中国人の多い東大を「浄化」しろとツイートした大澤昇平氏の差別煽動効果と、それを止められない東大の責任の重さ
東大大澤昇平氏が、昨日12月12日から、また新たに深刻な差別煽動を開始した。
その内容があまりにも酷く、看過できないので、とりいそぎ問題点だけ書いておく。
中国人が多い東大を「浄化」しろと言うことは、レイシズム(人種/民族差別)を煽動し、ヘイトクライムさえ誘発しかねない危険な煽動行為である
最も酷いツイートを引用する。
このツイートのあとにこの投稿。
そしてその次はこれである。
大澤昇平氏は何を言っているのか。
要するに、中国人が多い東大を「浄化」しろ、と言っているのである。
これは極めて危険な差別煽動である。
大澤昇平氏のツイートが差別煽動である理由
大澤氏は直接「中国人が多い東大を浄化しろ」などと言っているわけではない。だが、氏の一連のツイートは事実上それと同じことを言っているので、差別なのだ。
念を入れて、なぜ差別になるのか書いておく。
すでに最初の記事で書いたことだが、人種差別撤廃条約からすれば、大澤氏の一連の発言は差別の効果があると考えられるからだ。以前の記事から再度引用すると、差別の定義は次のようなものだった。
この条約において、「人種差別」とは、〔①〕人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における〔②〕平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は〔③〕効果を有するものをいう。(第一条、外務省訳、強調は引用者)
決定的なのは2つの要素だ。つまり、①(人種/民族等)グループに対する②不平等(平等な人権の否定)である。
そして重要なのは差別する意図や目的がなくとも、
③効果
があれば、差別に該当する。
この効果、という観点から大澤氏のツイートを読んでみれば、それが差別だとわかる。
つまり文脈上、あきらかに大澤氏は、①中国人という特定のグループ(人種/民族にせよ国籍にせよ)に対し、②中国人が東大にいることを危険視している(人数が多すぎるといい、それを安全保障に結びつけて問題にしている)。
これだけで既に差別だ。
悪質さはそれだけでない。
更に看過できないことに、手段についても③「浄化」という極めて強い言葉を使っている。
人に対し「浄化」という言葉を使う神経が私には全く理解できない。「浄化」という言葉から、エスニッククレンジング(民族浄化)のようなジェノサイドを連想したのは私だけではあるまい。浄化という語を使ってまで、排斥するのが望ましいとしている氏のツイートは、それだけ強力な排外主義の煽動効果があるといえよう。
大澤氏の悪質さは、単に差別しただけでなく、カンパを集めようとして差別を利用したところにある
それだけではない。
大澤氏の一連のツイートの発端は、昨日12日の、カンパを集める呼びかけ投稿だった。
大澤氏が差別したから、企業が寄付を止めたのである。
大澤氏の自業自得であろう。
だが氏は自分が差別したことも認めず、12月1日にアタマだけ下げた最悪の日本型謝罪で切り抜けようとし、挙句の果てにカンパを呼びかけたのである。
冒頭の一連の差別ツイートは、このカンパ呼びかけに応答した人物を引用リツイートする形で行われた。
これが炎上商法でなくてなんであろう。
差別で炎上して、カンパのお願いを拡散する、非常に悪質なやり方である。
ここまで事態を悪化させた東京大学の責任
大澤氏本人が一番責任あることはいうまでもない。
だが私は、大澤氏が11月20日に差別して以降、いまだに氏を処分し、氏の差別煽動を抑制する措置も取らず、処分も行っていない東京大学の責任を重く見ている。
それについては既に繰り返し書いてきた。最近の記事を下記に張っておく。12月5日に大澤氏はツイートを投稿し、「サルでもわかる」と称したAI入門を拡散し人々を愚弄したが、それは東大が氏をいまだ処分せず、差別に甘い措置をとっていたと批判した記事だ。
その一週間後である12日に、今回の新たな差別が発生した。
これも東大の責任だ、ということは明確にされねばならないと考える。
未然に防げた差別を、東大が氏の処分をためらい、差別煽動効果を抑制する措置を取らなかったため、増長した大澤昇平氏がより酷い差別を煽動したのである。
東大がすべきことは何か。
すでに11月20日に公表した私の緊急提言の措置は、今でも有効だと思われる。ぜひ耳を傾けてほしい。
最後に一つだけ補足したい。
ヘイトスピーチのなかで敵を名指すことの危険性について
今回の大澤氏の差別煽動で懸念していることがある。
大澤氏は「情報学環のアジア情報社会コース(IT-ASIA)は半分以上が中国人」と書くことで、具体的に「敵」を名指ししてしまっているのだ。
文脈上、大澤氏は東大に「中国人スパイ」が潜んでいる、しかも情報学環のアジア情報社会コースという具体的な場を名指して、そこに潜んでいる(かもしれない)と脅威を煽ってしまっている。
このように抽象レベルで中国人が敵だというだけにとどまらず、具体的にどこにいる誰が敵なのだと名指してしまうこと。
これは差別煽動メカニズムにとって、より危険な行為といってよい。
だれが「反日」なのか、どこに「反日」がいるのか。
このような具体的な「反日」の名指しを伴うヘイトスピーチは、実際に名指されたターゲットへの襲撃リスクを高める点でより危険である。
東大の中国人留学生、特に情報学環アジア情報社会コースの学生が差別に遭うリスクは潜在的に高まっていると考えてよい。
私が11月22日の緊急提言で、差別の煽動効果を抑制しなければならないと強調したのは、このような事態を防ぐためであった。
名指されてしまった以上、特に情報学環アジア情報社会コースは、差別防止対策として速やかに差別反対声明を出し大澤氏の差別を否定するとともに、差別を未然に防ぐためサイトや掲示物などで差別を許さない旨を宣言し差別を抑止するなど、緊急の措置が必要なのではなかろうか。また東大の警備員とも連携し極右への学内の侵入や差別ビラ・掲示物がないかどうかやヘイトクライム防止措置などをとるべきだと思う。
東大に提言したものの、再発防止措置の部分のみ抜粋引用しておく。
④再発防止措置。
A前述の「大澤昇平氏がすべきこと」で書いたことを本人に対して行うようにすること(自分のツイートを使って中国人ほかマイノリティを差別をしないよう、ツイートで呼びかける。またサイトでもそれを公言する。東大の研究室にもサイトにもそれを掲示するなど)。
B③で制定した実効的な差別禁止ルールに基づいて、反差別研修の全教職員に実施すること。東大に加え、弁護士かNGO等と協力。
C①②③について東大が掲示板やサイトで公表し、大澤氏の差別を利用して、差別を正当化したり二次的な差別をすることが絶対に無いよう強く呼びかけること。
D IT業界が中国人の採用を控えることがないよう呼びかける。