自分の悩みはなんてちっぽけだったのか【旅が僕らに教えてくれたこと #10】
ほりい みほ(モデル)
Episode 1 世界は広い!
高校時代、世界史の授業が一番好きだった。
特にマチュピチュをはじめ、世界遺産が気になり始めたのもこの頃の話。
しかし、高校2年生くらいまで英語は基本的に赤点だった私にとって、言語が通じない海外なんて怖いところだと思っていたし、そもそもオタク気質だったので、学校から直帰すると、ネットサーフィンやホームページ更新をしている方が楽しかった。
加えて、インドア派で、あまりアクティブと言える部類の人間ではなかったので、TVで世界遺産の映像を見ているだけで、満足だった。
高校を卒業し、芸術系の大学に進学してからも、変わらず、世界の映像を見ることが大好きだった。
しかし、その頃になると、徐々に、自分の目で世界遺産を見てみたいという気持ちがふつふつと湧いてきていた。
そんなある日のこと。校内の掲示板で『海外美術研修』の張り紙を目にする。
それは、冬休みの2週間を利用し、デンマーク、スウェーデン、オランダ、ベルギー、フランスを旅するというもの。その上、なんと単位まで取とれる!
仲の良かった友人も参加するとのことで、親に頼み込み、申し込む。
19歳。これが私にとって、人生初の海外!
それはもう、衝撃の連続だった。
最初の目的地・デンマークに到着し、そこからはずっとガイドさんがついてきてくれた。しかし、そのガイドさんの口癖は、
「危ないから気をつけてくださいね~」
旅の間、スリの多いエリアを歩くことも多かったので、しきりに注意を促される。日本では感じなかった緊張感と、少しピリピリもした空気の中ではあったが、お陰で滞りなく旅程をこなすことができた。
ガイドさん曰く、「海外旅行って後半は楽しくなって帰りたくなくなるもんだから」と。
本当に、そうだった。
旅の中盤くらいで、ベルギーの『北のベネツィア』の異名を持つ、ブルージュという、運河の町に滞在した。自由時間も多く、街もこじんまりしていて歩きやすく、この街は治安も良い印象だった。
自由時間に、マルクト広場の塔に登った。
塔から見たブルージュの町、どこまでも広がる青い空が、私の脳裏に焼き付いて、その景色はいまだに覚えている。
「世界は広いんだ・・・!もっともっと、色んな国に行ってみたい」
その景色を見ながら、私はそう決意した。
それが、私が、旅にハマるキッカケとなった。
Episode 2 自分の悩みはなんてちっぽけだったのか。
心身共に疲れていた、社会人時代。
そんな中、「インドに行ったら、世界観が変わる」という話を聞いた。本当に、そうなのだろうか?
……と、気がつけば、年末年始の休みを利用し、インド行きの飛行機を取っていた。
この旅も、衝撃の連続だった。
時間になっても、列車が来ない。トゥクトゥクに乗れば、まず運転手の息子を学校に送り届けてから観光スタート。長距離バスに乗れば、サービスエリアでアシスタントの乗務員を乗せ忘れる。(一番忘れたらあかん人!)
「あぁ、なんかイチイチ細かい事を気にしていたら、ここでは生きていけないんだな。私の日本での悩みって、本当にちっぽけな事だったんだな…」
列車は絶対遅れるもんや、と思ってのんびりしていた時に限って、定刻通り出発するインドの列車。
既に走り始めている列車に飛び乗るという『天空の城ラピュタ』の冒頭のような経験まで、人生で初めてした。
「あぁ、インドの列車にドアが無くてよかった」
そういう考えに至った自分の思考回路は、だいぶインド色に染まっていた。
Episode 3 一人で決断する力がつく。
「そういえば、一人で海外に行ったことってないよな?」
と思い立ち、「一人でイタリアに行ってみよう!」と思った、2015年秋。
旅慣れていると思っていた私も、一人旅だと、普通のことが全て新鮮に思えた。
空港での諸々の手続きも、一人でできたわぁという感動があった。ホテルに行くのも、美術館に行くのも、レストランに行くのも、一人だとイチイチ新鮮だった。
自分の決断で旅程を決められ、自分のペースで動けるのは楽だけれど、ランチタイムを逃してしまっても、まぁ、それも自分の責任。
「そういえば、人生において、自分一人で最初から最後まで、考え、決断した事ってあったっけ?」
これまでの色々な決断も、確かに、自分で決断したとは思っていたものの、横から親の意見が入ったり、先生の意見が入ったり、友人の意見が入ったりしていて、他人の意見は有難い話ではあるけれど、自分一人で決断した!と言い切れるものは、何一つ、思いつかなかった。
自分で判断するとうことは、全責任は自分だし、マイナスな選択になることもある。
しかし、自分で決めたことだったら、後悔がないものだなという事を、この旅で悟った。
人生において決断・選択のシーンは沢山あると思うけれど、最後は、自分で決断しよう。
この時、初めてそう思った。
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