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(2023/09/13/水)国指定史跡・蓮ヶ池53号横穴墓の拓本②

箱状の個性的な展示スペースに展示された、4枚の拓本。

  先々週調べた蓮ヶ池53号墳の線刻壁画の拓本は、入り口から見て右側壁に刻まれた線刻画でしたが、こちらに展示された4枚の拓本の内3点は、左側面の線刻画の拓本でした。

展示スペース内の展示物を、整理しながら見て行きたいと思います…

 展示スペースには4枚の大きな拓本が展示されており、かなり斬新で独特な雰囲気の有る展示スペースです…。

 しかしこちらの展示スペースは………その斬新なデザインとは裏腹に、展示物自体の情報量が多く、不明な点等も有った為、一目見ただけでは頭の中で整理する事が出来ませんでした。

 なので後日、調査報告書等の資料と照らし合わせて調べる為に、写真を数枚撮影致しました。

※こちらの写真は私が現地で撮った物で、施設に許可を得て掲載しております。
箱状の個性的な展示スペースは面白いです…

 その撮影した写真から、情報を一つ一つ整理する為に色分けをして番号を振ってみました……。

 その番号毎に、展示された線刻壁画について、解説していきたいと思います…。

情報を一つ一つ整理する為に色分けをして番号を振った状態です。

一番手前に設置された、墓室内の線刻画の紹介パネル

 箱型の展示の手前に、『宮崎市蓮ヶ池53号横穴墓』の側面の見取り図が設置されています…。

 上記の画像の青い部分に、このパネルは設置されています…。

展示スペースの手すりの下に設置された、墓室内の線刻画の見取り図が描かれています…。
黒を基調とした、重厚で美しい解説パネルです…。

 写真を撮影して帰った後、どの拓本がどの部分に相当するのかを資料と見比べながら、何とか整理する事が出来ました…。

 判り易い様に、番号を振ってみました。
(間違っているかもしれないので、後日、確認を取りたいと思います…。)

番号を振った物。4番の拓本だけが、左側面線刻画の様です。

①(下部に設置された拓本)宮崎市蓮ヶ池53号横穴墓・左側壁の線刻画~二人の従者と鬼面~

 こちらは展示スペースの下部に置かれた、鬼面の書かれている線刻壁画の拓本です…。

これから紹介致します線刻画が書かれた位置。
下部に展示された拓本…
美術館等で、常に壁に掛けられた絵画などを見ているからか、
下に置かれている平面作品を見る事は中々無いので、かなり新鮮な気がします…。
線を付けて解り易く加工した物。
 上記のままだと何が書かれているのか判り辛い為、illustratorで線を付けてみました…。
(資料を参考に線をなぞってみましたが、一部良くわからない部分が有った為、
正確に描くことが出来ませんでした…)

 上記の点線枠の中の図案『鬼面』について、解り易い解説パネルが手前に置かれていたので撮影致しました。

 下記の写真がその解説パネルです…

鬼面について解説されているパネル。

 こちらの『鬼と二人の従者』については、youtubeの『宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )』にて詳しく説明されていたので、ここで一部を抜粋したいと思います…

宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )
宮崎市の歴史探訪 蓮ヶ池横⽳群1132~


…この絵は何を表しているのでしょうか?

これは、邪。
すなわち悪い物を払うと考えられていた鬼の顔が、二人の従者と共に描かれ、魂の旅立ちを見守っています。

古代の人は、魔除けの威力を願って、鬼の面を描きました。

youtube『宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )』より

②(左側面に設置された拓本)宮崎市蓮ヶ池53号横穴墓・左側壁の線刻画(奥に描かれた物?)

 こちらは展示スペース内の左側面に掛けられた線刻壁画の拓本です…。

これから紹介致します線刻画が書かれた位置。
左側面に展示された拓本です。
線を付けて解り易く加工した物。 
上記のままだと何が書かれているのか判り辛い為、illustratorで線を付けてみました…。
(資料を参考に線をなぞってみましたが、一部良くわからない部分が有った為、
正確に描くことが出来ませんでした…)

 こちらの拓本については、詳しい解説がされている資料が有りませんでした…。
 
 しかし、同じ墓室内の同じ線刻画のデザインについて、『ヒゲを蓄えた、歌う人』と表現されている事から、こちらの人物像も『歌う人』達なのかもしれません…。

③(中央に設置された拓本)宮崎市蓮ヶ池53号横穴墓・左側壁の線刻画
鬼面の書かれた線刻画の上部に描かれた、3体の歌を歌っている人物像

 こちらは展示スペース内の中央に掛けられた線刻壁画の拓本です…。

これから紹介致します線刻画が書かれた位置。
中央に展示された拓本です。
線を付けて解り易く加工した物。 
上記のままだと何が書かれているのか判り辛い為、illustratorで線を付けてみました…。
(資料を参考に線をなぞってみましたが、一部良くわからない部分が有った為、
正確に描くことが出来ませんでした…)

 こちらの『3体の歌を歌っている人物像』については、youtubeの『宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )』にて詳しく説明されていたので、ここで一部を抜粋したいと思います…

宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )
宮崎市の歴史探訪 蓮ヶ池横⽳群1159~
(先程の鬼面についての説明の続きになります)

