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ひとりでロックスターになる方法 ep.14

ライブハウス選びって本当に重要だと今になって思ってます。
まだ何も始めていなくて、これから何かをしでかしてやろうとしている未来のロックスターの君、ホームとするライブハウス選びは慎重に行ってもらいたいです。

私は兵庫県尼崎市という街に生まれました。関西の方なら分かると思いますが、尼崎市は大阪市の隣なので本来であれば大阪のライブハウスをホームにするのが普通なんですが、なぜか遠くの三宮を選んだのは偶然なのか運命なのかわかりません。

高校時代にホールレンタルでよく使わせてもらってたのが神戸スタークラブと神戸アートハウスでした。次第にオリジナルバンドをやるようになり、神戸アートハウスをホームとして活動するようになってました。その頃のブッキングマネージャーが稲村さん(アルカラのボーカル)で、リバーシブル吉岡をこの世で初めて見たのも稲村さんです。なんと、稲村さんはリバーシブル吉岡の最初と最後に立ち会った唯一の貴重なお方なんです。そんな縁もあり、仲良くしてもらったり、あらゆるジャンルのバンドとのブッキングを実験してもらえたり、いろんな企画に誘ってもらったり、アルカラのツアーに呼ばれたりとお世話になりました。
これも私が神戸アートハウスを選んでいなかったら起こり得なかったかもしれないことです。本当に感謝しています。

神戸にはもう一つ裏のホームがあります。旧神戸スタークラブ、現在の神戸太陽と虎です。(神戸スタークラブからの神戸太陽と虎の事情については神戸の音楽に詳しい人にでも聞いてください。)ここの箱には松原、風次という魔物が2匹住んでいます。

少し前まで神戸のライブハウス同士はめちゃめちゃ仲が悪くて、ジャンルも分かれてて、とてもギスギスした感じでした。出ているバンドも自分たちのことをアートのバンド、スタクラのバンドというほどにきっちり分かれてました。

わたしはいわゆるアートのアーティストだったので、ほかのライブハウスに出る事は原則無かったのですが、とある事情で旧神戸スタークラブに出演する機会が訪れました。

それがGOING KOBE(現在のCOMING KOBE)のオーディションでした。
GOING KOBEは外の人間から見てもとても楽しそうで羨ましくありました。ライブハウスという大きな壁はありますが、なんとか出演したい強い思いから勢いで参加したわけです。

今でも覚えているのがオーディションライブ当日、三宮駅前パイ山で稲村さんと偶然会いました。その時に「ちょっと出稼ぎに行ってきます」と言ってその場を離れたオーディションに向かったことを覚えています。

もちろんオーディションでは落選。ライブハウスの壁はでかいわけです。しかし、共演者や見にきていたスタクラのバンド達に、「あんなんせこい、絶対売れるやん」とコソコソ陰で言われて心の中でガッツポーズをしてました。自分のやってる事は間違いなく尖っていると確信した瞬間でした。

結果的には翌年には本編に出演、そこから何年も連続で出演させてもらう、いわゆる常連出演者と化しました。本来わたしのようなキワモノは小さい密室の小箱に押し込められるはずなんですが、最初から堂々と外で歌わしてもらいました。(初めて出演したときは完全に通路なので、若干の苦情がでてましたが)
その後も大きな会場に出させてもらったりと、色んなチャンスをくれたのもこのイベントでした。松原さん、風次さんにも本当に感謝しかありません。

そんな神戸っ子の私でしたが、大阪にも一箇所ホームがあります。そこが、難波ロケッツです。ロケッツ出演のきっかけはリトマネン(リトマネンスケベッチオナゴスキー)さんの企画ライブ。そこから膀胱チョップとの2マンや、自主企画、伝説の狂ったフェスF.M.Wなど、色んなタイミングで遊ばせてもらいました。ロケッツのカサゴさん(現在はSOCORE FACTORY)とも色々と思い出があります。本当に悲しいくらいに動員がなかったあの伝説のライブのこと、二人で行った闇の営業のこと、あとレコ発のイベントのPAを手伝ってもらったりもしました。今や難波ロケッツは無くなってしまいましたが、それでもまだ自分のホームだと胸を張って言えるライブハウスのひとつです。

アートハウスからは、ソロアーティストでもバンドと戦えるという自信を与えてもらいました

太陽と虎には、アンダーグラウンドでも外に出ていいんだよと、手を引いて連れ出してくれました

難波ロケッツには、タイムテーブルに縛られない寛大な心を教えてもらいました

さて、思い出話はこの辺りにして、本題のライブハウスの選び方ですが、まずはライブハウスの色を調べましょう。

直接通うのもありですし、インターネットでスケジュールを確認するだけでも良いでしょう。

スケジュールを確認するだけでも、このライブハウスにはどんなアーティストが出ているかわかると思います。アマチュアばかりなのか、プロばかりなのか、ホールレンタルが多いのか、時々有名なバンドが来る感じなのか。そしてそのライブハウスをホームにしているバンドがどれだけいるか、それもスケジュールから判断することができます。

それを踏まえて自分はどこに出るか決めれば良いと思います。おすすめとしてはバンドが付いている(バンドに愛されている)ライブハウスです。基準はその人の価値観もあるので一概には言えませんが、バンドが付いているライブハウスはスタッフもユーモアがあって熱いです。熱いライブハウスには熱いバンドが集まります。その輪の中に入って戦い、競い合って行きましょう。

間違っても以下のようなライブハウスをホームにしようと思わないでくださいね。

・ホームページが無い。
・ホームページがあっても更新されてない。
・スケジュールがガラ空き。
・ほぼスナック。
・どちらかと言えばスタジオ。

まれにありますので、そこは上手いこと避けていってもらえればと思います。ある程度動員がついた後に自主企画とかで使うのは良いと思いますけども。

あとは実際に足を運んでライブハウスの空気を感じてみてください。酒の味を確認してきてください。美味い酒を出してるライブハウスはまず間違いないです。頭の片隅に入れておいてください。

番外として、ライブハウスでは無いですけども、お世話になった場所を紹介します。

深夜喫茶銭ゲバ。大阪難波のディープスポット味園ビルの2階にあるバーです。過去には撮影で場所をお借りしたり、1日ホストをやったり、CD即売会を開催したりとお世話になりました。店主のムヤニーさんとは被る趣味も多く、とても話してて楽しいです。プライベートでもよく飲んでる場所なので、お会いしたときはいっぱい奢ってください。

なんば白鯨、なんば紅鶴。こちらは味園ビル2階にあるトークライブハウスです。過去に白鯨では怪談猥談トークライブや、今や怪談界のスーパースターとなった松原タニシさんとの対決ライブをしたりしました。紅鶴ではリバーシブル吉岡キャプテン公演という謎企画や、アイドル大好きという変わったイベントを開催してました。普通のライブハウスでは出せない独特の空気がこの場所にはありますので、機会がありましたら是非ご来店ください。味園のビルゲイツこと、店主の柏木さんもとても面白い方で、常に攻め攻めの姿勢にはいつも尊敬してます。

といったように、自分の好きな場所。落ち着く場所が自然とホームになります。そうやって自分の安らげる場所、帰れる場所を一つずつ見つけて行くのもロックスターとしての楽しみ方ではないでしょうか。
#エッセイ #音楽 #バンドマン #リバーシブル吉岡 #ひとりでロックスターになる方法

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