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読みもの

読書をする人としない人がいる。

私は読書の楽しさを知ってしまったので、本を読むことは喜びだ。

小学生の頃、夏休みで家には私ひとりしかいなかった。昼下がり、ただただ暑くて何もしたくない。二段ベッドの上の段でぼんやりと近くに見える天井を見ていた。

枕元に、学校で月に一回買っていた雑誌のようなものがあった。それは、夏休みの特別号だったのか、読みもの特集だった。何もすることもないし、天井を見るかわりに雑誌を開けてみた。なんとなく文字を追っていくうちに、だんだんと文字がただの文字ではなくなっていった。紙に印刷してある文字を見ているのではなく、物語を表したものを追いかけ始めていた。

他の人が見たら、ただゴロゴロ寝そべって本を読んでいるだけかもしれない。けれど、私の中身は別の世界に足を踏み入れて、ワクワクしたり、悩んだり、悲しくなったり、賢くなった気がしたり、まあ、アドベンチャーな状態なのだ。

その読みもの特集は、短い話がたくさん入っていたと思う。ひとつ読んで面白かったので、次々と読んだ。面白いものも、面白くないものもあった。どちらにしても、楽しかった。

それから、私は読書をするようになった。

時々テレビで、登山をしている番組を見る。私は高所恐怖症なので、画面越しでも足がすくんで怖い。怖いけれど、見てしまう。一歩間違うと命を落とすような場面の連続だ。現実のアドベンチャーだ。実際にやったことがないので分からないけれど、あんなに危険な場所にあえて挑んで喜びを感じている人の中身は、静かにただそこにあるような気がする。

陰陽のバランスを考える今日この頃。
どちらが良い悪いというものではない。
読みものの世界と現実の世界、私の外側と内側を対流させていきたい。