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基礎必須英文法【自動詞と他動詞】

高校での英語の授業で文法を教えるとき、「品詞」「文構成要素」と進んで「文型」に行くのが一般的ですが、これがまたわかりにくいところで、いきなり生徒のやる気をそいでしまう原因となってしまいます。

前回は「基礎必須英文法【文構成要素】」で前置詞句から入っていくのがいいという提案をしました。

「文構成要素」の次は「文型」で、第一文型と第三文型の説明に入っていきますが、その時のヤマ場が「自動詞と他動詞」の区別です。

英語の動詞表現を日本語に訳すと他動詞になるが英語では自動詞になったり、またその逆もあり混乱します。

その「自動詞と他動詞」の区別がわかるようになるために重要なのが前置詞句の理解です。

前置詞句のまとまりを理解できるようにしたうえで、

例えば、

He visited the city.  彼はその町を訪れた。

He lived in the city.    彼はその町に住んでいた。

での前置詞のあるなしに注目させていきます。

それを段階を設けて、問題演習で定着を図ります。


第一段階

第一文型自動詞に前置詞句を付けて自動詞を理解させます。

使える動詞を具体的あげると、

live, stay, come, go,  arrive, listen

が基礎。これをくどいほど徹底させます。(慣れて、勉強が進んでこれば、get to, graduate from, refer to,などもある。)

「くどいほど」というのは具体的にどれくらいかというと、生徒が「せんせ~、もうわかったよ、大丈夫だから、お願いだから次に進んでください」というような気持になるまで、という感覚で私はやっています。

第二段階

第一段階で使った例文を使用して、前置詞句の部分を副詞に置き換えられることを理解させます。具体的には

here, there, abroad, overseas

に置き換えて、名詞と副詞の違いを認識させます。

なぜなら、目的語の名詞と動詞の後ろにある副詞を生徒は混乱するからです。

なぜ混乱するかというと、副詞というのは動詞を修飾することが可能であるが、目的語も動詞を修飾していると思うからです(理論言語学の中には副詞と動詞の目的語を区別せず副詞に分類するものもあります)。

動詞の目的語である名詞と副詞が区別できないと、当然第一文型と第三文型の見分けに支障をきたします。 

そして、第一文型と第三文型の区別ができないと、一番大きなところでは関係詞の使い方(関係代名詞・関係副詞)と疑問詞を使った疑問文の作り方ができなくなります。

第三段階

第一・第二段階で使用した例文を使って、それらを第一文型の例文としてあげ、同時に第三文型の例文をまぜて、第一文型と第三文型の区別を問題を通して行っていきます。

そのとき役に立つ動詞は自他同形の動詞です。日本語は自動詞と他動詞の区別がうるさい言語ですが、英語の場合自他同形が多いので探せば見つけるのにあまり苦労はしません。

例えば、

The door opened slowly.

He opened the door slowly.

と言ったような感じです。

さらに、進学校やすでにここら辺の文法を学んだことのある生徒には、runやwalkの他動詞としての用法を紹介すると喜ばれますw。

He walks his dog every morning.
[直訳]彼は毎朝犬を歩かせる。→[意訳]彼は毎朝犬を散歩させる

He runs the company.
[直訳]彼はその会社を走らせている。→[意訳]彼はその会社を経営している

runを単語集などで「経営する」と機械的に覚えている生徒には、他動詞の本質を教えるいい例文です。

対象に対して向かっていくというのが他動詞のプロトタイプで、それがわかればなぜrunの他動詞が経営するという意味になるのかがわかります。

第四段階

自動詞と間違えやすい他動詞の指導に入ります。これはどんな参考書にも載っています(reach / discuss / eneter / resemble / attend / answer / obey / approach など)。


自動詞と他動詞、第一文型と第三文型の指導はこのような順番で行っていきます。

ただし、ですが、これはどのような内容を、どのような順番で教えるかということであって、実際の指導ではこれらをどのように指導し、定着させていくかというところまでは踏み込んでいません。

そこが一番重要なのだとは思うのですが、私は文法指導に関してはプリントをうまく使って指導していくことが多いのですが、他人の作ったプリントってとても使いにくいのです。

だから自分としてはそこまで踏み込んでいないという次第です。

プリントの指導というとなんかあまりいいイメージを持たないかもしれませんが、(リクエストがあれば)その具体的な方法について述べていきます。




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