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末梢血管の循環調節

体循環系にある各臓器組織の血液量はその臓器の酸素需要に応じて調節されている。この調節は主として150から60μmの径をもつ細動脈の血管収縮と血管拡張によってなされている。

細動脈の血管壁は血管平滑筋に富んでおり、この活動に基ずく血管運動は、局所性、中枢性、体液性の支配を受けている。

局所性(内因性)の調節

ある組織の酸素需要度を一定に置き、組織に流れ込む血液を急激に高めるとそれに比例して一過性に組織への血液量は増える。しかし、1~2分後には血液量はもとの量に戻る。また、組織に流れ込む血液を急激に弱めると、同様に血液量が減少するが、これに対して血管拡張が生じ血液量はもとの量に戻る。通常灌流圧が60~200mmHgの範囲で組織血液量はほぼ一定に保たれる。これを局所性(内因性)血流調節と呼ぶ。

局所の酸素需要が亢進すると、血管拡張が起こり、血流量は増加する。これらの局所性調節には組織液の酸素分圧、炭酸ガス分圧、pH、さらには血管平滑筋へのCaイオン、ATP~アデノシン代謝、セロトニン、ブラキジニンなどが関連している。

また、血管内圧と、組織圧の差が大きくなれば、血管径も大きくなるが、血管収縮により、血管径が減少すると血管壁張力は一定に保たれるという物理的特性も血流の局所調節に重要な役割を果している。

神経性調節

末梢血管は、自律神経を介して延髄に存在する血管運動中枢の支配を受けている。血管運動中枢に伝える信号は、頚動脈洞、大動脈弓、心房、肺動脈などにある血圧受容器から、舌咽神経、大動脈神経、迷走神経を通じて中枢に送られる。

交感神経系を介する血管収縮繊維は主として細動脈(抵抗血管)静脈(容量血管)、さらに毛細血管系の括約筋に分布し、末梢血流の調節にあたっている。これらには交感神経性血管運動神経、心臓交感神経、副腎交感神経、腎交感神経などがあり、各種受容器からの刺激に対応してそれぞれの血管圧から生じる緊張性放電で調節されている。

血管運動中枢は一定の血管壁緊張性活動の状態にあって血管への一定の頻度のインパルスを送っている。これによって血管平滑筋は一定の血管壁の緊張度を保っている。
交感神経系の刺激により緊張度が亢進して血管収縮が起こり、逆に刺激頻度が少なくなると緊張度が低下して血管拡張が起こる。すなわち、血管収縮神経を介する持続性インパルスの頻度変化によって血管収縮の程度が変化する。これは神経末端におけるノルエピネフリンのアルファ・アドレナリン作動効果によるものである。

一方で血管運動中枢とは関係のない コリン作動性の血管拡張神経の拡張が骨格筋や、皮膚において見られる。これは筋運動の際に交換神経活動の亢進により、一般の血管は収縮するが、筋骨格や皮膚は血管を拡張せしめるように働くもので、これらの組織への血液配分をより増量するのに役立っている。

体液性調節

血管の収縮・弛緩は各種の体液性科学物質の作用によっても調節されている。副腎の刺激により、血中に放出されるアドレナリンとノルアドレナリン、腎の傍糸球体から分泌されるレニンにより生成されるアンギオテンシンⅡ、脳下垂体後葉から分泌されるパゾプレシン、さらにはプロスタグランジンなどが代表的なものである。

血管作動物質:アドレナリン、ノルアドレナリン、アンギオテンシン、パゾプレシン、ヒスタミン、セロトニン

血管拡張物質:アドレナリン、アセチルコリン、ブラキジニン、アデノシンとATP、炭酸ガス、ヒスタミン

血圧の調節機能として各臓器、各所に血圧が上がったら自動的に血管を収縮・拡張して血流量を調節する局所性調節。
血管内に血圧を監視している受容器があって、血圧上昇で、緊張度が高まると延髄にある血圧運動中枢に信号がいき、交感神経にて血管が収縮し血圧を調節する神経性調節。また、筋骨格や皮膚には血管運動中枢とは別に拡張するコリン作動性の調節作用があり、交感神経運動時に血液を増加させる拮抗した作用も併せ持つ。
また、各臓器から血管を収縮・拡張させる体液(ホルモン)を放出し血圧調節をしている体液性調節

これらのすべての仕組みで血圧の恒常性が保たれているってことかな?しらんけど。

参考文献
病態生理より見た内科学 改訂3版

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