」は人気コンテンツだな~
引き続き、どうぞよろしく!
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