映画『高野豆腐店の春』

映画『高野豆腐店の春』
(2023年 / 日本)
脚本・監督:三原光尋
出演者:藤竜也 / 麻生久美子 / 中村久美
音楽:谷口尚久
撮影:鈴木周一郎

『高野豆腐店の春』は"こうやどうふてんのはる"ではなく"たかのとうふてんのはる"と読む。
広島県尾道市で豆腐屋を営む父と娘の話である。

全般に流れる、尾道や瀬戸内海のシーンがとても美しい。映画そのものは頑固な父と娘の物語であり、人情ものであるが、そのストーリーが美しい風景とよく馴染み、物語に暖かみを与えてくれる。
老いらくの恋がもう一つのテーマとしてあるが、この大人の(老人の)恋がなんともいじらしい。主演の藤竜也や麻生久美子ももちろん名演なのだが、中村久美も当たりであると思った。
また全体に流れる音楽も良い。音楽と撮影が良いと安心して映画を見ることができる。音楽と撮影は日本アカデミー賞の各部門で賞をとってもおかしくない、と思った。

時々、吉本新喜劇のような笑いを誘うシーンがあり、そのシーンはあまり必要なかったのではないか、と個人的には思うが、でも今の日本で失いつつある地域のコミュニティを笑いのシーンでは表したかったのかな、と思えなくもない。

食べ物のシーンも多いが、やはり豆腐を食べたくなる映画である。


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