…上の方に、3体の歌を歌っている人物像。
下に、鬼の顔とその従者。
そして羨道には、2体の歌を歌っている人物像が有ります。
(こちらの2体の人物像の拓本は、こちらに展示されておりませんでした)

死者の霊魂を乗せた船は、多くの人が歌う荘厳な雰囲気の中で、あの世へと赴く事が相応しいと考えられていたのでしょうか。

当時の人々が死ぬことをどの様に考えていたのかを、現代を生きる私達に伝えてくれる貴重な資料となっています。

youtube『宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )』より

④(左側面に設置された拓本)宮崎市蓮ヶ池53号横穴墓・右側壁の線刻画
船の線刻画の下に描かれた、独立した人物像

 こちらは展示スペース内の右側壁に掛けられた線刻壁画の拓本です…。

これから紹介致します線刻画が書かれた位置
右側壁に展示された拓本です。
線を付けて解り易く加工した物。 
上記のままだと何が書かれているのか判り辛い為、illustratorで線を付けてみました…。
(資料を参考に線をなぞってみましたが、一部良くわからない部分が有った為、
正確に描くことが出来ませんでした…)

 こちらの拓本についても、詳しい解説がされている資料が有りませんでした…。

 この人物像のすぐ上に、船の絵の近くに、同じく独立して描かれた似た様な人物像について、youtubeの『宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )』にて詳しく説明されていたので、ここで一部を抜粋したいと思います…

動画で紹介されているのは右上の人物像。
左下の人物像と似ていると思います…。
この左下の人物像については、どの資料にも解説が無く、
何が表現されているのか判りませんでした。

宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )
宮崎市の歴史探訪 蓮ヶ池横⽳群1106~
(先程の鬼面についての説明の前の解説になります。)

正面を向く人物は口を結び、悲しみの表情をたたえている様です。

あの世へ向かう死者の霊魂との別れを悲しむ、近親者だと考えられています。

youtube『宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )』より

 上記の解説がされている人物像とこちらの拓本の人物像は、他の多くの顔だけ表現された人物像とは違い、顔と体の輪郭まで表現されています。

 なので、こちらの体まで描かれた線刻画の人物も、この墓に葬られた人物の近親者だったのかも知れません……。

 …しかし………個人的な感想ですが…この人物像……手塚治虫氏の書かれた『どろろ』に出てくる『金小僧』と言うキャラクターに似ている様な気がします…。
(『どろろ 金小僧』で検索してみてください…似てると思います…)

『蓮ヶ池53号墳の線刻壁画の拓本』の感想

 今回は宮崎県立西都原考古学博物館に展示されている『蓮ヶ池53号墳の線刻壁画の拓本』について、色々と調べてみました…。

 こちらの拓本については、前々から気になっていたのですが、余り調べて居らず、何を表現した線刻画なのか詳しく知りませんでしたが、調べれば調べる程面白く、又、解らなくなる所が面白かったです。

 特に、『船』の意匠や、船の近くに描かれた『大』の意匠。その正面に刻まれた『鬼面』の意匠等が面白かったです。

 これらの線刻画について研究され、その資料を残してくださった先人の方々や、今回この展示物についてご教示いただきました考古学博物館の職員の方々、皆様のご協力のおかげで、今回、新たな知識を得る事が出来ました。
 
 これもひとえに皆様のお力添えのおかげと深く感謝しております。

 今回得た知識を、今後どの様に作品作りに生かして行くかはまだまとまっていませんが、何処かにこちらの作品の要素を取り入れて行きたいと思っております。

参考資料(ネットで見られる物のみ)

 youtubeの『宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )』内で、蓮ヶ池横穴群について詳しく説明されている動画で、凄く解り易いです。

宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )
宮崎市の歴史探訪 蓮ヶ池横⽳群

youtube『宮崎市公式チャンネル (miyazaki city channel )』より

 宮崎みんなのポータルサイト miten !様に掲載された東憲章様 ( 県教育庁文化財課 )の壁画に関する見解

宮崎みんなのポータルサイト miten !
(MRT宮崎放送グループ 株式会社デンサン様が運営されているHP
ミテン>ミテンの本棚 > みやざき考古楽>
No.26 最南端の横穴墓群 東憲章 様 ( 県教育庁文化財課 )

宮崎みんなのポータルサイト miten !様より。

 蓮ヶ池横穴群53号墓の線刻壁画に書かれた『大』の意匠(デザイン)に似た模様が紹介されている記事。
(関係は無いのかも知れませんが、こちらに紹介されているエジプトの神殿や墓室に描かれた星(イケム・セク)のデザインと、線刻画の『大』デザインが個人的には似ている様な気がするので、ご紹介したいと思います)

読売新聞オンライン
早稲田大学の文化・研究・教育を発信WASEDA ONLINE様より。
WASEDA ONLINEオピニオン教育文化

古代エジプトの天文学
近藤 二郎/早稲田大学文学学術院教授

読売新聞オンライン早稲田大学の文化・研究・教育を発信WASEDA ONLINE様より。

次はこの拓本が取られた『宮崎市蓮ヶ池53号横穴墓』行った時の事を記事にしたいと思います…。

2023/09/13/??~2129


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