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自分の心に素直になれる。だから旅はやめられない【だから旅は、やめられない。#20】

岡 春菜子(貿易商社)

なぜ「旅」をするのか…?

「なんでそんなにフットワーク軽いの?」「どこに住んでいるの?笑」
私が旅の写真をSNSに投稿すると、よく友人に聞かれる質問だ。

日々のリフレッシュや、まだ見ぬ世界を見たい、体験したいという好奇心、新しい出会いを求めて…というのも十分に理由としてはあるけれど、日頃から(ほぼ分刻みで笑)予定を詰め込んで活動している私にとって、『旅に出る』ことは自分とゆっくりと向き合う時間や自分の素直な気持ちに正直になれる瞬間を持つ、いわば『私』を再確認できる時間であり、その時間を求めて私は旅に出ている。

そもそもの始まりは…?

私の家族は、週末が来るたびに地元九州の山々に出かけるほどの登山一家。九州のみならず、日本各地の山にもいくつも登った。20歳で両親からもらった『登山通帳』には、2歳からそれまでに登ってきた山の標高がすべて記録されて、その標高分の金額が貯金されており、20歳時点で15万円近く貯まっていたから驚きだ。
『遠くへ出かけること、見たことのない景色を見ることが大好き』になったのは、間違いなく、この幼少期の経験があったから。

そんな私が初めて海外に目を向けたのが中学校3年生の時だった。
福岡県が主催する青少年育成事業『青少年アンビシャスの翼』の団員に選出され、イギリスのインターナショナルキャンプに3週間参加したことが私の人生のターニングポイントになった。

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コーヒー片手に颯爽と歩く外国人、ハリーポッターさながらの街並み、広大な自然の中でのキャンプ。何より12か国もの同世代の仲間達が集まるキャンプ生活を通して、何も恐れず見知らぬコミュニティへ飛び込んでいく冒険心やワクワク感、知らないことを知る楽しさ、全てが新鮮だった。同時に、世界の広さ、世界の同年代と比べて自分自身のことも自国こともほとんど知らない自分の無知と無力さを痛感した。この時、初めて世界に強い衝撃と興味を持った。
旅すること、世界をもっと知りたいという気持ちをはっきりと持ったのもきっとこの時だ。

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それ以来、留学経験を含め、日本全国、韓国・台湾・シンガポール・アメリカ各州・カナダ・オーストラリア…など、多くの場所に足を運んで、その土地の自然・文化・歴史に触れ、それがいつもどこでも、毎回楽しくて、旅のトリコに。
私にとっての旅とは、感動・ワクワク・新鮮さに出会い、そこから自分の新たな夢やキラキラを手にすること。生きていると感じられることだった。

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いつしか旅が「タスク」に…

社会人になると、多忙さも相まって「これからの働き方、人生とは…?」ということを、とても複雑に考えることや愚痴を言うことが日に日に増えていった。
それでも、周りから見える「明るく活動的な私」は失いたくない、と暇があればどこかに出かけていたが、思い返すと、心揺さぶられる感動に出会う旅はほとんどなかったような気がする。なぜなら、「旅=休日のタスク」になっていたから。
本来ならば、自分自身の内面にある、キラキラを充電するための旅が、現実から逃げるための手段や、(そんな必要はないのに)周りの期待に応える為の手段に代わってしまっていたのだ

旅をする本当の意味を見いだせた「旅」

「このままでいいのか?何がしたい?私の夢は?」
ひたすら悶々と考える日々が続き、人生迷子の私がたどり着いたのが『グランドキャニオン』に会いに行くこと。小学校の図書館で開いた世界の絶景の本を見て一目惚れしたその場所に行けば、何か感じるかもしれない。社会人3年目の2019年冬、アメリカにいた先輩・友人を訪ねることも兼ねて、10日間のアメリカ旅が始まった。

LA滞在中は、大好きな海を見にサンタモニカ・ビーチに頻繁に通った。
道行く人に声をかけながら自転車で走る人、ギター1本で楽しそうに歌う人、陽気なカフェの店員さん。きっとこれがこの街の日常なのに、私にとってはそれがとても嬉しくて、心地よくて、胸が熱くなった。こんなに些細なことでも、人生を楽しんでいる人達がこの地球にはたくさんいる。

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数日LAに滞在し、数百キロの運転を経て、ラスベガス、そして念願のグランドキャニオンへ。東京の都会と比べものにならないほどのラスベガスの華やかさも、アンテロープキャニオンの自然の造形も、ホースシューベンドの気持ち良い風も、息をのむほど素晴らしかった。

でも、グランドキャニオンのあの場所に立った時の感動は、今思い返しても鳥肌が立ち、体の奥底からエネルギーが湧き上がり、その場面を思い浮かべると涙が出そうになるほど美しかった。薄っぺらな言葉に聞こえるかもしれないが、心の底から『生きているって素晴らしい』『悩んでいることは何だったのだろう』『自分に正直に生きよう』そう思わせてくれた。

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私が旅を純粋に楽しんでいた頃は、シンプルにこの感情をいつでも感じていた。
この感覚を得たくて、旅をしていたのだと、その時初めて分かった。

思い出した感覚と飛び込む勇気

グランドキャニオンの景色が思い出させてくれたのは、ワクワクする胸の高なり、心震わす人や景色との出会い、何より自分と真っ直ぐに向き合う時間。同時に、中学校3年生の、何も恐れず、チャレンジしていたかっこいい自分の姿。

帰国して決意したこと、自分を大きく変えた決断がある。
「一度きりの人生、自分の心に正直に、気持ちの向く方を選択しながら生きていく」
その半年後、私は会社を辞め、大好きな自然に関われるアウトドア商材を扱う貿易の仕事についている。ワークライフバランスも理想的。そして、3年間ずっと気になっていたにも関わらず入会を渋っていたリーマントラベルサロンに躊躇なく飛び込んでいる。

自分の心に正直になって行動をおこした結果、私は今とても恵まれた環境にいて、そして今、そのような環境を自分で選んで飛び込んでいった私のことが大好きだ。
社会に揉まれ、いつの間にか自信を無くして余裕をなくして、何者にもなれていない自分のことが嫌いになっていた。でも、「悩みながらも前進している、“何者”にもなる必要はない」、アメリカのビッグな大地が教えてくれたこと。

自分の心に素直に向き合って、自分の好きな自分でいること。
これを教えてくれるのは、いつも旅だ。だから、私は旅がやめられない。

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