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故意死球の是非

あけましておめでとうございます(2/19)

メカニクス系や球界等のnoteも増え、もう自分のnoteの存在意義すら無くなってきてます()。なので投稿回数は去年よりかなり少なくなると思いますが今年もよろしくお願いします。

という訳で新年最初のテーマは報復死球についてです。最近、ヒューストン・アストロズのサイン盗み問題に対する報復が考えられるため、アストロズ新監督のダスティ・ベイカー監督はMLBに対応を求め、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは報復死球は許されないとコメントしました(フルカウント、『サイン盗みへの“報復死球”は「許されない」 コミッショナーが各監督に“厳命”』)。 ですが通達したのみであり、具体的な罰則も分からないので本当にしないとも思えません。

ここで報復死球という言葉は出てますが、報復死球は故意死球の一種。アストロズのサイン盗み関係なく本当に報復死球、故意死球というのは必要なのでしょうか?文化の違いもあるため一方的に悪とは断定出来ませんが、個人的な意見で言うと、アストロズ関係なく早急にやめて欲しい、と思います。なぜそう思うか、そもそも報復死球、故意死球とは?をこのnoteで書いていきます。

1.そもそも報復死球とは?

故意死球は文字通り故意にボールを打者に当てるもので、通常の死球とは異なります。野球界には様々な不文律(アンリトンルール、Unwritten Rule)があり、これを破ると報復という形で報復死球を受けます。

不文律は例えば大差の時にはバント、盗塁してはいけないとか、MLBにおいてはホームランを打った時にゆっくり走らない、大袈裟なパフォーマンスをしない、がそれで聞いた事あるものもあると思います。Wikipediaを見て驚きましたが、NPBにも王貞治元選手のシーズン本塁打記録を抜かせてはいけないというのがあったみたいです(2013年にバレンティンが記録を塗り替える)。

これを破った際に、相手チームの投手から報復死球を受けます。行った場合、投手は退場させられたり警告試合になる場合もあります。なぜなら、ここから乱闘に発展する場合もあるからです。例えば2017年にナショナルズ(当時)のハーパーがジャイアンツ(当時)のストリックランドにぶつけられ、それに怒り乱闘があったという事例があります。ストリックランドは2014年のNLDSでハーパーにホームランを打たれ3年後にその報復をしました。下の1番目がハーパーの2014NLDSでのホームランで2番目が件の乱闘の動画です。

https://youtu.be/USC-pqLqsgw

https://youtu.be/ST5aBJ1eo6Y

ハーパーのホームランの動画を見てみると打った直後はややゆっくり歩き、バットもポイしてます。しかし感情昂るポストシーズンでは珍しいことではなく、そもそんなに派手ではないのでポストシーズン云々関係なくシーズンでもやる選手はいると思います。報復死球の意味が分からないです。ちなみにハーパー、ストリックランド両者共にこの後数試合の出場停止処分が下されました。また当時ジャイアンツ所属のマイケル・モース外野手はこの乱闘の際に脳震盪を起こし、この試合が彼の現役最後の出場試合となりました。

2.故意死球の是非

MLBでは死球で謝ってはいけないなど、文化の違いもあり故意死球に関しても正解が無いと思います。また世界最高のリーグでプレーする以上、様々な性格の選手がおりプライドも高いでしょう。ただ、1人の野球ファン、特にMLBが1番好きな自分にとっては前述の通りこの故意死球は早急にやめて欲しいです。危険なラフプレーに対する報復死球の気持ちは分かります。仲間を傷つけられた以上、黙ってはいられないでしょう。しかし派手なパフォーマンスやルーキーに対する故意死球(過去にハーパーやアクーニャが受けている)等に対しては賛成しかねます。反対する理由は主に2つあります。

1つは誰も得をしないものであること。故意死球を行った場合、退場させられ、その後に出場停止処分が下されます。このリスクがある以上、投手側、報復側にメリットはほぼ無くデメリットに近いでしょう。また、その後相手チームから報復を受け、またやり返すという連鎖もありえます。受ける側も死球を受けるというのは危険が高すぎます。今日のMLBではめちゃくちゃ速いスピードボールを沢山見ます。ほぼ石である硬球を100マイル近い速度で身体に受けた場合怪我をするリスクは高まり、当たる場所が悪ければ選手生活が終わる、最悪の場合は死球で死ぬという事例もあります。ハーパーやアクーニャは現在球界を代表するスーパースターですが、もし報復死球の当たりどころが悪ければ今のように活躍してなかった可能性もあります。

もう1つは野球に限らず、スポーツは魅せるものであること。つまり個々のパフォーマンスは否定されるべきではないということです。この「パフォーマンス」はバットフリップ等もそうですがプレーについても含みます。

