満月に思うこと
光はものの影をうつす
影はすばやく闇をよぶ
光から闇はみえないものになり
闇から光は眩しく輝く
影は奥行きをつくり
闇は見にくいものをつくる
あっても見えないもの
見えなくてもあるもの
見ようとしなければ決して見えないもの
見えないもの全てがこの世界を裏で支えているということ
見えているものは自らの光を投影した色彩とその影
この世界でうたい、踊りながら
光と影のかけらを集めることで世界が廻る
闇から聞こえる声に耳を澄まし、この身を通してこの目に新たな光を宿すことを覚えながら、かつて光そのものであったことを思い出すための長い長い旅の途中、
他者に見る
他者と交わるその角度からしか届かない灯りで自己を見つめる
いま時空間に共にあることの軌跡は永遠に刻まれつつ、別の視点を見つけるごとに常に更新され続けていく
自然に見る
ここにあるものの豊かさと慈愛に満ちた厳しさも全部、わたしそのものを現している
その全てを包みこむ円を見ている眼差しに気づき、忘れずにいたいと願うわたし
見いだすこと、そのものを生きている
水面に映る月の影は闇を照らす光
満月は深淵から想念を浮上させるタイミング
他人を鏡にして
自分を遠くから眺めたり
近くに手繰り寄せて見つめたり
距離感は幻想でしかない
しかし、その幻想の中にこそ美しさを見つける喜びがある。
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