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ぱっとしない旅も、わたしのスタイル。不完全燃焼な旅の思い出を上書きする機会もまた、旅の中にある【だから旅は、やめられない。#24】

Atsuko (会社員/旅行業界)

周りから見るとわたしは、旅好き、旅慣れた人に見えるらしい。

たしかに、旅行関係の会社で働くわたしは、出張&プライベートで、普通の人より頻繁に、そして気軽に海外を訪れていた。英語はペラペラではないが、旅をするのに困ったことはないし、ひとり旅もたくさんした。でも…

わたしの旅、特にひとり旅はいつも、不完全燃焼の塊だった。

空回りするわたしの旅

旅行を計画するときは、せっかくだからガイドブックに載っていないレストランに行きたい!と思って個人ブログを読み漁り、お店をピックアップする。

でも、リサーチ通りにいくことはとても少ない。

調べたお店が行ってみるとローカル感がありすぎて、あるいはグループで賑わいすぎていて、ひとりで入る勇気がなくて何度も前を通り過ぎた挙句、諦めて別のお店に入ったことは一度や二度ではない。レストランに限らず、ワクワクMaxの状態から、To doを達成できずしょぼんとなった経験は、数えきれないほどある。

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<グアム:地ビール(Minagof)が飲めるバーに勇気を振り絞って入ったのに、全部樽がきれてるから水曜日に来てねーってかわいいサーバーの子に言われた(帰国は火曜…)>

そして、わたしの旅は、ドラマチックな出会いも人生観が変わるような出来事も特になく、平凡だ

旅をするたびに、人と比べて落ちこんでいた

友人や旅好きさんのブログやSNSを見ると、「同じ場所に行っているのにこうも違うのか……」と、充実度の差に愕然とすることも多々ある。わたしの旅は、名所を見て、名物を食べて、その場所に行ったという証明をしているだけなんじゃないかと思うことすらある。もちろん、旅での経験や感じ方は人と比べるものではないとわかっているのだけど、他の人のように素敵な経験ができないのは、自分自身の感度や熱量が低いせいなのかもとずっと思っていた。

“旅=非日常体験”でアガるはずなのに、なんだか平凡。むしろ、やり残したことやできなかったことが目立って、不完全燃焼。

それがずっとコンプレックスだった。

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<クロアチア・トロギール:レストランがいっぱいある観光地なのに、缶ビールとピザテイクアウトでブランチ。でもこの民泊のオーナーはめっちゃいいひとで、本当にまた行きたい!>

でも考えてみたら当たり前のことで、普段できないことが旅の間だけできるようになるわけはないし、しないことをしようとしても難しい。小心者のわたしが、気になったお店に入る勇気がなくて別の店で妥協して(良くも悪くも)それなりの満足感で終えてしまうのは、それがクロアチアの小さなリゾート街だからではなく、昔住んでいた蒲田の立ち飲み屋でも同じだった。

周りのコミュ力がある人をうらやましく思いつつ、ひとりでもさみしくないよと強がってしまうのは、旅行中にかぎらず、知り合いがいない仕事の勉強会やイベントでもよくあることだ。

旅は、ただ自分のいる場所が非日常になるだけで、そこですごす時間は自分の日常が反映されているのだから、どこに行っても、結局は、自分のキャパシティ内のことしかできない。だったら、背伸びしようとしないで、自分らしく旅ナカの時間を過ごせばいいだけの話。不完全燃焼上等!だって、それがわたしの等身大なんだから。

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<キューバ・ハバナ:悠長に夕暮れの写真をとっているけれど、翌日の移動手段を確保できてなくて内心めちゃめちゃ焦ってる>

ちょっと足りないくらいが、ちょうどいい

そうふっきれてから、肩の力が抜けて逆に旅を楽しめるようになった気がする。

何度も訪れる街では、「あー、また今回も新規開拓の勇気がなくてまた同じ定食屋に来ちゃった。なんかもうこれ私のルーティンだな(笑)」という感じで、最初は妥協で入ったお店が、いつの間にかTo doのひとつみたいになった。やり残して悔しかったことは、本当にやりたいことだったら、大人なんだからさくっとリベンジすればいいし、できることも知ってしまった。(お金はかかったけど…。)SNS映えするキラキラした旅でなかったとしても落ち込むことではないし、また次がんばろうというモチベーションにもなるんだなと思うと、今は、いつも不完全燃焼な自分の旅が愛おしくさえ思える。

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<沖縄・那覇:この定食屋さんは外れないので行きたいお店に行けなかったときはシェルターみたいに逃げ込んでる。大好き。>

これからも、わたしの旅は、小さな反省や後悔が満載のぱっとしないものになるだろう。

裏路地のディープなあのお店には、次の訪問でもまた入れないに一票だし、他の人の充実した旅日記と比べてしまってちょっとへこむこともきっとある。

だけど、それもひっくるめてわたしの旅のスタイルだし、不完全燃焼や積み残しを片付けて、上書きする機会もまた、旅の中にあると知っている。だから旅は、やめられないのだ。

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