大差での盗塁やバントにイラつく人もいると思いますが、これは戦術であると同時に選手のパフォーマンスでもあります。盗塁やバント1つで年俸の査定が変わることもあるでしょう。盗塁に関しては最多盗塁というタイトルが存在します。そもそも大差になったのはチームの失策であるのにおちょくってる訳でもない、普通にプレーしてる相手チームにキレるというのはどうかなと思います。

またガッツポーズやバットフリップに対しての報復死球は、変な言葉になりますが選手以前に人格の否定にもなると思います。ガッツポーズやバットフリップが出るのは興奮した場面で、感情を爆発させる選手ほど熱い男であります。ソフトバンクホークスの松田宣浩は過去のスローガンもありますが、そのプレースタイルやキャラの濃さもあり彼の二つ名は「熱男」です。当然このような選手はファンに愛され、客はもっと見たい!と思うようになります。そしてスーパースターとして野球界における憧れとなり客を呼び寄せる、カリスマ性のある選手となるでしょう。しかしそのような選手に故意死球を与えるということは、「そんなパフォーマンスはするな」と言ってるにも等しいです。興業の面もあるプロスポーツなのにわざわざ厳粛なものにして、本当に楽しいのだろうかと思います。

では故意死球の代案はあるのでしょうか。それは簡単でシンプルに相手を抑えるということです。打者に当てるエネルギーがあるならそのエネルギーを全力で相手を抑えるために使えば良いのです。レッズのアミール・ギャレットは報復死球に対して反対であり、Twitterでこう言っています(フルカウント、『レ軍左腕、報復死球の“風習”に苦言 「野球選手は他のスポーツでは生きていけない」』)。

「多くの野球選手は他のスポーツで生きていけないと感じている。なぜ、皆、バットフリップに激怒するのか? 気分を害した? それは笑える。目の前でダンクを決められて、罵声を浴びせられる気持ちを想像してみれば良いのに。どうするんだい」

「自分の意見はこうだ。バットフリップはクールなものだ。じっと耐えるしかない。しかし、次にその打者と対戦した時にだ。三振に取ればいい。そして、好きなことをすれば良い。ガッツポーズやムーンウォーク、側転。何でもすれば良いじゃないか。自分は賛成だ。どちらもでも」

自分はこの意見に賛成です。派手なパフォーマンスも盛り上がりますが、やられた後の打席で完璧に仕留め派手なパフォーマンスで返すというパフォーマンスの応酬は華があり、盛り上がるものでしょう。プロスポーツは興業でもあるのだからプレーだけでなく、こういったパフォーマンスを見たいと思い球場に足を運ぶ客も増えると思います。

ちなみに自分は故意死球は相手の故意的なラフプレー時には最悪行ってもいいと思いますが、MLBファンの1人である助手さんは彼のnoteで大差におけるバントや盗塁に関する不文律は擁護しています(https://note.com/bryce34/n/n9dba0b8d8ecc)。自分と助手さんを比べるのはnoteの面含めてもおこがましく同じMLBファンでも差がありますが、同じMLBファン、同じジョシュ・ハミルトンファンでもこのように意見が違うので面白いと思います。

3.終わりに

故意死球に関しては何が正解なのか分からず、価値観の違いも当然あります。それでも自分は故意死球はやめるべきと言い続けます。ラフプレーの時も気持ちは分かると言いましたが、この場合は感情が昂り「野郎ぶっ〇してやる」となった時には感情爆発させて「最悪行ってもいい」ということなので基本的にはこの場合でも反対です。代わりにラフプレーを行った選手への処分をめちゃくちゃ重いものにすることを提案するという代案もありますし。

前述の通り、今シーズンはアストロズの選手への故意死球が考えられます。アストロズの一連の流れは許されるものではありませんが、それをアストロズの選手を物理的に潰すことによって成敗することは反対です。MLBは野球の最高のリーグ、ならば野球で成敗することが1番ではないでしょうか。アストロズ戦は他の対戦チームよりも本気になり今まで最高の打撃だったチームを、去年NLCSに出場しながらナショナルズに完璧に打線を沈黙させられたナ・リーグ中地区の某赤い鳥のチームのようなレベルの貧打まで完膚無きまでにたたき落とすのが良いと思います(ちなみに赤い鳥チームは2019年シーズン中も全体下位レベルの打撃でした)。


出典
フルカウント、『サイン盗みへの“報復死球”は「許されない」 コミッショナーが各監督に“厳命”』、 https://full-count.jp/2020/02/17/post692493/
フルカウント、『レ軍左腕、報復死球の“風習”に苦言 「野球選手は他のスポーツでは生きていけない」』、https://full-count.jp/2019/04/19/post350091/
助手さん、『野球の「不文律」について思うこと』、https://note.com/bryce34/n/n9dba0b8d8ecc


#野球 #MLB #NPB #野球 #不文律 #故意死球

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