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10ヶ月ぶりの帝劇 『MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE』 2020.08.15(土)マチネ

今や東京在住ではないため、帝劇に行く頻度が少なくなるのはやむを得ないことではあるが、それでも10ヶ月ぶりというのはすごい。韓国に住んでいた時ですら、毎月、場合によっては毎週のように通っていた帝国劇場に、こんなにも行かれないとは、本当にびっくりであった。すべては新型コロナウィルスCOVID-19のためだ。

この公演は、Program A, B, Cの3つのキャスティング、セットリストがあったが、私が何としても行きたいと思ったのはProgram Aだ。何しろ、私が大ファンである新妻聖子さんが出演するのだ。
チケ取りもそれなりには激戦であったが、想像したほどではなく、何とかチケットを確保することができて無事に劇場に向かうことができた。

ちなみにこの公演も、SHOW-ISMS同様、インターネットでのライブ配信も企画された。Program Aで2回、Bでも2回、Cでは1回のみの合計5回だけであったが、私はすべての公演を配信でも楽しんだ。しかしやはりミュージカルは生で観てこそだ。この日、劇場で観た感動は、配信では決して味わえないものであった。
しかしそれでも配信という企画は素晴らしい。次々に観てしまって散財が止まらないという欠点(?)はあるが、今後もぜひとも続けてもらいたいと切に願う。

また、この公演は10月と11月にWOWOWでも放送される。ライブ配信そのものとは異なり編集された形ではあるようだが、それでも最高のカメラワークの映像が最高の画質で保存できることをうれしく思う。

さて、舞台だ。

帝劇で上演された演目たちの中の名曲を素晴らしいキャストたちが歌いつないでいくというシンプルな企画だ。演出は小林香さん。彼女は奇をてらった演出よりも王道の演出が得意だと思う。この舞台はまさに彼女の真正面から取り組んだ演出が大当たりだったと思う。

時代は多少前後するが、ミュージカル黎明期から黄金期、そして21世紀へと帝劇の歴史を振り返ることができる形式になっていた。また、セットの左右に作品名、曲目、初演年が表示されるのがとてもよかったと思う。
歌い手は、キャストの中にその作品に関わった人がいればその人が歌うようにキャスティングされており、それも王道で非常によかった。

この日の中で、特に私が聞き入ったのは、新妻聖子さんの歌う「ダンス・オブ・ヴァンパイア~フィナーレ」と井上芳雄さんの歌う「見果てぬ夢」だ。
高音が評価されることの多い聖子さんだが、私は彼女の真の魅力は低音にあると感じており、その点でも彼女の魅力を炸裂させてくれた一曲であった。そして井上さんは10年以上前に出演した『OLにっぽん』というテレビドラマでこの「見果てぬ夢」を歌ったことがあったのだが、それがまたとても素晴らしく、そのときの感動を思い出させてくれる熱唱であった。

トークも楽しかった。私は実はミュージカルコンサートでのトークというのは邪魔なだけだと思ってしまうタイプなのだが、今回のトークは配信でも劇場でも本当に楽しめた。井上さんのセンスが光ったと思うし、キャストの皆さんの「劇場で公演ができてよかった」という思いを強く持っていたからだと思う。

家族連れの旅行中だったためマチネのみの観劇となってしまったが、ソワレのチケットをリリースしてしまったことを後悔してしまうほど、本当に楽しめる素晴らしい公演だった。

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