フォローしませんか?
シェア
剣城かえで
2023年9月28日 20:56
無心された慈しみという、動かないままの私がいた。 背中から羽と血が出ていた。家に帰りたいやさしい子の背中をした私の頬に、涙の線が渇いていた。 天使の羽を食べて醜い奇形に姿を変えた懸想男たちの死が、累々としていた。牙から逃れたばかりの私に、灼けつく悋気(りんき)を煙らせながら。私の骨と肌(かお)を食べた者たちは酷い有様。その地獄を天使の所為にする所業に、うんざりしていた。天使を不治の病の