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Are they submarines?

"submarine"こと、アンダースローはその複雑さと難易度の高さから投手の投げ方の中では希少種です。NPBでは過去の選手だと千葉ロッテマリーンズに在籍した渡辺俊介や、史上最高のサブマリンと言われる元南海ホークスの杉浦忠や元阪急ブレーブス山田久志、現役だとソフトバンクの高橋礼やパドレスの牧田和久が有名です。
当然、MLBでもアンダースローの投手はいます。しかしsubmarineと言われる下のダレン・オデイやパット・ネシェックのリリースを見ると…

リリースから見ると彼らはサイドスローに近いです。MLBのアンダースローと言われる投手このような投手が多いです。果たして彼らはNPBのような地面スレスレから投げる純粋なアンダースローの投手なのでしょうか?

1.アンダースロー

そもそもアンダースローの定義とは?
アンダースロー(submarine)の英語版のWikipedia (引用するサイトとしてはとうかと思いますが)ページには、「下手投げ(ここではトスのことだと思われる)ではないが地面のやや上から投げる投法」で、「胴体を右投手だったら右側に曲げ、その状態で肩を水平の軌道で回転するように傾ける」と書かれていました。自分でも書いててなんのこっちゃと思ったので、図で表現してみます。(出来には目を瞑ってください)

青い線がサイドハンドのリリースの瞬間の体の状態です。アンダースローはこの状態から更に体を右に傾けます(赤い線)。赤い線が大体のアンダースローのリリースの瞬間の体の状態です。
ちなみに「アンダースロー」は和製英語で、submarine、またはsubmarine pitchが一般的です。

Wikipediaに書いてある文だと、アンダースローかどうかを見極めるのは体の傾きが1つです。例えば上で紹介したネシェックは身体の傾きは小さくどちらかと言えばサイドスローです。オデイは身体の傾きがネシェックより大きいので、アンダースローに分類されると思います。

2.MLBのアンダースロー

MLBでsubmarineと言われる選手は大体上のネシェックやオデイのようなサイドでは?と思うような選手が多いです。そのため地面スレスレから投げる投手は今は皆無と言っていいでしょう。しかし少数ですが、歴代の投手の中には地面スレスレから投げるsubmarineもいました。代表的なのがチャド・ブラッドフォード(写真)です。

ブラッドフォードは身長195cmと長身の部類ですが上手く身体を折りたたんでいます。リリーフとしてMLBで12年間で561登板を果たし、通算防御率は3.26と好成績を残しました。

3.アンダースローは何故少ない

日本では上で述べたような投手は地面スレスレから投げる投手が多いですが、反対にMLBでは少ないです。これにはいくつかの理由があります。
1つはアンダースローを投げる投手がとても限られていること。アンダースローは細身の体で長い手足を持つ選手が有利と言われており、柔軟性も必要で身体の使い方が難しいです。また指導法も完全ではありません。1970年代の代表するsubmarineだったケント・デカルヴは元々サイドスローでしたがアンダースローに転向しました。アンダースローを目指すならメカニクスをよく理解し、自分の身体がどちらがやりやすいかを試す必要があります。
もう1つの理由は与死球数が多い傾向です。参考に、NPBの通算与死球数上位10名の内6名がアンダースローです(2位渡辺秀武、3位坂井勝二、5位仁科時成、6位山田久志、7位足立光宏、9位佐々木宏一郎)。
そしてMLBではカール・メイズ事件というのがあります。これは1920年に当時ヤンキースの所属だったアンダースローのカール・メイズがインディアンス所属のレイ・チャップマンに頭部に当ててしまい、翌日にチャップマンが死亡したという事件です。メイズはインコースを攻めるピッチングでしたが当てようと思ってた訳ではありません。しかし野球で人を死なせてしまったという事実から世論は彼へのバッシングを始めました。この事件により「カール・メイズのようなアンダースローは危険だ」という風潮が広がったのも、アンダースローが少ない原因と推測出来ます。

アンダースローはその独特な投法のため、打ちづらいですがデメリットが大きい投法です。日本では地面スレスレの選手が多いですがMLBでは現在皆無です。ブラッドフォードのような投手がMLBで出てくるのか注目です。

#野球 #NPB #MLB #投手

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