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奇妙な発明と奇妙な研究と、ジョジョの奇妙な冒険と。の件

日経MJに「オンラインミーティング緊急脱出マシーン」なるものが掲載されていた。ローディング中のアイコンが物理的に飛び出し回線落ちを装うマシンで、穏便にビデオ通話や会議を脱出できるらしい。

なんとも奇妙だが面白い発想のマシーンである。藤原さんという女性が設立した「株式会社無駄」が作成したものだ。この藤原さんはユーチューブで「無駄作り」を開始し、注目を浴びて法人化するほど大きくなり現在に至る。

MJ紙面にはそのほかにも、こういったゆるいクリエーターさんが紹介されていた。常識にとらわれない新時代のものづくりである。

こういった常識にとらわれないものづくりが今後の日本を支えていくのかもしれないなあと思っていると、ふと似たようなものがあったようなと思い出した。「イグ・ノーベル賞」である。

イグ・ノーベル賞とは「人を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に贈られる賞である。「イグ」とは否定の意味があり「下品な」「不名誉な」の意味の単語にもかけている。こういうととても不名誉な賞と思われるかもしれないが、2010年にノーベル物理学賞を受賞したアンドレ・ガイム博士は2000年にカエルを生きたまま浮かせる実験でイグ・ノーベル賞も受賞しているように、研究に権威がある方も選ばれている。
ふざけていることに贈られるものではなく「ふざけているように感じることを真剣に研究して結果を出した」人に贈られるものである。

ちなみに日本では、バナナの皮の滑りやすさの研究が物理学賞に、カラオケの発明が平和賞、たまごっちは経済学賞を受賞しており、他にもまた下から天橋立を見上げる研究など、多くの受賞者を輩出している。

そう、日本はこの奇妙な研究に贈られる賞に、多くの受賞者を出している国なのである。
ちなみにベストテンはこんな感じ。
1,アメリカ 101
2,イギリス 27
3,日本 24
4,オーストラリア 13
5,フランス 13
6,カナダ 11
7、イタリア 10
8,オランダ 10
9、スウェーデン 6
10、スペイン 5
  ドイツ 5   (人、団体)

2019年までの資料なので若干古いのだが、日本は堂々3位である。その後も受賞者を出し続けているので、日本が上位であることに異論はないだろう。
日本は奇妙な研究が盛んということである。

一方でガチで真面目な研究に贈られるノーベル賞はどうだろうか。

1,アメリカ 338
2,イギリス 133
3,ドイツ 109
4,フランス 70
5,スウェーデン 32
6,ロシア 31
7,日本 28
8,スイス 27
8,カナダ 27
10、オーストラリア 22   (人、団体)

比較するためこちらも2020年と少し古い資料からになるが、いかがだろうか?こう見ると、やはり日本のイグ・ノーベル賞の受賞者は多いと言えないだろうか?

「でも、賞の歴史も違うしそれほどノーベル賞の受賞と比率変わらないんじゃない?」と思った人もいるだろう。確かにノーベル賞は欧米から始まって歴史もあるためアジアの受賞者が少ないだけとも言える。

しかしながら、このランキングには大きな違いがある。なんと「ドイツ」のイグ・ノーベル賞受賞者はノーベル賞に比べ、圧倒的に少ないのである。

日本とドイツはともに敗戦国から経済立国と成ったことや、自動車産業が盛んなこと、工具や道具など精密なものを作ることが得意など、色々な共通点がある。真面目で勤勉と言われている点も共通している。日本の所謂「職人」とドイツの「マイスター」も非常によく似た存在だ。

しかしながら、この「奇妙な研究」に取り組むことに関しては日本の方が上なのである。言い換えればドイツ人の国民性として「ゆるさ」という部分がないと言えないだろうか。

日本には「ゆるキャラ」や「サンリオ」を代表とするフワフワしたかわいいキャラクターが存在し人気である。そこには一定のゆるさがあり、そこに人々は安らぎや親しみを感じたりする。

この「ゆるさ」は日本の強みではないだろうか?

先述のゆるい発明品や、イグ・ノーベル賞の研究など、その独自の視点は他の国より優れているとは言えないだろうか?マリオやポケモンが世界中で人気なのは、その証拠ではないだろうか?

日本も大手家電メーカーはその世界的な競争力を失い、主力産業である自動車産業も電気自動車に移り変わるなど、必ずしも将来が万全だとは言えない経済状態だ。いや、むしろ日本の将来は悲観的だと考える人の方が多い。

そんな悲観的な観測を、この「奇妙さ」や「ゆるさ」が救ってくれる可能性はどうだろうか。
日本の産業の新しい柱になってくれるのではないだろうか?

話は変わるが「奇妙」と言えばマンガ「ジョジョの奇妙な冒険」を思い出す人も多いと思う。私もそうだ。日本を代表するマンガの一つである。ただ、この「ジョジョ」も最初から人気があったわけではない。荒木飛呂彦先生の「魔少年ビーティ」「バオー来訪者」を読んで、幼い私は「なんとも奇妙で怖いマンガだなあ」dと思った。そしたら次は「ジョジョの奇妙な冒険」である。とうとうタイトルにまで「奇妙」が付いた。最初は「また奇妙なマンガが始まったな」と思っていたのだが、連載が続くうちにジャンプが発売すると一番先に読むマンガとなっていった。今でも続くジョジョシリーズは多くのファンがいる、大コンテンツである。

今はまだ小さかったり、注目もさほどされていない発明や研究だったりするのかもしれない。だが、その「奇妙さ」は後に、ジョジョシリーズののような「日本を代表する一大コンテンツ」に成長して、面白い未来を見せてくれる。そんな期待をしてしまう。

「奇妙」に乾杯!

今日はここまで。

引き続き、どうぞよろしく。


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