本日の画像
研磨刀剣
小林市[旧野尻町]大萩地下式横穴墓群出土
本日の画像は、先日(2024/06/16/日)、宮崎県立西都原考古学博物館に行った時に、スマホで撮影した写真です。
錆びた鉄製品や、土器、人骨が多く展示されている空間の中で……
この鈍く銀色に輝く、3振の古墳時代の刀剣の存在が以前から気になっていました…。
しかしこれまで、こちらの遺物が一体どう言う物なのか、詳しく観察したり、調べたりした事が無かったので、今回、調査報告書を読み、この展示遺物が一体何者なのか、じっくり観察したり、調べてみる事にしました…。
展示品に添えられたラベル
こちらのラベルに、この研磨刀剣について大まかな情報が記載されていました…。
この文章に書かれた内容からヒントを得て、この後、色々と調べる事が出来たので、大変助かりました…。
ケースを全体を色々な角度から撮影した写真。
先ずは、ケース全体の様子を、大まかに観察する事にしました……
3振の刀剣は、柄(手で握る所)を左側、切先(刃物の先端)を右側にして、斜め45度、右肩上りに整然と並べられて展示されており、見る位置を変えるたびに照明の光を反射し、鈍く輝いていました…。
今回、参考にさせて頂いた調査報告書
上記の資料『宮崎県文化財調査報告書(1984年3月31日発行)』には、この3振の刀剣についてかなり詳しく書かれているのでおススメです。
調査報告書に記載された刀剣に関する専門用語について、詳しく紹介されたオススメのHP『刀剣ワールド』
『宮崎県文化財調査報告書』の研磨刀剣に関する部分を読む際、多くの専門用語が出て来た為、その都度、その専門用語を調べていたら、何度も下記のHPがヒットしました…。
こちらのHPは、画像が多く、動画や、読み易く解り易い文章で解説されているので、今回、刀剣に関する用語を調べる際、大変お世話になりました。
又、こちらのサイトから、これら古墳時代の3降の刀剣は、『上古刀』と呼ばれている事がわかりました…
刀剣本体を個別に観察した写真
次は一振づつ、しっかりと観察した写真を紹介致します…。
展示位置の都合上、切先の方から観察出来なかったので、今回は、柄と刀身部分の拡大写真を、調査報告書に記載されている順番にご紹介します…。
※博物館で並んでいる順番は、調査報告書の内容から推察するに…
作る技術と材料が優れている順に、下から上へ並べられていると思われます。
1.切刃造直刀
1)杢目肌
2)粟田口系(派)
2.平造刀
3.剣
1)直弧紋
宮崎県文化財調査報告書の中で、
個人的に好きな部分と感想。
この調査報告書の中で、この3振の刀剣を磨いた刀剣研師 星加哲見氏のコメントが、個人的には好きだったので、最後に紹介したいと思います…。
上記の上記の文章は、古墳時代の刀工の技術が現代でも通用する程優れていた事を示す様な文章で、興味深い一文です。
特に、切刃造直刀については、栗田口系を彷彿とさせる部分がある…と解説されている部分が有りますが……
調査報告書の中で、※栗田口系作刀の中に、宮崎県産の鉄を使った事が刻まれた刀が有る…と言う記事が有る事から……
古墳時代(250 – 538年)から約1000年後の室町時代(1336 – 1573年)、京都東山粟田口で刀を作っていた人々の中に、宮崎で出土した古代刀(上古刀)製作に使われていた作刀技術に似た技術と、宮崎県産の鉄を使って刀を作っていた集団が居たのかもしれない…と考えると大変興味深いです…
と、言うか…… 世の中、何が、何時、何処で、どう繋がって、それがどう影響して、何が起こるのか……わらないものだな~……
……と、この3振の古代刀を調べてみて、しみじみと感じました…。
今回、この『研磨刀剣』について調べることで、全く知らなかった、刀剣に関する知識と、文化的背景の一部を知る事が出来ました。
今後も、色々と気になる遺物や場所などを調べ、そこから色々ヒントやネタを頂いて、これからの創作活動に生かして行きたいと思います。
2024/06/19/?~? ~ 2024/06/20/?~1239
最近はただの日記になっていますが、自分自身と作りたい作品について更に突き詰めて行きたいので、この作業を暫く続けて行きたいと思います。