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紅茶詩篇

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#現代自由詩

紅茶詩篇『もしも奇跡が消えた夜に』

紅茶詩篇『もしも奇跡が消えた夜に』

 もしも世界から奇跡が消えたら、最初に何がしたいだろうか。
 肌寒い夜の下で、私は妹の顔を見ていた。
 私がそう尋ねると、妹は私の肩に肩を寄せた。
 妹が、奇跡の類いを信じてはいないことを、私はよく知っていた。
 私は漠然と杳(とお)くにいる尊い何かを信じている。この子はそんな私に寛容なだけで、何かを信じてはいなかった。
 私は奇跡なんて、信じていない。
 でも、奇跡は、世界からなくならない、きっ

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紅茶詩篇『壊れた愛と翅根と骨根』

紅茶詩篇『壊れた愛と翅根と骨根』

 無心された慈しみという、動かないままの私がいた。

 背中から羽と血が出ていた。家に帰りたいやさしい子の背中をした私の頬に、涙の線が渇いていた。 

 天使の羽を食べて醜い奇形に姿を変えた懸想男たちの死が、累々としていた。牙から逃れたばかりの私に、灼けつく悋気(りんき)を煙らせながら。私の骨と肌(かお)を食べた者たちは酷い有様。その地獄を天使の所為にする所業に、うんざりしていた。天使を不治の病の

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